第169号 「伝え方を変える」と新刊あとがき -2019年09月09日配信

「月曜から夜ふかし」という番組にスタジオ出演させていただいのは5年ほど前です。
そのときにマツコデラックスさんのことを知りたいと、マツコさんのご著書をありったけ購入して読みました。
その内容が非常に毒舌というか毒筆でした。
絶対に弱者は攻撃されないのですが、世間に知られている人で、マツコさんの基準からして違う!と思われる方に対して、
遠慮なく意見を書かれています。
正直、これらの本を読まなければ良かった、と思うほど収録前にビビってしまいました。

ところが、スタジオでのマツコデラックスさんは、ご著書に比べると非常にマイルド、まるで別人です。
そのほかの番組でも、本の中での表現とは全然違う。優しさに溢れている。
どうしてこれほど違うのか。じつはメディアで伝え方を変えていらっしゃるのです。

ある有名ブロガーさんも、商業出版ではSNSに上げたら炎上するような内容でないと本は売れないとおっしゃってました。
わざわざ書店で、手に取りレジまで持って行ってお金を払って購入する。
そこまでの思いのある人にはより濃い内容を提供しないといけない。
メディアによって、書き方を変える、伝える深さを変える、思いの温度を変える。
一流と言われる人は、そこまで考えられているのですね。
逆にいうと、誰でも手軽に見ることのできるFacebookなどのSNS、
あるいはブログなどでの発信はその内容により気をつけておかないといけない。
不用意な発信をしてしまって、本意でないことが拡散されてしまうと大変。
「SNSで大切なことは失点をしないこと」とおっしゃる方もいます。慎重が一番だと。

しかし、落語の「目黒の秋刀魚」になっては面白くない。(噺は面白いですよ!)
このメルマガをわざわざ読んでいただいている皆さんには、より深く、より熱い内容をお伝えしていきます。

その証しとして、今回は特別に10月10日に出版予定の私の新刊「ほめ下手だから上手くいく」の校正前の「あとがき」をご紹介いたします。
今回の出版は私にとって11冊目の本となるのですが、特別な思いを持って書いた本です。
「あとがき」までの全6章は、言葉が降りてくるように書くことができました。
一人でも多くの人に読んでいただきたい。心からそう思っている本です。その本のあとがきです。


~あとがき~

この本は、大切な人たちのために書きました。
一人はこの本を読んでいただいている「あなた」。
そして私にとって大切な人たち。
不器用で、まっすぐで、傷つきやすくて、優しくて、なかなか他人からの評価が得られず、つねに不安を抱え、転び、つまずきながら、それでも前へと進み続ける人たち。

私にとって特別な人たち、それは私の家族です。
その中でも私の子どもたちは、私に輪をかけて不器用で、まっすぐで、心優しき人たち。
私が心から尊敬を寄せる、そんな彼らが、これからの人生、心健やかに過ごせるように。
多くの人から助けていただけるように。また、誰かを支える存在となれるように。
その祈りを込めて、この本を書きました。
そして、この本を書き上げることができたのは、間違いなく子どもたちのおかげです。

「私、遅咲きだから」。
この言葉を胸に10年間、異国で「3年先の稽古」を続け、
バレエダンサーとしてようやく日の当たる場所に飛び出そうとする長女の奈恵。
彼女からは、諦めないこと、継続し続けることの価値を教えてもらいました。
そして、本気で取り組み続けていれば、必ず協力者が現れるということも。

「失敗してもいい、この挑戦をしなかったら一生後悔する!」
中学生にして自らの強い意志で挑戦し、失敗し、立ち上がり、また失敗した次女の実弥乃。
そこから、はいつくばり、もがきながら自分で道をみつけ切り拓き、海外で次のステージに挑戦する実弥乃。
彼女から学んだことは、意志を持ち行動を始めれば状況は変わるということ。
明確な夢や目標が見つかれば「助けてもらう強さ」が手に入るということ。そして、夢は叶うということも。

「優しさしか、ないから・・・」
一番下の長男、公寿。彼からは、この本を書き続ける意志をいただきました。
進路について相談を受け、アドバイスをしている時のこと。
私は質問しました、どうして背伸びをして大変な志望校を選ぶのか、無難なところにしないのか。
彼は「何かを証明したい!」「自分が胸を張って、これを成し遂げたというものを持ちたい」と訴えました。
「公寿は、部活でキャプテンをやったり、人望があるし、何かを無理をして証明する必要ないよ」「何よりも、公寿には優しさがある」。
次の瞬間、彼はうつむき、声を絞り出し「優しさしか、ないから・・・」。
ぼろりと涙をこぼす彼の姿に、私は何があっても彼を支えようと決めました。
優しさしかない人たちが、幸せを実感する世の中にする。その決意があらたになりました。
そのための地ならしを、微力かもしれないが、全力でやり続ける、その覚悟が定まりました。

「ほめ達!」を伝えることは、私にとって「志」です。
「志」とは、己れ一代ではとても叶えられない大きな願いを実現させようという祈り。
健全なる心を持つ人が、心苦しくなることなく生きていける世界へ。
「ほめ達!」の小さなロウソクの灯りを次の世代へ引き継いでいく、これが私の役割です。

そして、最後に告白をします。
この本の中で語りかけていた「あなた」とは、読者のあなたのことであり、そしてもう一人、「ほめ達!」と出会う前の私自身のことなのです。
その「あなた」に私から最後のエールです。

「あなた」が諦めない限り、
「あなた」は、さらに素敵な人に成長し続けます。
そして、「わたしたち」が諦めない限り、
この世の中、世界はさらに素敵なものになっていきます。
「あなた」が「あなた」を諦めない限り。
世界は「あなた」の言葉で輝き続けます。

さぁ「あなた」の言葉、表情、仕草で、この世界を輝かせていきましょう。
もちろん、私もお供いたします。

~ここまで~

長文を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
新刊の情報については、ブログでもご紹介していきますのでお楽しみに。