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エイジテック

  • 2021/11/15
  • Dr.ウエノの保険コラム

エイジテックというワードをご存知でしょうか。
「高齢者×テクノロジー」のことで、高齢者の生活や健康をサポートするテクノロジーや、高齢化社会・高齢社会・超高齢社会における課題を解決するテクノロジーを指します。

背景にあるのは、高齢化社会がいよいよ限界を迎えているという事実です。具体的にいうと2点あって、高齢者が増えることによる医療コストの増加、そして少子化高齢化に伴う介護保険のひっ迫や介護士などのサポート人材不足があげられます。日本では特に1949年辺りに生まれた「団塊の世代」と呼ばれる方々が一気に亡くなるのが2040年といわれていて、ピークに向けさまざまな問題が噴出するといわれています。そういった議論がなされる中で、介護や医療における課題をテクノロジーでいかに解決するかという「エイジテック」の領域が注目されるようになりました。

エイジテック産業は世界で数百兆円規模のマーケットといわれていて、Forbesの記事内にある試算によれば、グローバルでのエイジテックの市場規模は毎年21%増のペースで拡大を続け、2025年までに2.7兆米ドルにまで膨れ上がるとのことです。日本円に換算すればグローバルで約300兆円近い市場規模になるということになります。日本の市場規模で正確なものは出ていませんが、みずほ銀行産業調査部によると、高齢者向け市場の市場規模は2025年までに101.3兆円にまでなり、国内需要を牽引する市場になるとしています。スタートアップ企業や、エイジテック企業を対象にしたベンチャーキャピタルが続々と参入している状況です

「エイジテック」と一口にいっても多種多様です。シニア自身が使うプロダクトやサービスでいうと、スマートフォンやタブレットも入ってきますし、見守り系のコミュニケーションロボット、健康管理アプリ、人気が高いのはApple Watchなど健康管理系のウェラブル端末もあります。このご時世なので、血中酸素濃度が測れるから欲しいという方は多いですね。また、体に不調がある方をアシストする「スーツ型介護ロボット」もエイジテックに含まれるとされています。また、シニアになって必要となる手続きをデジタルに置き換えたサービスも注目されています。家族信託に関するお金の管理などのやりとりを、本来であれば税理士さんにお願いすると高い必要がかかるところを、デジタル化して安くしましょうというサービスも提供されています。さらにGBER(ジーバー)というアプリは、元気高齢者の地域活動をサポートするウェブプラットフォームで、仕事、ボランティア、趣味や生涯学習などのあらゆる地域活動とそれに参加したいおじいちゃんおばあちゃんとの社会参加を促進するために研究開発されたものです。
考えられるものは沢山あると思います。保険を通じてシニアに寄り添う保険代理店にもできることがあると思います。当然、エイジテックの中で新しい保険も必要になってくると思います。

「エイジテック」というワードを覚えて、常に最新情報取得できるようにアンテナを張っておきましょうね。

一物多価

  • 2021/11/08
  • Dr.ウエノの保険コラム

損害保険は同じ商品で且つほぼ同じ補償内容なのに各保険会社によって保険料が異なることをご存知でしょうか。しかも一物二価くらいならまだしも、一物多価という現実があります。

昨年の週刊東洋経済誌「生命保険の罠」という7月25日号にこんな記事が掲載されていました。(掲載文面通りを転載)
「これまで地方は情報や移動の壁に守られてきた。だが、火災保険に年間1000万円以上払ってきたという地方の酪農家が、オンラインで同一以上の保障を年300万円で得られると説明され、乗り換えたなどという事例も出てきている。」

