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損保社が保険代理店を通じて生保の通販参入

  • 2020/07/27
  • Dr.ウエノの保険コラム
損害保険大手が保険代理店を通じた生命保険の通信販売に参入することが報じられました。

まずMS&ADインシュアランスグループホールディングスが7月に約1万5000の損保などの代理店を通じ、生命保険を非対面で売り出すそうです。
損保を扱う保険代理店が生保を売りやすくなり、生保の販売市場が変わる契機になる可能性があると報じていました。

自動車保険や火災保険といった損保は、「非対面での契約更新が可能」です。損保代理店は1年に1度の契約更新などにあわせて生保を案内でき、しかも通販商品であれば案内をするだけですので、過去損保の既存契約者に生保を直接販売するという「クロスセル」が全くできなかった損保代理店にとっては朗報でしょうかね。生保は新型コロナウイルス禍で直接接触しない形での販売が広がっており、損保系生保にもその流れが波及したと報じていました。

通販は、三井住友海上あいおい生命保険が手がけるそうです。簡易な医療保険やがん保険を書類の郵送で契約できるようにするほか、死亡保険などほぼ全商品を、テレビ電話を通じて面談して販売できるようにするそうです。
代理店の販売体制は通販型生保のコールセンターの基準にあわせ、録音システムなどの整備を求め、苦情も記録し不適切な販売が起きにくい体制を整えるそうです。3年後に新規の契約の2割をこうした非対面を通じた販売に置き換える計画だとも報じられていました。

SOMPOホールディングスも年内をメドに損保代理店などを通じて生命保険を通販する体制を整え、今後全商品に扱いを広げ、更に東京海上ホールディングスも今後、コロナ禍で特例措置を講じて認めている生保の代理店通販を恒久的に認める方向であるとも報じていました。

損保系生保会社が登場して20数年。損保代理店での生保販売が全く機能せず、生保乗合代理店を中心に規模を拡大して来ましたが、乗合代理店に生保日本社子会社が相次ぎ参入したことで一定のシェアを維持できなくなっています。再度、損保代理店に生保販売は無理だと理解はしているので、新手の生保通販の案内に持ち込もうとしているようです。そんなに飛び抜けた商品力ではないので、売れるとは思いませんが、トライしてみることは面白いと思います。損保代理店に下手な商品説明をさせるくらいなら案内するだけで十分かと思います。
セブンイレブンでのがん保険販売もあいおい生命で取り扱うなど、損保系生保は「簡単・単品商品申込み」に活路を見出そうとしているのでしょうか。
特に東京海上社、損保ジャパン社は損保代理店の統廃合に躍起で、1県1代理店構想や収入保険10億円以下は不要という施策が進んでいて、統廃合後の代理店で生保販売させるには通販くらいしかできないと思いますね。

面白い方向性だと思います。