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損保代理店が損保増収するためには

  • 2020/07/13
  • Dr.ウエノの保険コラム

先週、宮崎で若手代理店の皆様と交流会を開催しました。多くが2代目の代理店主で事業承継が宮崎では普通に進んでいるようでした。

若手代理店との意見交換の中で「生保取組」についても話しました。
損保の代理店が既存損保契約者に生保併売するのは「無理」と歴史が証明しています。損保会社が生保子会社を作り、損保顧客に生保販売をトライして30年くらいでしょうか、相変わらず全く売れませんね。大手損保会社で既存損保顧客に生保併売している率は8%と言われていますが、他損保社から言わせると驚異的な数値と言われています。30年も頑張って、この体たらくですから、業界で良く言われる「クロスセル」は難しいと思います。

だったらどうするか。
損保顧客に頼らず生保を販売するためのマーケットを作れば良いのです。
しかし、自分で作るとなると難しいですよね。であれば、マーケットを持つ他の代理店と提携すれば良いのです。
そのマーケットを有する損保代理店があります。それが「モーターチャネル」、メガ整備工場です。日本には年間1万台を突破する整備工場は9000社もあるそうです。結心会でモーター部会を作ったニュースが週刊ダイヤモンド誌に掲載されたり、保険業界紙にも相次いで掲載されていますが、ここに大きな金脈があると考えています。1メガ整備工場の顧客数は10万人にもなるところもあります。毎月車検で1000人くらいのお客様に会えるとすれば、ここに生保を提案して行けば一定数契約できると思いませんか。個人情報の提供と最初の移行把握、意向確認を一緒に取り組むことで整備工場代理店さんと共同募集になりますが、確実に成果につながると思います。生保だけでなく、火災保険や新種保険等の損保提案もできますので、生保を取り組むことで損保の増収にもつながると考えています。皆さんのお近くにも地元で有名なメガ整備工場があると思いますので、飛び込んでみては如何ですか。

自動運転で将来自動車保険は6割減少すると言われています。この状態はモーターチャネルも同じです。トヨタ自体が新車のサブスクリプションサービスを拡大している中、車検も大きく減ることが想定されます。従って、モーターチャネルも生き残るために今保有している車での個人情報を金融全般等までお客様の懐に入った個人情報に変えたいと考えています。生保販売でこうした個人情報が入手できれば、モーターチャネルとしてもありがたいことになります。

損保代理店18万店のうち半分の9万店がモーターチャネルですので、マーケットは豊富にあります。その他にも不動産業や旅行業、建設業等々、「兼業」代理店はたくさんあります。こうしたマーケットと組んで生保販売すれば、損保代理店でもまだまだ生保が取れると思います。

今の時代「提携」が一番の得策です。
「提携」できる先を考えていけば、まだまだ保険代理店業界も明るいと思いますよ。

改めて第46回結心会定例会の報告をします

  • 2020/07/06
  • Dr.ウエノの保険コラム

6月23日から6月24日の二日間に渡って、東京・田町の貸会議室を借りて第46回結心会定例会を開催しました。新型コロナの影響で地方の代理店さんは参加を見合わせられましたが、それでも100名を超す参加で開催できました。参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

今回は「保険が変わる」というテーマで開催しました。
最初に「割り勘保険」、「コロナ助け合い保険」で有名な株式会社justinCaseの畑社長に「Peer to Peerの今後」というテーマで基調講演をしていただきました。
続いて結心会会長が先月国会を通過して成立した金融サービス仲介法について金融庁にさせていただいた質問の回答を読み上げる形で行いました。

続いては、今回の目玉である「これからの日本のInsurTechについて」と「金融サービス仲介業施行後の保険代理店経営とは」の2つのテーマでパネラーが語り合うというパネルディスカッションがありました。

一部はSEIMEI株式会社津崎社長、株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業部の木本総括、Wizleap Inc.の谷川社長に基調講演いただいた畑社長の4名で構成し、津崎社長の司会のもと、90分の間、貴重な意見交換を聴かせていただきました。
パネラーは皆さん30代半ばで、谷川社長に至っては24歳という年齢構成で参加者は一様に驚いていました。こんな若くて優秀な人たちが保険業界に参入していて、彼らを軸に保険業界が変わることを肌で感じることができたと思います。

二部は、A&AConsulting株式会社の桂雄人アラン社長、FPアソシエイツ&ファイナンシャルサービシズ株式会社の中西社長に結心会会長が加わり、一部同様、津崎さんの司会のもと意見交換しました。

パネルディスカッションについては、一部、二部のパネラーとオンラインで打合せを軽くして本番に臨みましたが、ほぼ白紙の状態で司会から振られるテーマについて思ったことをしゃべりましたので、なかなか臨場感と迫力があって良かったと思います。

そして、初日の夜は三々五々参加者が集い、懇親を深めました。全国各地から参加されていて、保険代理店の社長同士が語り合える貴重な場としても結心会はあります。

二日目は、
・顧問弁護士、顧問税理士がいるのと同様に企業に「顧問介護士」という存在が必要な時代で、介護離職されて会社の戦力が大幅に下がるといったことがないように顧問介護士が社員のケアを図るという提案を、一般社団法人日本顧問介護士協会 西山理事から、

