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コロナでの入院給付金支払いが東日本大震災の死亡保険金を上回る額に到達

  • 2022/06/20
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ
新型コロナウイルスの流行に伴い、生命保険会社が契約者に支払う入院給付金が東日本大震災の死亡保険金を上回ったことが日本経済新聞に報じられていました。

生命保険協会によると、東日本大震災で加盟社は合計で1599億円の死亡保険金を支払ったそうですが、新型コロナに関連した死亡保険金は今年4月末時点で1312億円に達し、病気やけがの治療で入院した際に受け取れる給付金も1658億円にのぼり、この入院給付金に限れば、東日本大震災の支払額を超える水準まで膨らんでいるとのことです。日本、第一、明治安田、住友の大手4社の支払件数は5月末時点で21万件弱(速報値)と、第5波の影響で請求が増えていた昨年10月の5倍近い水準に達しているそうです。

支払額が膨らむ入院給付金ですが、実際に入院した患者からの請求は全体の1割前後にとどまり、残りは陽性と判定されたにもかかわらず自宅などで療養する「みなし入院」となっているそうです。生保協によれば、加盟社がみなし入院で支払った給付金は計1452億円にのぼるそうです。第6波の中心だったオミクロン型は重症化率が従来より低い傾向にあり、数日の静養で通常の生活に戻れる場合が少なくないので、軽症や無症状なのに給付金を受けられる現状に矛盾を覚える向きが業界内で強まっているとも報じていました。感染症法上の位置付けを現在の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同様の「5類」へ下げるよう求める声は根強く、季節性インフルは給付金の対象とならないため、分類が変わるならみなし入院の措置も見直すべきではないかとの声も上がっているようですが、生命保険協会は「ただちに措置を停止するとは考えていない」とコメントしつつも感染のピークが過ぎ、コロナと共生しながら経済活動を正常化させる過程では措置の見直しも選択肢になるのではないかともコメントしています。

こうした中、ジャストインケースは2022年3月31日をもって、「コロナ助け合い保険」を含む同社の総合医療保険の販売停止を決定、更に4月6日には既契約者に遡及し、保障内容の変更を決定しました。同社の「コロナ助け合い保険」は保険料1000円以下で、新型コロナ陽性が判明し、医療機関に1泊2日以上の入院のほか、自宅やホテル等で1泊2日以上の療養という「みなし入院」でも、一時金10万円の保障が支払われる保険で、かつウェブサイトから簡単に申し込めるため人気がありましたが、支払い急増でついに4月7日以降、既契約者も含めて、医療機関に1泊2日以上入院した場合は、保険金を10分の1の1万円に減額し、10分の9をジャストインケースのグループ会社から、「お見舞金」という形で支払うと発表しました。しかも、医療機関に入院しない自宅やホテル等での「みなし入院」は、お見舞金は支払われないとされています。

更に、PayPayのミニアプリ「PayPayほけん(1dayほけん)」で提供されている「コロナお見舞い金」の補償内容も改定され、保険金額が改定前の50,000円から20,000円に引き下げられました。6月14日以降の新規加入・継続の場合に新しい補償内容が適用され6月13日までに加入している契約の保険金額は契約の満期まで変更はないとしています。

こうした相次ぐコロナ保険の内容改定は業界としての信用を失墜させることになりますが、個社ベースでみると仕方がない経営判断だと思いますし、保険という構造を理解していただきには良い材料かとも思います。こうした情報発信を保険代理店は積極的にお客様にして欲しいと思いますね。