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月面探査向けの保険のニュースが!損保の商品はモノと共に拡大して面白い

  • 2022/04/25
  • Dr.ウエノの保険コラム
三井住友海上社と東京海上社の損害保険大手2社は、「月の調査などで発生した損害を補償する保険を開発する」と発表したことが報じられました。補償内容としては、「月に探査車を送りこむための着陸機の故障などを補償する」そうで、2022年中にも月面探査事業に参加する企業に提供し、民間企業の月面ビジネスへの参入を後押しするそうです。

損害保険もついにここまで来たかという感じですね。

月面探査は地球から打ち上げたロケットから宇宙空間で着陸機を切り離し、月への着陸後に探査車を分離させますが、着陸機が月の軌道に入れなかったり、着陸時の衝撃で破損したりするリスクや探査車も輸送中の振動や月面の細かい砂を吸い込んで故障するリスクもあるそうです。三井住友海上社はこの着陸機向けの保険を開発するそうで、「着陸機が月面に到達できなかった場合に保険金を支払う」としています。事業者の損失額はロケットの発射にかかる費用を含めて100億円規模に上ると想定されていて、保険金100億円に対し保険料は1回の打ち上げあたり10億円程度を見込むそうです。
また、東京海上社は「月面探査車向けの保険」を組成したそうで、探査車が月面で稼働しているかどうかを確認するために、月面から写真を撮影して地球に送信してもらう際に、画像が届かない場合は探査車が稼働していないとみなして開発企業に保険金を支払うとしています。

三井住友海上社はまず着陸機などを開発するスタートアップのispace(アイスペース、東京・中央)に保険を提供するとしています。当該社は今年中に月へ着陸機を送り込む計画だそうです。また、東京海上社は探査車開発の新興企業、ダイモン(東京・大田)の機器に保険をかけるとしていて、当該社も年内にも自社の無人探査車を米国企業の着陸機に搭載する予定だそうです。

損害保険ジャパンを含めた国内損保はこれまで人工衛星向けなどの保険を手がけていますが、ついに月面探査事業まで来たかという感じです。人口減などで主力の自動車保険や火災保険の市場が縮小しており、宇宙向け保険を新たな収益源に育てたい考えだそうです。

従来の国家予算を使った宇宙開発から、今後は民間企業による月面ビジネスが拡大する見通しで、トヨタ自動車も有人の月面探査車を開発するほか、清水建設など大手ゼネコンも月面に居住施設などを建設する手法を研究しているそうで、月面ビジネスの拡大に伴い、スタートアップなどの参画も増え、月探査のリスクを補償する保険の需要は増える可能性があると考えられています。

ドローン保険、サイバー保険は一般化し、空飛ぶクルマの保険もいよいよという中、損害保険は月面探査にまで拡大しています。「モノ保険」故に新しくモノが出てくる都度、損害保険は新商品ができます。これが損害保険の強さでしょうね。