・セカンドオピニオン等としての病院選びを簡単に調べられるシステムの提案(損保でティーペックというものがありますが、生保版ティーペックとして採用されてはどうかとの提案)を、リーズンホワイ株式会社塩飽社長と陸マネージャーから、

・親子で学ぶいのちの授業を一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会 千田業務執行理事から、

・クラッシックカーを使って12ヶ月償却で節税をというテーマで、株式会社STAR CRAFT 室崎社長から

・足場リース等々の節税アイテムの紹介を、株式会社リンク・ソリューション 清水取締役から、

・ドローン活用した新事業展開と保険顧客開拓をテーマに、デザインサーファーズ株式会社楠亀クリエイティブディレクターに、

・保険とM&Aの親和性のテーマで株式会社ストライク 大岡アドバイザーに、

していただきました。

二日間、内容の濃い定例会になったと思います。

次回、第47回結心会定例会は、9月8日~9日に東京・新宿で開催します。
是非、スケジュールを空けて、参加下さい。
お待ちしています。

保険代理店業はサービス業

  • 2020/06/29
  • Dr.ウエノの保険コラム

日刊工業新聞に「コロナ禍の保険対応」といった記事が掲載されていたので、転載します。

【Q】損保会社が企業向けに提供している新型コロナウイルス関連の保険商品を教えてください。
【A】主に従業員の労働災害を補償する保険、休業による損害を補償する商品を取り扱っています。ただ、保険始期日や業種、特約を付帯しているかなどの条件次第で変わるため、確認が必要です。

【Q】保険金支払いの対象となるケースを教えてください。
【A】休業による損害を補償する保険を例に説明します。従業員が新型コロナに罹患(りかん)した場合、保健所などの指示に従い、事業所や施設を消毒する必要があります。これに伴う休業や費用負担による損失が対象に含まれます。

【Q】その場合、受け取れる保険金はどの程度ですか。
【A】大手損保の場合、大きく2種類に分かれます。一つは一時金として20万円が支払われる種類。これは消毒費用などの平均値を基に算出しています。もう一つは事前の契約で定めた上限において実損額を支払う種類です。ケース・バイ・ケースですが、保険金請求書を提出して不備などがなければ、1週間程度で保険金を受け取ることも可能です。

【Q】緊急事態宣言が発令される前に事故が起きました。時期によって対象から漏れることはありますか。
【A】大手損保は新型コロナを補償対象とするための商品改定を実施しました。これに伴い、新型コロナが「指定感染症」に指定された2月1日に遡及(そきゅう)して支払うことができます。追加の保険料負担も不要です。

【Q】緊急事態宣言の発令に伴う休業要請に応じて営業を自粛しました。その間は補償対象になりますか。
【A】行政などの休業要請に自主的に応じた場合、支払い要件に合致しないため、補償対象外となります。イベントの中止によって生じた損害を補償する保険に興行中止保険がありますが、「感染症」を理由とする場合は免責事項に該当するため補償されません。

【Q】新型コロナをはじめとする感染症リスクに備えるべき商品はありますか。
【A】感染症リスクは民間の損保会社にとっても危険度やリスク量の算定が難しく、原則補償対象外の商品が多いです。今回、商品改定された保険に加入するのが一種のリスクヘッジになり得るかもしれません。

コロナ禍の中、こうした保険情報はお客様に喜ばれられます。コロナ禍での保険対応が如何にできるか等はお客様の関心が高いところですので、常に情報発信していくように心がけて下さい。

「保険代理店業はサービス業」です。
この根っこを理解してお客様のために常に何ができるか、お客様が何を欲しられているか、何を喜んでいただけるかというお客様目線で考えれば、このようなことは自然に思い浮かびます。

まずは取り組んでみて、お客様の反応を確かめてみましょう。

テレワーク保険

  • 2020/06/22
  • Dr.ウエノの保険コラム

損保ジャパンが企業のテレワーク導入で想定されるリスクを補償する特約を7月に販売することが報じられました。
 
情報漏えいやハラスメントによる会社の損害賠償責任などを包括的に補償するもので、コロナ禍でオフィス以外の多様な働き方が推進される中、主に事務系業種に需要があるとみられています。そこで、事業活動を取り巻く幅広いリスクを補償する中小企業向け主力商品に特約「テレワーク・マスター」を加えることで、システム障害による休業損失も補償します。外部からのサイバー攻撃以外にも、バージョンアップなどに失敗して営業不能になった場合も対象になり、保険料は売上高1億円の小売業の場合、ワイドプランで約30万円を想定しているとのことです。
 
日本損害保険協会の調査によると、中小企業の約2割がサイバー攻撃の被害経験があり、1000万円超の金銭的被害も発生しています。
損保業界では、「テレワーク総合補償プラン」を5月に三井住友海上社とあいおいニッセイ同和損保社が、6月に東京海上社が販売を始めており、メガ損保全社が揃った形になります。