この背景を紹介すると、この契約は火災保険に地震拡張担保特約が付帯されているものでした。いつもは満期更改の際、多忙な社長さんは内容も余り見ず「じゃあ更改しておいて」で終わったのでしょうが、昨年はコロナ禍で外出もできなかったので、たまたま内容をしっかり見ていたら「何と火災保険に1000万円以上支払っていたことに改めて気づき、コロナ禍で景気がどうなるかわからないので経費削減で保険料が安くならないか」と考えられて、地元の保険会社2社に電話されました。現在加入している保険代理店の他には保険代理店を知らないので保険会社に直接電話されたものです。そうして保険会社から社員が来て、現在加入の保険証券を見せたら2社の社員ともに「うちでは無理です」と言ってその場で帰ったそうです。地方で火災保険1000万円以上の契約はそんなにあるものではありませんし地震拡張担保特約が付帯されているので、保険証券を見た瞬間に無理と判断したようです。保険料の相見積もりは本社に稟議を出しつつ求率して行きますが、過去に経験値がないと残念ながらできないと思います。お客様から直接電話があって保険会社の指示で来るとするとおそらく一番下の社員が来たと推定されますので、そりゃあ無理でしょうね。で、経営をみてもらっている大阪の経営コンサルタントに保険証券がわたり、結果、大阪の保険代理店が相見積もりで300万円の保険料を提示し切り替えられてしまいました。
同じ保険商品でほぼ同じ補償内容で保険料が3分の1以下になった訳で、一物二価にしても乖離し過ぎと思われた方が多いと思います。一体、どんな割引使ったらできるのでしょうかね。

実は先般も火災保険の相見積もりの事例を耳にしました。こんな内容です。火災保険の満期で他社から相見積もり出たのであなたのところでもっと安くできないか確認して欲しいとの知り合いの保険代理店に依頼をにあったものですが、相見積もりの保険料は何と2000万円という大型案件でした。で、依頼を受けた保険代理店は躍起になって他社に相見積もりを依頼したところ、4000万円の保険料提示がありました。なんだよーということでもう1社見積もりを取ったら5500万円の見積もり提示がありました。どうやら普通に求率すると5500万円で、本社と掛け合って頑張って求率してくれて4000万円という結果だったそうです。一体保険料2000万円はどうやって算出したのかわかりませんが到底太刀打ちできませんので、ここで切り替えられたそうです。

コロナ禍で毎年支払わないといけない損害保険料については相見積もりされる可能性が高いと思います。特に地方の契約は10年以上同じ保険料というところが多いと思いますが、こうした案件は絶好の標的だと思います。
前述の週刊東洋経済誌には「こういう伝播は早い。地方の保険代理店の淘汰が一気に進む可能性がある。」とも書かれていました。

昔、某保険代理店が法人保険のサイトを作っていましたが、10年以上前でも毎月500件ほどの問い合わせがありました。当時は大手企業からの照会が中心でしたが、今、こうしたサイトが立ち上がれば地方からの依頼が殺到するのではないかと思います。

一物多価をやめない限り止まらない損保の相見積もり競争。一方でこのレート競争が損保代理店の醍醐味の1つでもありますが。ポイントはこの商品だとこの保険会社が安い保険料を提示できるか知っているか否かだけで相見積もり競争は勝ち続けられると思いますよ。

VUCAの時代

  • 2021/11/08
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

今はVUCAの時代と言われています。
VUCAとは、一言で言うと「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味します。元々は1990年代後半に軍事用語として発生した言葉ですが、2010年代に入ると、昨今の変化が激しく先行き不透明な社会情勢を指して、ビジネス界においても急速に使われるようになったもので次からなる造語です。
・V(Volatility:変動性)変動性は、現代においてテクノロジーの進化や、それに伴ってさまざまな価値観や社会の仕組み、顧客ニーズなどが変化していくことを指します。
・U(Uncertainty:不確実性)この言葉は、自然環境や政治・国家、制度などの不確実さを示しています。
・C(Complexity:複雑性)グローバルなビジネス環境では、その国の法律や文化、常識などさまざまな要因が絡み合って、ビジネスを複雑化しています。
・A(Ambiguity:曖昧性)過去の実績や成功例に基づいたやり方では通用しない、曖昧性の高い世界へと突入していることを示しています。
こちらの4つの単語の頭文字をとった造語でVUCAとなります。

