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金融庁の顧客本位の業務運営・好事例の分析にあたってのポイント

  • 2021/05/10
  • Dr.ウエノの保険コラム
金融庁より2021年4月12日に発表された「顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」について、いくつか絞ってみてみましょう。

【顧客の最善の利益の追求】 
原則2.金融事業者は、高度の専門性と職業倫理を保持し、顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図るべきである。金融事業者は、こうした業務運営が企業文化として定着するよう努めるべきである。 
■ポイント
(a) 「高度の専門性と職業倫理」や「誠実・公正」の確保に関する取組みが具体的に示されている。
(b)「顧客の最善の利益」の実現状況を確認するための指標が示されている。 
(c) 当該指標の背景となる「顧客の最善の利益」の考え方が具体的に示されている。 
(d)「顧客の最善の利益」にそぐわないと考える行動が特定され、具体的に示されている。 (e)「顧客の最善の利益」を図る「企業文化」を定着させるための取組みが具体的に示されている。 
(f) 「自らの安定した顧客基盤と収益の確保」に向けた考え方や取組みが具体的に示されている。 
(g) 上記(a)~(f)の取組み等の成果や進捗について、検証し、評価する仕組みが示されてい る。

【重要な情報の分かりやすい提供】
 原則5.金融事業者は、顧客との情報の非対称性があることを踏まえ、上記原則4に示された事項のほか、金融商品・サービスの販売・推奨等に係る重要な情報を顧客が理解できるよう分かりやすく提供すべきである。 
【ポイント】 
(a) 「重要な情報」として顧客に提供する内容が具体的に示されている。 
(b) 「重要な情報」の顧客への提供に際し、用いる資料(重要情報シートを含む)や説明方法(情報の重要性に応じた対応を含む)が具体的に示されている。 
(c) 「重要な情報」の顧客への提供に際し、複雑又はリスクの高い商品の販売・推奨等を行う場合には、顧客において同種の商品の内容と比較することが容易となることを確保する方法が具体的に示されている。 
(d) 「第三者から受け取る手数料等」について、同じ金融商品・サービスでも数量や選択す る通貨、コース等によって変動する場合は、その関係性について顧客に情報提供する仕組みが示されている。 
(e) 複数の金融商品・サービスをパッケージとして販売・推奨等する場合に、個別に購入することが可能であるか否かを顧客に説明する方法が具体的に示されている。 
(f) 複数の金融商品・サービスをパッケージとして販売・推奨等する場合に、パッケージ化する場合としない場合を顧客が比較することが可能となるように顧客に情報提供する内容が具体的に示されている。 
(g) 上記(a)~(f)の取組み等を含め、「重要な情報」を顧客が理解できるよう分かりやすく 提供できているか、検証し、評価する仕組みが示されている。

【顧客にふさわしいサービスの提供】
原則6.金融事業者は、顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズを把握し、当該顧客にふさわしい金融商品・サービスの組成、販売・推奨等を行うべきである。 
【ポイント】 
(a) 顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズ等、顧客にふさわしい金融商品・サービスの提供のために把握する情報が具体的に示されている。
(b) 顧客にふさわしい金融商品・サービスを提供する観点から、商品ラインアップの整備の考え方が具体的に示されている。 
(c) 当該商品ラインアップの整備に関し、商品の選定および改廃に係る審査基準や審査プ ロセスが具体的に示されている。 
(d) 当該商品ラインアップの整備に関し、個別の商品の選定および改廃に係る結果が具体 的に示されている。
 (e) 販売対象として想定する顧客属性を特定・公表するにあたり、その考え方を具体化した 基準を用意し、一貫性をもって想定する顧客属性を特定・公表できる仕組みが示されて いる。 
(f) 顧客に販売・推奨等を行った商品や、当該商品の販売・推奨等の方法が、顧客にふさ6 わしいものであることを確認・検証するための方法や基準等が具体的に示されてい る。 
(g) 金融商品・サービスの販売後において行うフォローアップについて、どのような場合 に実施するか・目的・内容等が具体的に示されている。
 (h) 複雑又はリスクの高い金融商品の販売・推奨等を行う場合や、金融取引被害を受けや すい属性の顧客グループに対して商品の販売・推奨等を行う場合に、それが適当かを 審査する仕組みが具体的に示されている。
 (i) 複雑又はリスクの高い金融商品の販売・推奨等を行う場合や、金融取引被害を受けや すい属性の顧客グループに対して商品の販売・推奨等を行う場合に、それが適当かを 審査するに当たっての判断基準を検討する仕組みが具体的に示されている。
 (j) 顧客に対し、属性に応じて金融取引に関する基本的な知識を得られるための情報提供 の具体的な取組みと実績が示されている。 
(k) 上記(a)~(j)の取組み等について、成果や進捗を検証し、評価する仕組みが示されている。

この辺りは生命保険協会で議論されている「代理店業務品質のあり方等に関するスタディーグループ」の内容とリンクするものが多いと思います。
保険代理店としても意識した顧客対応の態勢整備をしていきましょう。