折角の機会ですので、具体的にどんな保険かを見ていきましょう。
まずは、改めて「テレワークに潜む脅威とは何か」を考えてみましょう。
一つは「労務リスク」です。テレワークは管理者による労働時間の管理が難しく、長時間労働になりやすいという側面があります。普段と異なる環境で業務をすることによりストレスが増大し、精神疾患の増加にも関連するといわれています。また、WEB会議システムの活用により、1対1でのミーティングなど管理者や他の従業員から見えないやり取りが増加し、プライバシー侵害や「リモートハラスメント」が起こる可能性があるとされています。
ハラスメントや不当解雇等の不当行為に起因して事業者が従業員等から訴えられたときに弁護士等への相談費用や損害賠償金を補償する雇用慣行賠償責任補償特約もあります。

二つ目は「サイバーリスク」です。テレワークへの移行が急速に進む中、セキュリティ対策の不備を狙ったサイバー攻撃による情報漏洩リスクが高まっており、パソコンのマルウェア感染、ネットワーク・通信の盗聴などによる情報漏洩が想定されます。情報漏洩リスクはサイバー空間だけの出来事でなく、会社パソコンを持ち出した際の盗難・紛失、会社と家以外の環境で仕事をした際の盗み見による情報漏洩が想定されます。

三つ目は「財物損害リスク」です。テレワークへの移行により、業務用パソコンやタブレット等を従業員の自宅等に持ち出した際に、従業員が自宅で誤って破損することや従業員の自宅が空き巣に入られて業務用パソコンやタブレット等を盗難されることも想定されます。

こうしたテレワークに潜む脅威に備えるための保険は不可欠ですよね。
旬な時に旬な保険を案内することは保険代理店としての使命です。
きちんと提案することでリスクマネージメントとしての保険代理店の存在感を示していきましょう。

損害保険は種目ごとの損害率で種目ごとの引受け等が変わる

  • 2020/06/15
  • Dr.ウエノの保険コラム

相変わらず損害保険の相見積もり依頼がたくさん来ますが、「この商品だとこの保険会社が保険料に競争力があるとか、対応が良い」とかといった見識が、長い経験値であるので対応できています。これってなかなか真似しようにも出来ないので、基本負けることはありません。

損害保険は種目ごとに何で保険料が組み立てられているかが違いますので、根っこを知っていれば、「そもそも、そのリスクがあるのかないのか」、「そのリスクを排除するためにこうした対策を講じてもらえるのか」、「万が一の際にすべてを保険金で賄う必要があるのか」等々を考えていけば、容易に保険料を下げることができるのです。

「複数の建物を所有しているが、一度に燃えることはないので、まとめて火災保険を加入できないのか」という問い合わせも多いですが、「今さらこんな照会か」というのが正直な感想です。都内に10物件のビルを所有していて、それぞれに20億円の火災保険を加入するとなると、10物件で200億円の保険金額になります。当然、保険料は相当な金額になりますが、「一度に燃えないのだから10物件まとめて20億円で良いのではないか」との照会がある訳ですが、こんなことは大昔からマルチロケーション方式の火災保険で対応できます。ただ、引受てくれる保険会社が限定されると思いますので、それを探して紹介してあげれば事は終わりと簡単です。先般のブログで地震拡担の件を書きましたが、日本の保険会社が逆立ちしても出ない地震拡担特約保険料を社内引受申請後1週間で算出できる某外資系損保会社を紹介してあげ、案の定、大手日本社の半分以下の保険料となりました。

種目ごとに保険会社で強いところ、弱いところがありますので、その組み合わせを自在にできれば相見積もりに負けることはありません。だからと言って、特定の保険種目を特定の保険会社に振り続けて、万が一事故でも発生すれば、当該保険会社の種目ごとの収益を悪化させることになります。そうすると、今まで通っていた保険会社の当該商品の引き受け自体がシャットアウトされることにもなりかねませんので、ここらあたりも保険会社との駆け引きになります。

先般も保証保険の照会があり、保険会社を紹介してあげました。保証保険は「ボンド」と言われる商品で、名の通り、接着剤のようにつなぐ保険種目になります。一番有名なのは「取引信用保証保険」でしょうか。これは「売掛金」に対する保険になります。某会社が取引している500社のうち下位100社は取引実績も浅く万が一倒産でもされたら売掛金が回収できないとして売掛金を保証する保険に加入するといった感じの商品になります。某石油会社が某航空会社に燃料を供給しているが倒産したら売掛金が回収できなくなるので某航空会社1社を対象に取引信用保証保険に加入していたという話は有名ですよね。ちなみに取引信用保証保険は便利な保険で、売上トップの会社限定とか、上位50社とか、中堅100社とか、下位100社とかのように自由にチョイスすることができます。しかも、保険引受けにあたり保険会社が企業の信用調査を無料でしてくれますので一石二鳥です。

で、新規で保証保険の照会を保険会社に繋いであげたら、今は「新型コロナで売掛金の保証保険で保険金支払いになるケースが増えていて、新規保険料を出せるかどうか自信がない」という回答がありました。

損保って、こんなところが面白いと思いませんか。