現代は経済やビジネス、個人のキャリアに至るまで、ありとあらゆるものが複雑さを増し、将来の予測が困難な状態にあります。グローバルの流れに目を向けても、様々な国の政治の先行きが不透明であり、今までやってきたことやスタンダードだと思われてきたことが、ここにきて崩れていっている感覚です。2020年12月22日から「風の時代」に変わったと西洋占星術で言われて多くの方々が発信されていましたが、新型コロナウイルスの流行や、地球温暖化に伴う気候変動や異常気象、台風や自身といった災害など、予測が困難な事象が次々と起こっていて、まさに風の時代であり、VUCAの時代であると思います。

「風の時代」というワードは個人的に好きなので少し触れると、風の前は「土の時代」で、遡ること220年前頃の産業革命以降続いて来ました。土の時代は、固定概念、不動産、終身雇用といった形あるものを重んじる物質主義の時代で、目に見える資産形成に価値がおかれ、実績を信用し組織の伝統を大切にする、我慢や根性が大切とされていた時代です。それに対し「風」は目に見えないように、今後は知性・コミュニケーションなど形のないものが意味を持つようになり、想像力、思考力が重要視されたり、柔軟性が必要になると言われています。

VUCAの時代には、想定外の出来事が次々と起こり、業界の概念を覆すサービスが登場するなど今までの常識が非常識になると言われています。代表例が「Uber」という新しいサービスですよね。

「VUCAに対応するために何をすべきか」で検索すると幾つか出てきたので読んでみましたが、こんな不透明な時代だからこそ、多くの外部の人達から多種多様な最新情報入手を入手し、変なキャップを被らず進むベクトルを多くの外部の人達の意見を取り入れて皆で考え、とにかくやってみるということが益々大切になってくるのだという感じが多いと思いました。

保険業界はキャップを被って勝手に限界みたいなものを決める方が多いので、もっと外部から話を聞いて、そんなにお金がかかる話ではないので諸々実証実験されたら良いと思います。外部の者として我々にも是非お声掛け下さい。

新しい保険の形を探るインシュアテック部会に参加されませんか

  • 2021/11/02
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

一般社団法人保険健全化推進機構結心会は色々な部会を創って活動をしていることをご存知でしょうか。

結心会定例会の中で開催されていた「インシュアテック」関係を「インシュアテック部会」を創設することで独立した取り組みにしています。
その第2回インシュアテック部会が11月16日午後から開催されますのでご案内いたします。

◆ 第2回 結心会インシュアテック部会スケジュール ◆
■会場 東京都渋谷区代々木3-25-3 あいおいニッセイ同和損保新宿ビル)
■日程 11月16日・火曜日
13 : 15  開会挨拶・・・ 結心会 会長 上野直昭
テーマ『新しい磁場を起こす』
13:30  『パネルディスカッション第一部』
・・・株式会社アニポス CEO獣医師 大川 拓洋 氏
   株式会社 矢野経済研究所 山口 泰裕 氏
   SEIMEI株式会社 代表取締役CEO 津崎 桂一 氏
14 : 40  休憩&集合写真撮影
15 : 00 『パネルディスカッション第二部』 
・・・ 株式会社 フィンプラネット 代表取締役 長谷部 直大 氏
SEIMEI株式会社 代表取締役CEO 津崎 桂一 氏
16 : 20  『質疑応答・意見交換』
16 : 50  『最後に』・・・結心会上野直昭
17 : 00    終了 

