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標準利率と生命表の改定

  • 2017/01/06
  • Dr.ウエノの保険コラム

生命保険の保険料ってどうやって決まるかご存知ですか。

生命保険は「大数の法則」に則って統計を活用したリスク度に応じて商品設計されています。保険料を決める重要な要素は次の三つ。

① 生存率・死亡率の指標となる「生命保険標準生命表」(公益社団法人日本アクチュアリー協会)

② 運用利回り(=予定利率)の参考となる標準利率(金融庁)

③ 人件費や物件費といった事業利率(各保険会社)保険料は純率と言われる①②に加え、付加保険料となる③により構成されます。③は各保険会社によって異なる故に、保険会社によって保険料に差が生じる訳です。

③は各保険会社の問題ですが、①と②は業界全体に作用することなので、改定のたびに大きな影響が出来ます。最近では、次のような出来事がありました。

◆2007年

「生保標準生命表」が改定。死亡率が引き下げられ、大々的に保険料が変更。

◆2013年

金融庁より「標準利率」が引き下げ。主に貯蓄機能のある生命保険商品が値上げ。

◆2015年

新たな方法による「標準利率」が適用。一部の一時払保険の保険料が値上げ。こうした動きがあるたびに消費者の方は敏感で「駆け込みで保険契約」される方が多発し社会現象を巻き起こしています。2013年4月に低金利に応じて全面的に保険料が改定されたのが、ついこの間のような気がしますが、2017年から2020年にかけて再び2段階の保険料改定がなされます。まずは標準利率が2017年4月から現在の1.00%から0.25%へ下がります。

従って、2017年4月以降に契約する新規加入者から新保険料が順次スタートする予定ですが、当然、商品の特性に応じて価格への影響度は異なります。まず、低金利の影響から2017年に予定利率を下げる見通しで、それによって長期の運用収入を見込む貯蓄型の生命保険について「保険料の値上げ」が予想されます。

既に保険会社によってはマイナス金利下、貯蓄系保険の売り止めもしていますので、また3月までは「駆け込み契約」が発生するのではと予想しています。更に2018年4月には、長寿化を反映して、標準生命表が改正され、死亡率が大きく引き下げられる見込みです。

となれば、「死亡保障の生命保険は値下げ」傾向に、高齢化によるリスク増により「医療保険は値上げ」傾向が予測されています。

◆まとめ

2017年4月からの「標準利率」低下によって、保険会社は資産運用について収入が減る前提で商品設計することになるので、契約者が払う保険料は値上げ傾向が強く出ます。特にそれが顕著に出るのは、資産運用による貯蓄機能がある商品(終身保険、個人年金保険など)だと考えます。また、「標準利率」の改定頻度も既に年4回に増えていますので、運用環境の変化に応じた改定が今後もなされることが予想されます。

更に、2018年~2020年4月までに予定されている「標準生命表」の改定は、長寿化に伴い死亡率の低下が反映されると予測されますので、掛け捨ての死亡保障商品(定期保険や収入保障保険など)は、保険料が下がると考えます。

一方、長寿化による医療や介護リスクから、医療保険や介護保険などは値上げが予想されています。こうした数年の動きを念頭に置いて、今年一年の事業計画を立てましょう!!