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損保会社が自動車保険の変革を急いでいますが保険代理店はどう動きますか

  • 2022/06/22
  • Dr.ウエノの保険コラム
人が一切ハンドルを握る必要がない自動運転車の登場が近く見込まれ、自動車自体が大きく変わりつつあることを背景に大手損保会社各社が自動運転時代に向けた新しい保険商品や、走行データを活用した新事業の開発などを進めていることが日経新聞に報じられていました。損保代理店さんはお好きな内容だと思いますので紹介しておきましょう。
 
損保ジャパン社は2月に開発した自動運転車向けの新しい保険の発表の際に「自動車産業の変化は長期的にとらえつつ、変化の兆候が出たときにスピード感をもって対応することが大事。今回も早めに動いていこうという取り組みだ」とコメントし、5段階ある自動運転レベルのうち、特定条件のもとで、緊急時も含めすべて運転を車がする「レベル4」の自動運転車が対象になるとしました。レベル4の車は今は公道を走れませんが、政府は今年度、レベル4にあたる「無人自動運転移動サービス」を地域限定で始める構想で、過疎地などで公道の決まった経路を遠隔監視で走る無人のバス型車両の実用化を目指しています。そんな中、損保ジャパン社がまず手掛けるのは自動運転車向けの保険で、自動運転システム開発のティアフォー(名古屋市)とヤマハ発動機が共同で作る専用車向けに補償を提供するとしています。レベル4では事故の責任をシステム開発側が負う可能性があるので、ティアフォーが被保険者となり専用車を工場で活用したい企業などに事故時の補償などと合わせ、サブスクで貸し出す仕組みにするとしています。いよいよ実用車としての自動運転車がリアルに走行し、そこに保険もリアルに登場することになります。

東京海上社も自動運転車向けの保険やサービスの検討を加速させているそうです。
また、自動運転車のサイバーセキュリティーの強化に取り組んでいるのが三井住友海上社で、自動運転車や通信機能を備えたコネクテッドカーは外部からサイバー攻撃を受けるリスクがあるとして、昨年サイバーセキュリティー分野に強いイスラエル企業に出資したそうです。更に、あいおいニッセイ同和損保社は走行データを活用した新サービスの展開を検討しているそうです。

各社が自動運転分野に積極的に投資するのは国内損保の保険料収入の約5割を占める自動車保険が事業の屋台骨だからで、自動運転時代に合わせた保険商品を提供できなければ競争力を失いかねないからだと分析していましたが、このあたりは損保代理店の皆さんも十分ご理解されているところだと思います。

トヨタが販売しているEVカーも車検代・自動車保険料込みでサブスク提供されています。現在の自動車保険の6割がこうした背景をもとになくなるともいわれていますので、自動車保険主力の損保代理店は生きていける感じがしないですよね。なので、サイバー保険とか、時代を象徴する新商品への移行といっても全く進む感じもなく、ついには損保会社からは1代理店10億円の収保がなければと言われ、統廃合が進められています。保険会社の直資の保険代理店に統廃合されるか、大規模代理店に合流するかの選択肢しかないように思いますが、一つの選択肢として「生命保険をビックリするくらい取る」というのも手だと考えています。しかし、過去20数年取り組んできても全くできなかった訳ですので、アレルギー感もあると思いますが、生保はやり方次第で、簡単に大きく伸ばすことができます。

統廃合は嫌だ、損保のクロス販売や新商品販売も難しい、誰に相談していいかもわからない…という損保代理店の皆さん、まずは○○保険代理店という看板を捨てて「ほけんのマルシェ」の看板を掲げてみませんか。保険ショップのブランドみたいで、この看板を見たお客様が皆さんの事務所に来られたりするかもしれませんよ。また既存のお客様も看板を見て「あれっ、保険ショップに変わったの」として生保の相談連絡があるかもしれませんよ。
「入口」を変えることで「周りの認識を変える」ことから、最初の半歩を踏み出してみては如何でしょうか。とにかく何か取り組んでいかないと損保代理店の将来は厳しいと思います。頭ではわかっている方が多いですが、ここは行動に移すことが肝心だと思います。