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生保社の海外戦略

  • 2017/05/26
  • Dr.ウエノの保険コラム

最近、生保会社の海外戦略がメディアで目に付くようになりました。
お気づきでしょうか。

例えば、タイ。
東南アジアの新興国で最も保険浸透度が高いタイは損保も含む保険料収入で、2015年に国内総生産(GDP)比5.5%と1990年の1.6%から飛躍的に伸びています。
 
タイでは、何と日本生命が24%出資するバンコクライフで「生保レディー」制度を導入しています。営業職を40人雇用し、日本と同じように各担当者が特定企業を毎日訪問するほか、セミナーを開催したり、パンフレット配布したりいます。
営業拠点では毎朝朝礼が行われ、個人の営業成績を示すグラフなどが掲示されなど「日本流」を武器に新たな顧客を掘り起こそうとしています。
興味深いですよね。
しかも、このバンコクライフは、カンボジアでも営業を展開し始めました。

そして、中国。
ここでも日本生命が富裕層を主な対象とした医療保険を売り出しました。
加入者ががんになった場合、追加費用なしで、「日本で治療を受けられる保障」がついているのが特徴。中国ではがん患者の増加に伴い、日本での治療を希望する人が増えているといるとのことで、外国人に高度医療を提供する医療ツーリズムの需要掘り起こしにもつながるとみられています。 

日本生命が3割出資する中国政府系金融との合弁生保「長生人寿」が販売窓口となり、加入者ががんになった場合、日本で治療を受けるのに必要な旅費や滞在費、治療費などを原則として保険金でまかなう仕組み。 医療機関仲介などの日本エマージェンシーアシスタンス(EAJ)と提携し、EAJが提携する国内1000の医療機関から、患者の症状や希望に応じた病院を紹介し、医療ビザ取得などの手続きも代行するそうです。長生人寿が治療費を支払うため、医療機関が取りはぐれる心配がないのも利点とされていました。 
 
中国の生保市場は米国、日本、イギリスに次ぐ世界4位の規模。
国内生保では明治安田生命保険や住友生命保険も進出しています。
日本では平均寿命も延びる中、アジアでの保険販売は今後、急伸すると考えます。
日本生命の中国での医療保険販売は「日本で治療が受けられる」というエリアを超えた展開となっています。
先般、バンコクに行った際に高速道路上に「AH1」の表示を発見し、このアジアハイウェイの起点が東京日本橋で、トルコまでつながっていると聞いて、「アジアは一つ」という意識を強く持つことが出来ました。保険を通じてアジアを一つにすることが出来る流れが来ていると思います。

アジアの保険マーケットは大きく変貌する予感がしています。


改正保険業法施行から1年

  • 2017/05/26
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

昨年5月29日に改正保険業法が施行されて1年が経ちます。
この一年間で色々な変化があり、「フィデューシャリー・デューティ」、「プリンシプル」、「ベスト・プラクティス」等々といったカタカナの用語が普通に使われるようになりました。
そこには金融庁自体の改革があります。

今回は、金融庁が推し進める三つの改革を理解しましょう。
①金融庁の改革
 皆さんは、金融庁の存在意義をご存知でしょうか。
 それは「国民の厚生の増大」です。
つまり、金融庁は「国民、生活者のためにある」のです。
そのために「業界規制庁」から「産業育成庁」に変わろうとしています。

今の金融庁の凄いところは、「過去のやり方は間違っていた」と認めたことです。
「過去のやり方が間違っていたので改める」として、言い方は適切ではないかもしれませんが、野球で言うと「アンパイア」から「コーチ」にいきなり変わろうとしています。
金融庁が出来て20年で、金融庁自体が改革を率先して取り組んでいるのです。