如何でしょうか。参加費がかかりますが、保険会社社員さんとかも興味津々の内容ではないかと思います。商品開発やDX部署の方々は参加されることをお勧めいたします。

ご存知のように一般社団法人保険健全化推進機構結心会は保険ショップの集合体として設立され、現在の保険ショップの台頭を支えて来ました。15年ほど前に誰が保険ショップが保険募集チャネルの一角を占めると考えていたでしょうか。保険を自ら考えたいという中間層と会うために「商業施設内に出店」を軸に展開しましたが、今は中間層自体が消滅。しかも、大型商業施設にわざわざ行かなくてもネットでモノが届く時代になりました。またネットで検索することで消費者の保険リテラシーは確実に高まりました。
こうした背景をもとに「新しい保険募集チャネル」の創成期が到来していると考えます。保険ショップに代わる次の「新しい保険(募集)の形」を探すために数多くのインシュアテック・スタートアップ企業との交流をインシュアテック部会を通じて理解し、一緒に新しい時代の扉を開いていきたいと考えています。

これまで結心会定例会の尺の中で開催していたインシュアテック関係を、このような形で新たに部会を創り独立させた形で定期的にインシュアテック部会を開催していきます。
まずは第2回インシュアテック部会に参加下さい!参加申込みは結心会ホームページの定例会・セミナーからお願いします。

人権問題への企業の取組

  • 2021/11/02
  • Dr.ウエノの保険コラム

長時間労働による過労死,就職活動や職場におけるセクハラやパワハラなどのハラスメント,不当な差別など,企業が関わる様々な「人権問題」がメディア等で大きく取り上げられることがあります。こうした人権問題への対応は,時として,企業の価値に大きく関わります。そのため,全ての人々が持っている固有の権利である「人権」の観点から企業活動を見直そうとの動きが国内外において高まっており,企業の社会的責任(CSR)や社会的責任投資(SRI)に対する関心の高まりと相まって,人権尊重の考え方を積極的に企業方針に採り入れたり,職場内で人権に関する研修を行ったりする企業が増えてきています。
研修については、全国の法務局・地方法務局で,企業等からの要望に応じて,無料で講師を派遣して,人権研修(大人の人権教室)を実施してくれるそうですので、一度依頼されてみては如何でしょうか。

コロナ禍で明らかになったようにモノの製造は全世界を巻き込んだサプライチェーンになっています。故に人権問題への企業の取り組みに、世界で厳しい目が注がれています。最近では、中国の新疆ウイグル自治区の綿製品に強制労働の疑いがあると批判が広がったほか、各地で児童労働などが問題になっています。大企業はもちろん中小企業も対応を迫られています。

しかし、中堅・中小企業にとって人権対策は高いハードルです。ノウハウが十分でなく、コストも重い負担になるからです。しかし、中小企業では人権対策が不十分だと大企業などと取り引きできなくなるおそれもあり、国もそこが政策課題だと考えています。

実際、身近なところにもセクハラ、パワハラはありますし、障がい者・外国人・LGBTに対する差別・偏見も普通に存在していると思います。
また、最近は平均寿命の大幅な伸びや少子化を背景として,人口のほぼ4人に1人が65歳以上の高齢者となる「超高齢社会」を迎えている中、豊かな知識や経験を生かし,仕事や地域における活動などで積極的に社会に参加している高齢者や、働く意欲のある高齢者の雇用を推進する企業なども着実に増えていますが、一方で、高齢者に対する差別・偏見も指摘されています。

身近に潜む人権問題に中小零細企業を含め対応が必要となっています。
難しい問題であるからこそ着手し改革をしていく必要があります。この難しい問題に向け、一般社団法人保険健全化推進機構結心会では、「ローカルSDGsサポーター俱楽部」と「グローバル障がい者支援部会」を立ち上げています。何ができるかわかりませんが「意識して取り組む」ことが肝要かと考えています。保険代理店が地域の地元企業を巻き込んで一緒に理解していくことから人権問題はスタートさせたいと考えています。自治体や地域金融機関を巻き込んだ取組にも発展させたいと考えていますので、関心がある方は結心会に問い合わせ下さい。