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コロナ過で色々あった損保業界の1年でしたね

  • 2020/12/21
  • Dr.ウエノの保険コラム
コロナ禍の1年で保険業界も大きく変貌しましたが、損保では「コロナ過で少しでも経費削減しようと特に地方の大型契約の相見積もりが盛ん」に行われたり、巣ごもりで自動車を運転しないので通販自動車保険が急伸したり、テレワークの定着でサイバー保険、ハラスメント保険等が注目されたりした1年でしたね。
人が動けない中、オンライン保険相談が一挙に普及し、人と会わなくても保険契約できる実績を構築することもできました。また、外資系損保会社では3月以降一度も会社に出社しないで全てテレワークで業務完了となり、事務所の不必要性、社員自体の不必要性が立証されたことになり、保険代理店統廃合と共に社員削減の方向性が見えたと思います。損保社の社員の給与は相変わらず高いので来年度以降は大きくメスが入ると思います。
一方、外出自粛で自動車保険の事故が大幅に減少し、人が動かなかったためか大型台風の被害も少なく、ここ数年多額の保険金支払いに対応していた損保各社はホッとした年でもあったと思います。

そして、コロナ過で経営が難しいということで「中小企業の事業承継」も盛んになったことを支援する商品も大手損保から続々と販売されました。事業承継に関する課題解決につながる商品の一つに、「M&A(合併・買収)のリスクを補償する表明保証保険」があります。

東京海上社は、M&A総合支援サービスを手がけるバトンズ(東京都千代田区)と連携し、当該社が提供する買収前に企業情報を把握するための「デューデリジェンスに保険」を自動付帯する仕組みを導入することで個人事業主や小規模事業者の円滑な事業承継を支援しました。

損保ジャパン社も全国の金融機関と連携し、「1億円以下の小規模M&Aに対応した商品」を10月に販売しました。引き受け審査を内製化するなどの工夫で「最低保険料を30万円」の安価に抑えることで、高額な保険料負担が困難な中小企業に活路を開いたす形になりました。

三井住友海上社とあいおいニッセイ同和損害社も年内に表明保証保険を発表する予定だそうです。売り主が被保険者となり、表明保証違反で買い主から経済的な補償を要求された場合などに活用できる内容となるそうです。

買い手は広範囲の保証事項を求め、リスクを小さくしたい売り手は限定的な保証事項を希望する訳で、こうした課題を解消する立て付けに表明保証保険がなっていて、コロナ禍もあり“待ったなし”の事業承継に保険が果たす役割が大きくなっています。

損保代理店のM&Aも盛んになっていますが、自身の契約者である企業のM&Aも水面下では盛んになっていると思いますので、「いきなりM&Aされて契約も飛んだ」という事態を招かないためにも、既存ホウジン契約者には「表明保証保険」という商品があることを案内して、M&Aの探りを入れてみるというのも良いかと思いますよ。