第142号 「場を読む達人、日本人」 -2018年07月23日配信-

「場を読む達人、日本人」

私が私淑している師のお一人に河合隼雄先生がいらっしゃいます。
残念ながら、11年前にお亡くなりになられたのですが、
定期的に講演会や講話の音声を聞き直させていただいています。

その河合先生の講話の中にとっても面白い話がありました。
外国の方にこのお話をすると、とっても面白がられる話なのですが、との前置きで
始まるこのお話は、日本人が聞いても面白い話です。

私たちが使っている日本語、その会話の中で自分のことを話すときに、
「私は・・・」と言ったり、「僕は・・・」と言ったり、
あるいは「俺は・・・」または「パパは・・・」と無意識に
言葉を使い分けて話している。

その会話の場面の中で、その場はどのような場で、
自分はどの立場で話しているのかを瞬時に判断して
「自分」というものの主語を使い分けている。

ところが、英語には、自分を表す言葉は「I(アイ)」しかない。
フランス語も相手を表す言葉はいくつか種類があるけれども、
自分を表す言葉は、やはり一つしかない。
日本人だけが、置かれた立場、場面に合わせて、
自分を言い分けている。じつは、日本人は場を読むトレーニングを日々、
瞬間瞬間、無意識に行なっている人種なんです。

当たり前のように、会話の中で無意識に使い分けている「自分」を表す表現、
言葉を普段意識することってあまりないですよね。
ただ、そう言われてみると確かにその通り。

場を読んでしまって、立場をわきまえ過ぎて、
発言が鈍ることがあるかもしれない。それが欧米人からすると、
日本人は何を考えているか分からない、自分の意見を持っていないと
思われることもある。

ときには、場をあえて読まず、立場を超えて、自分の本当の思いと向き合い、
「私は・・・」と発言してみるのもいいかもしれませんね。

と、「私は」そう考えます。
そして、「私は」自分の考えをストレートに表現することに挑戦してみます。
皆さんは、いかがですか。