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企業経営で「パーパス」という言葉が注目されています

  • 2021/11/24
  • Dr.ウエノの保険コラム
企業経営で「パーパス」という言葉が注目され、関連のビジネス書が続々と出版されています。パーパスは「会社の存在意義」と訳され、社会にどんな価値を提供したいのかを、お客様や投資家、従業員などに分かりやすい言葉で表した会社の“志”のようなものです。なぜ今パーパスが注目されているのでしょうか?こんなニュースが報じられていましたのでご紹介します。

大手食品会社の味の素は2020年、新たにパーパスを策定しました。それまでの会社のビジョンは「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニーへ」。世界の食品企業のトップ10入りを目指すというものでした。しかし、その言葉は従業員や経営陣に十分に浸透していなかったそうで、40人ほど役員が集まる合宿があって『今のビジョンを言ってみてくれ』と言ったら、みんな覚えていなかったそうです。そこで経営陣を集め、「会社の存在意義は何か」を話し合い、売り上げや事業規模の拡大だけでなく、食品会社が社会に果たすべき役割を改めて問い直したそうです。

味の素が2年かけて練り上げたパーパスは「食と健康の課題解決企業を目指して」。
それまでの「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニーへ」とは大きく変化しました。
食習慣の改善や健康寿命を延ばすことが会社の役割だと示し従業員などと共有したそうです。グローバル企業でこのぐらいの規模になりたいという目標のビジョンから、『2030年にはこういう課題を解決していたいね』という考え方に変わり、故に従業員もスッと腹落ちしたそうです。会社では従業員にパーパスの説明会を開いたり、貢献度が高かった人を表彰したりして、浸透を図っているそうで、表彰された従業員はパーパスについて「全員が同じ目標や事業化に向けて一丸となってやっていく。モチベーションがより高まった」と話していました。

関東を中心にホームセンターを展開するカインズは2年前「くらしに、ららら」というパーパスを掲げました。鼻歌を口ずさむような楽しい暮らしをお客様に提供することを会社の存在意義としたのです。    

パーパスを策定したことでやるべきことが明確になり、従業員から「洗濯物が楽に外せるハンガー」のような新しい商品の提案や、事業の提案が集まりやすくなったといいます。
従業員の発案で、店の地元の農家が育てた野菜をPRするイベントも始めましたが、これは店を地域の交流の場にすることで楽しい暮らしを提供していこうというねらいだそうです。
われわれは何者なんだ、どんな価値を社会に提供していくんだと、この先10年20年、我々が追究していくべき事業こそが価値だと思っている」と経営陣がお話になっていました。

会社の志を端的に表すパーパスが、気候変動やコロナ禍によって大きく変化する社会に対応していくためにも必要だと言われています。「利益主義みたいなものが資本主義の原点だったものが、地球の破綻や社会の破綻を生んでいることにみんなが気づき始めて、今までの右肩上がりの成長という時代から、もう一度目的を探し直す時代に変わっている」のだと思います。

他にも、ソニーグループは「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」、ファーストリテイリングは「服の領域で社会を支えるインフラになる」、ライオンは「よの良い習慣づくりで人々の毎日に貢献する」、LIXIは「世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいの実現」という企業パーパスを掲げています。

社会の変化に直面して、会社を変えなければならないという動きや、従業員が働き方を模索する動きが起きています。そういう時だからこそ「何を目指すか」を見定めるため、軸となるパーパスを再確認する必要が生じているのだと考えます。

保険代理店の皆様も是非パーパスを皆で考えて掲げてみましょう!