第124号 「年を重ねることは、豊かになること」 -2017年10月23日配信-

「年を重ねることは、豊かになること」

季節の変わり目、寒暖の差が激しい時期になりました。
若い頃はあまり考えなかったのですが、
最近ふとこの時期に考えることがあります。

日本の一年には四季があり、季節は巡る。
春、夏、秋、冬、そして、また新しい年が始まる。
人生に四季があるとするならば、今の季節は何だろうか、
そして、その季節は止まることなく進み、
やがて冬が来て、終わるのだろうか。
時は残酷と言われます。どんどん進み、誰も止められない。

老いる、衰える、不自由になる・・・
年をとると、様々なマイナスの言葉で表現されることが多くなります。
私は、あえて「年を重ねる」と表現するようにしています。
そして、年を重ねるとは、豊かさを増すことであると考えています。

これまで出来ていたことが出来なくなることもあるかもしれない、
それは、あらためて、出来ていたことの価値に気付けることでもあるのです。
さらに、今、自分に残されている能力や価値に気づくチャンスでもあるのです。

こんな話を聞きました。
命の期限を宣言されたガン患者さんのお話です。
その方は、こう仰ったそうです。
「この病気でよかった」
「交通事故だったら、大切な人に感謝やお別れを告げる時間もなかった」
「自分に残された時間を、惜しみなく、大切な人と大事に使える」

私がその人の立場になって、
同じことを言えるかどうか、絶対的な自信はありませんが、
この言葉から、そう考えさせていただけそうな救いをいただきました。

病気でなくても、私たちは、命の限りを宣告されています。
それが、今なのか、半年先なのか、数年先なのか、10年先なのか、
20年先なのか、それとも30年先なのか、あるいは、もう少しだけその先、
その違いだけです。

年を重ねることを恐れずに、どんどんと豊かさを得ることを
楽しみに生きていきませんか。

こんな文章を書けるようになったということは、
私にも少し豊かさが出来てきたということでしょうか。