②地方銀行改革
 そして、改革の主軸を地方銀行改革に持って来ました。
現在、個人資産の総合計は1700兆円、そのうち預貯金は920兆円と言われています。
こうした個人資産を「再起動」させるために銀行改革を推し進めています。
昨年の「地方銀行窓販での保険商品販売手数料自主開示」も、この流れの一環ですね。
 金融庁は、銀行の数が明らかに過剰と解釈していて、能力のない銀行はいらないと明言しています。
能力のない銀行とは、例えば担保を取ってお金を貸す行為を指します。
金融庁は、担保を取ってお金を貸す行為は小学生でも出来る行為であり、金融のプロである銀行員は企業の将来性であったり、地域への将来の貢献度であったりといった幅広い尺度から判断して融資すべきであり、企業を育成する役割を担うべきだとしています。まさに正論ですよね。
そのために銀行への検査の在り方を変えるとしました。従来の重箱の隅をつつくような検査を止め、本来あるべき金融の仕事をしているかの検査に変えるとしました。地方銀行故に、それなくして地元で存在価値はないとし、自分達が金融機関として仕事をすれば、リターンを得ることが出来るはずと指摘しています。
③資産運用改革
 預金を投資信託等にシフトさせ、預貯金で眠っている920兆円を再稼働させる改革です。そのための一つとして資産運用を活性化するために個人投資家向けの勉強会を普及させたいと言ってます。日本では金融の勉強を子どもの頃からやっていないので、お金がお金を生むやり方自体を好まない傾向にありますよね。これを欧米並みに近づけたいと動いていて、投資商品自体の認可も積極的に動いています。
個人投資拡大を期待して登場したジュニアNISAは記憶にある方も多いと思いますが、意外にも9万件しか売れず、ついに来年1月、金融庁が押し切った形で「積立NISA」が登場します。

以上が金融庁の推し進める3つの改革です。この基本ラインを踏まえて、保険業界は如何になるべきかを考えていく必要があると思います。


会社役員賠償責任保険

  • 2017/05/19
  • Dr.ウエノの保険コラム

株主訴訟で、驚愕の判決がありました。
2011年に発覚した「オリンパス」の巨額損失隠し事件で、同社と株主1人が菊川元会長ら旧経営陣や相続人計18人を相手に、それぞれ損失隠しに伴う損害額の全額や一部を同社に賠償するよう求めた訴訟の判決で、東京地裁は菊川元会長ら8人に計約590億円を支払うよう命じました。
大竹昭彦裁判長は「元会長らが任務を怠らなければ(損失隠しに伴う)虚偽の有価証券報告書が出されることはなく、賠償責任を負う」と述べました。
 
訴えられた18人は、元取締役15人と、死去した元取締役1人の相続遺族3人。
判決は、そのうち損失隠しに関与したとして菊川元会長ら元取締役5人と遺族3人の計8人に対する賠償責任を認めました。 
大竹裁判長は、損失隠しに伴い虚偽記載された有価証券報告書に従って違法に配当された金額は、計約587億円に上ると指摘。
損失隠し疑惑を追及した英国人社長(当時)を解任したことで、同社の信用を毀損(きそん)して与えた損害なども認定し、それぞれの損害に関与した旧経営陣らは、損害額を分担して支払うよう命じました。
残る元取締役10人については、損失隠しに関与せず事情も知らなかったとして、「何らかの疑念を抱く状況にはなく、違法行為を調査するなどの義務を怠ったとは言えない」と請求を退けました。

企業不祥事に対する社会の目が厳しくなる中、元役員や会社が「株主」から訴訟を起こされ、高額の賠償を命じられるケースは少なくありません。
株主代表訴訟が相次ぐようになったのは1990年以降。1993年の商法改正で提訴時の手数料が引き下げられ、巨額の賠償請求をしやすくなったことが要因です。

日本国内の最高額は旧大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失を巡る株主代表訴訟で、大阪地裁は約880億円の支払いを命じました。その後もダスキンや蛇の目ミシン工業などで100億円を超える賠償命令が言い渡されています。

これに備える形で「会社役員賠償責任保険」があります。
損害保険会社で取り扱っており、保険料は支払限度額や企業規模、業種で異なります。限度額は高額なもので数十億円、保険料は年間1000万円を超えることもあります。但し、保険金支払いにあたっては、経営陣の犯罪や法令違反を認識していた場合には対象となりません。オリンパスの事件の場合、保険金支払い対象とならないほど悪質でありますし、実際、500億円を超える契約は日本の保険会社では高すぎて契約出来ないと考えます。

大手上場企業の9割は当該保険に加入しているそうですが、企業経営者の方は是非、当該保険加入を検討されては如何でしょうか。お近くの保険代理店、保険ショップにご相談ください。

保険ショップもターゲットを絞っては如何?

