メルマガ一覧

グーグルがスマホを使った送金システム企業を買収

  • 2021/07/19
  • Dr.ウエノの保険コラム
IT大手のグーグルが、スマートフォンを使った送金サービスを手がける日本のスタートアップ企業を買収することになったことがメディアで報じられました。膨大なデータを生かし、日本で今後キャッシュレス決済の事業を一層強化する狙いがあるとみられています。

発表によりますと、グーグルは、スマートフォンを使った送金サービスを手がける日本のスタートアップ企業「pring」社のすべての株式をこれまで保有していた国内の金融サービス会社などから取得します。グーグルは買収金額を公表していませんが、株式の45%分を売却した金融サービス会社は売却額が49億円余りだったとしています。pringは、個人客だけでなく、およそ400の企業などに経費精算のサービスを提供しているほか、大手銀行など全国50余りの金融機関とも提携しています。

グーグルはすでに日本で決済サービスを展開していますが、多くの金融機関と提携するこの会社の買収によって、キャッシュレス決済の事業を一層強化するねらいがあるとみられます。

スマートフォンを使ったキャッシュレス決済のサービスを利用する人はここ数年で急激に増えています。
各社が公表している最新のデータによりますと、「PayPay」の利用者は4000万人、「LINE Pay」は3880万人でこの2つは統合に向けて協議を進めています。
また「d払い」は3500万人余り、「au PAY」は2600万人余り、「メルペイ」は1000万人余り、今回、グーグルが買収する「pring」は数十万人です。
取扱高も増えていて、2019年度は「PayPay」がおよそ1兆2000億円、「d払い」は3990億円だったのに対し、翌2020年度は「PayPay」はおよそ3兆2000億円「d払い」は8100億円といずれも2倍以上となり、利用が急拡大しています。
「pring」買収によるグーグルの本格参入で地図が変わるかもしれませんね。

一方で、地方銀行がスマートフォンのアプリで多くの銀行取引ができるようになる技術基盤をりそなホールディングスがつくることも報じられました。基幹システムの設計や運用を手掛ける日本IBMやNTTデータと新会社をつくり、ベンダーの垣根を越えてデジタル化に遅れる地銀の取り組みを後押しするとしています。

地銀のバンキングアプリは預金残高を確認できる程度の機能にとどまることが少なくありませんが、新会社では日本IBMやNTTデータがシステムを構築し、りそなは自社の機能を地銀に提供することで、地銀に認証サービスやキャッシュレス決済などの技術を開放できるようにもするとしています。
顧客がまとまった資金の運用を一任するファンドラップなど資産運用での連携も見込んでおり、商品やシステムの提供先が増えれば、手数料の底上げを見込め、既存の商品や技術に相乗りする地銀にとっては、開発に要する時間と費用を減らせる利点があります。

バンキングアプリのダウンロード数は、りそなグループで約400万件に達し、ここにグループ外の銀行が加わり利用者が伸びるほどプラットフォームとしての魅力も高まるとしています。

こうした取組で個人情報データは益々膨大化して行きますね。こうした背景を受け、金融も金融サービス仲介業が中心になることは明白のように思います。