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新しい社会の変化に伴って必ず損害保険がある

  • 2020/09/07
  • Dr.ウエノの保険コラム

配達員の傷害補償制度で協力してきた国内宅配代行サービスのウーバーイーツジャパンと三井住友海上火災保険が業務提携し、配達員の補償制度を拡充する方向で検討し、ヘルメットを提供するなどの展開をすることが報じられました。

ウーバーイーツの配達員は「雇用関係のない個人事業主」で労災保険が適用されません。このため、当該社は配達員のケガの治療費が25万円まで支払える補償を昨年10月に三井住友海上と立ち上げたもので、業務提携をすることで更に充実させようとしています。
ウーバーイーツは新型コロナウイルスに伴う外出自粛で需要が増えており、両社で配達員が安心して働けるように支援したいとしています。

ウーバーイーツのバックを背中に背負った人、良く見かけますし、結構乱暴な運転している人も多いので、保険会社と組んでの安全意識向上に対する取り組みの動きは大変興味深いと考えます。

こうしたウーバーイーツーを「副業」としてされている方も多いと思います。「複数の職場で雇用されていた人」はおよそ128万8000人と10年前と比べて25%増加していているそうです。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に休業などで収入が減ったり、在宅勤務で通勤の時間がなくなったりする人も少なくなく、新たな収入などを求めて副業や兼業をする人は今後さらに増えるとみられています。

副業を認める企業が増える中、逆に副業として働く人を大規模に募る動きも出ています。
IT大手のヤフーは今年7月、ほかの会社やフリーランスで働く人を対象として、事業戦略のアドバイザーやエンジニアなどを務めてもらうため、およそ100人を募集しました。週に1回から数回、ヤフーの仕事をしてもらうことを想定していて、報酬は仕事の内容などに応じて月に5万円から15万円ほどになるということです。新型コロナウイルスを受けた「新しい日常」に対応した事業やサービスを開発するため、外部から多様な人材を確保するねらいがあり、これまでに4000人以上から応募があったということです。応募してきた人は、年代としては30歳前後が最も多く、本業の勤め先は大企業からベンチャー企業までさまざまで、なかには経営者や海外に住む人もいるということです。

そうした中、損保ジャパン社は社員の副業を後押しする企業向けの保険を発売しました。
従業員が副業中の作業でけがをした場合の労災や副業による長時間労働で心身を病んだ場合の損害賠償請求を「本業側の企業が加入する保険」で対応するというものです。企業が副業を容認しやすくすることで働き方改革を促すとしていますが、副業が当たり前になる中で損保会社の機敏な対応は興味深いと思います。

このように「社会が変化するたびに新しい損保商品が登場」します。今のモータリゼーションを支えたのも損保会社の自動車保険です。結心会では農業用ドローンの展開やホテルを使ったテレワーク等々の展開を支援していますが、マーケットが拡大すれば「ドローン保険」や「テレワーク保険」という新しい保険を押さえることができるので動いています。

保険、保険の一辺倒では保険代理店は生き残れません。
新しい社会の変化が起これば、この変化を拡大できるように支援することで、目の前の保険外収益をあげつつ、最終的には保険につながるのだというこの循環を認識して各種新規取組をしていきましょう。

顧客データの相互活用

  • 2020/09/07
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

「伊藤忠商事」と、傘下の「ファミリーマート」は、コンビニやキャッシュレス決済サービスの利用データを活用して、デジタル広告を配信する新会社を「NTTドコモ」などと共同で設立することになったことが報じられました。

新会社は、「ファミリーマートの買い物客や、NTTドコモのキャッシュレス決済サービスの利用データを集約」し、「SNSなどに向けてデジタル広告を配信する事業」を行い、更に、「ほかのスーパー」や「ドラッグストア」にも提携を呼びかけ、データを増やしていきたいとしています。伊藤忠商事としては、ファミリーマートが持つ顧客データを活用し、拡大するネット通販に対抗する新たなビジネスへの投資を加速させることにしています。

一方、「楽天」と「東急」は、ネット通販と実店舗の購入データを活用する共同出資会社を新設したと発表したことが報じられました。
 
楽天は1億人の会員、国内最大級の共通ポイントを持ち、東急は関東を中心にスーパーや百貨店を運営、双方の顧客から得られるデータを使い、相互に集客できるような仕組みを作るとしています。
 
「オンラインとリアルの垣根はほぼなくなる。相互に送客し(消費者に)新しい体験を提供する」と楽天の三木谷浩史会長兼社長は新会社の目的をこう強調されています。
 ネット通販と実店舗の明暗は分かれており、2020年4~6月期の楽天の国内EC(電子商取引)の流通総額は外出自粛に伴う通販が好調で前年同期比15%増えた一方、東急の4~6月期のリテール事業の営業収益は同15%減少しているそうです。そこで、「双方のデータを分析」し店舗の不振を補うための販促などに役立てるとしています。
 
まず楽天が年間3200億円分を発行する共通ポイントを活用し、9月から東急の食品スーパー86店を皮切りに順次、百貨店、ホテルなどで楽天のポイントカードを導入していきます。
 東急は楽天会員の集客だけでなく、両社の購買データの分析によって、新たな商品提案、価格設定、店舗づくりを進めていくとしています。

データを相互に使っての展開が一挙に進んできました。
お客様のデータは企業にとっては「財産」です。1社だけの財産を複数企業で共有、分析することでデータが更に価値を持ちます。

こうした動きは大企業ではなく、地域の保険代理店を軸にでも展開できると思われませんか。保険代理店の有するデータと地銀を始めとする地元企業が有するデータを集約し分析することで確実なマーケット戦略が組めますよね。

地方の企業には特徴があるマーケットを持つところも多く、「打つ手は無限」にあります。
保険会社も各地の自治体と包括連携していますので、ここに保険会社も巻き込むことで自治体も取り込めることになります。

企業連携による「相互共生」の軸の中心に保険代理店がなることで勝ち残っていきましょう。