第136号 「うたかた」 -2018年04月23日配信-

うたかたの夢、うたかたの恋という表現があります。
うたかたを漢字で書くと「泡沫」。
まさに泡のようにはかない、短い時間のこと。
さらに、はかないを漢字で書くと「儚い」。
人の世は夢のごとし、不確実で捉えどころのないもの。

人の命は長いようで、うたかた、あっという間です。
このうたかたの儚い命をどう使って生きるのか、
その態度こそが、その人の生き様となる。

うたかただからこそ、今この瞬間を大切に生きる。
儚いからこそ、しっかりと思いを持って生きていく。

生きている中で、ときに儚さを感じることがあるかもしれない。
なんとも言えないやるせなさや無力感を感じるかもしれない。
それでもなお、
今この瞬間を生きていく。
顔を上げて生きていく。
思いを持って生きていく。

泡沫と人との違いは、そこに思いがあるかどうか。
人の思いは、泡沫がはじけた後でも、そこに残ります。
次の世代に受け継がれます。

この身の儚さと命のうたかたを知り、
それでも思いを持って生きていく。
これが人ではないでしょうか。

東北にて散りゆく桜を愛でながら、そんな思いが胸に湧いてきました。