  • 2017/05/19
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を示す「生涯未婚率」について、2015年の国勢調査の結果、男性で23.37%、女性で14.06%にのぼったことがわかりました。最近、メディアで報道され話題になっていましたね。
前回の2010年の結果と比べて急上昇し、過去最高を更新。何と、男性のおよそ4人に1人、女性のおよそ7人に1人が生涯未婚であることがわかりました。
「結婚離れ」の進み方は異常値ですね。

国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査(独身者調査)」によると、「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者(18~34歳)の割合は、男性86.3%、女性89.4%で、ここ20年間を見ても、若干の低下はあるものの、高い水準を維持しています。
「結婚したいと思っていても結婚できない」という背景には、雇用の不安定化や低所得化の影響が指摘されてきましたが、他方で、身近、特に職場における出会いが減少しているのではないかとの指摘もあります。

以上を踏まえ、非正規雇用者、規模の小さい職場に勤める者、関東以外の地域に住む者は職場で交際相手・結婚相手と出会う機会が少なく、こうした若者が結婚を希望する場合、独力で配偶者を探すのはもちろんのこと、職場以外で配偶者をみつけることができる機会を社会的に増やしていくことも重要と公的機関等から指摘されています。

こうした指摘もありますが、全国各地に展開する保険ショップでも何か出来ると思われませんか。
ネクタイ派手夫だったら、例えば、保険ショップで保険加入された方での中で、「独身で結婚したい」という方がいらっしゃれば、代理店の独自サービスとして婚活をご案内しても良いかと考えています。保険加入者同士を繋ぐことで「出会い」を創出することが出来れば、結果、地域に貢献できると思いませんか。
保険契約者をこうした「サービス」提供することで、保険代理店の「会員化」し、顧客を別の意味で抱え込めれば面白いと思います。昔のような「おせっかい」の人が社会の希薄化によりいなくなりました。この「おせっかい」が出来る存在を「保険ショップ」がやるべきかと思います。

昨年、大学生たちが「こんな保険があったら加入したい」というイベントをした際、「婚活付き生命保険」という意見も出ました。付帯サービスとして保険そのものに付帯することは難しいと思いますが、保険代理店オリジナルサービスであれば問題ないと思います。
こうした地域に展開する保険ショップならではの取組が今、注目されていると思います。
保険ショップという「場」を活用して「シニアの生き甲斐作り」、「予防医療情報発信」、「婚活」、「子育てママカフェ」等々を実施することで、地域社会との交流の「場」を作れればと考えています。
家庭、職場に続いて、老若男女問わず、気楽に集える場所としての「サード・プレイス・カフェ」としての保険ショップの位置づけを真剣に考えられては如何でしょうか。

企業のフィデューシャリー・デューティー宣言を勉強しましょう。

  • 2017/05/12
  • Dr.ウエノの保険コラム

以前、セゾン投信株式会社のフィデューシャリー宣言をご紹介しましたが、東京海上アセットマネジメント株式会社も、昨年フィデューシャリー・デューティー宣言を発表されています。

参考になりますので、ご紹介します。

1.受託者責任の忠実な履行
 当社は、お客様の信頼をあらゆる事業活動の原点に置いています。
 お客様から信頼を頂き、お客様にとってなくてはならない会社となる為に、受託資産の運
用、商品の提供や契約の締結等の当社業務全般においてお客様の利益を最優先いたしま
す。
 お客様の利益を最優先するため、お客様の立場にたって当社の商品、サービスを評価でき
る販売会社に勧誘・販売を委託しま す。
 なお、当社の親会社には委託しておりません。

2.報酬水準に関する取り組み
 当社は、お客様から頂く報酬について、当社がお客様に提供するサービスの質と量に応じ
た水準を設定いたします。

3.商品提供に関する取り組み
 当社は、お客様の期待の一歩先を行くサービス(TMAM Quality)を提供すべく、お客様
のニーズは元より、各種運用方法に関する調査、研究を積極的に行い、独自性のある商品
の開発に取り組みます。

4.運用に関する取り組み
 当社は、受託資産に関するリスク管理の徹底、自社運用力の更なる強化、運用委託先に対
する適時適切なモニタリング等を通じ、お客様へ提供する商品の品質、サービスの一層
の向上に努めます。

5.お客様のニーズに基づいた経営を担保するための取り組み
 当社は、お客様のニーズに基づいた商品の開発、運用を行うため、独立社外取締役を含む
取締役会において内部統制体制を構築します。

注目すべきは、1.の「なお、当社の親会社には委託しておりません。」でしょうか。
つまり、親会社では販売しないことを宣言しています。
東京海上日動は損害保険会社であり、投信販売はしていないとしても、顧客には分かりやすいアピールだと考えます。

資産運用会社は顧客だけを向いて金融商品を開発し、運用すべきであり、販売会社は顧客のニーズに最適な商品だけを選び出して提供すべきです。
これを歪める最たる問題が「系列」ですが、ここをキッパリ立つことを宣言していて興味深いと思います。

こうして幾つかの企業が、フィデューシャリー・デューティー宣言をされていますので、参考にされたら良いと思います。

言うは易し行うは難しですが、「やります!」と宣言し、コミットしないと前には進まないと思いますね。