メルマガ一覧

2016年の交通事故者数が4000人を割りました。

  • 2017/01/20
  • Dr.ウエノの保険コラム

2016年の全国の交通事故死者が前年比213人減の3904人となり、1949年以来67年ぶりに4千人を下回ったことが報道されました。

損害保険会社の元社員として率直に凄いことだと感心しております。因みに交通事故死者数の推移をみてみましょう。

・昭和21年  4409人・・・車の数を考えれば、どれだけインフラが整備されていなかったかということでしょうか。

・昭和30年  6379人

・昭和40年 12484人

・昭和45年 16765人・・・ここがピークで、ここから下がります。国にそれだけ危機感を感じて対策を講じたということだと思います。

・昭和50年 10792人・・・昭和51年に1万人を一旦割ります。

・平成 8年  9943人・・・この年、再度1万人を割り、それからは減少の一途を辿ります。

・平成15年  7768人

・平成25年  4388人

この流れで、平成28年は初の4000人割れとなりました。政府は、この流れを更に進めていくために、「2020年までに年間2500人以下を目指す」としており、今後、死者数の半分を占める高齢者への対策や自動運転技術の開発などを推し進めると思います。年間死者数は「交通戦争」と呼ばれた1970年に戦後最悪の16765人を記録。バブル期も多かった死者数が、シートベルトの義務化、車の安全性向上や飲酒運転の厳罰化などで近年はピークの4分の1程に減っていて、間違いなく国を挙げた対策のお陰だと思います。今回の統計で特徴的なことは、全体の死者数の54.8%を65歳以上が占めたことだと思います。1995年は約3割、2005年は約4割だった数値が2010年に50%を超え、高齢者の人口増に伴い高止まりしています。

ということは、国の施策は、ここに集中するでしょうね。


2020年の東京オリンピック開催時を目途に、「自動運転の実用化」に加速がかかることで、「自動走行」の実現も可能になるかも知れません。車がGPSを使って自動走行できるようになれば事故は大幅に減らせるでしょう。

また、高齢者の免許証の更新も厳しさが増し、加害者、被害者ともに高齢者という事態の防止を強化すると思います。これだけ車が増え、人も一極集中する中で、これだけ交通事故死者数が減っていますので、この高齢者対策がしっかり取られれば、目標値の2500名未満は実現できると思います。

「走る凶器」と称されていた車も、時代とともに大きく変貌を遂げたものですね。


商業施設「平和堂」の保険ショップが代理店と共同運営

  • 2017/01/20
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

日本経済新聞にこんな記事が掲載されていました。

『平和堂は5日、京都市の保険代理店と組み、生命保険や損害保険を扱う保険ショップを展開すると発表した。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の代理店を手掛けていたが、新店舗では複数の保険商品を取り扱いファイナンシャルプランナー(FP)による無料相談窓口を設けて利便性を高める。

27日に保険ショップ「平和堂ほけん あるプラス」の1号店を「アル・プラザ香里園」(大阪府寝屋川市)内に開設する。計9社の保険商品を扱い、3人程度のFPが常駐して相談に応じる。2月には茨木市の商業施設に出店し、店舗網を拡大する。』

平和堂は滋賀県彦根市が本社で、北陸等に強い商業施設です。

平和堂には大阪のアドバンスクリエイト社が運営する「保険市場」と提携した保険ショップが出店されていましたが、今回、京都の保険代理店と「共同運営」し、店舗拡大するとのニュースが報道されました。

商業施設ではカード会社によって運営されている所が多いですよね。

四国の「フジ」は「フジカード」が、広島・九州の「イズミ」は「ゆめカード」が保険ショップを運営していますが、なかなかうまくいっていないですね。

カード会社が運営するとカードホルダーを保険ショップに誘導して保険個別相談に持ち込むという形を取りますが、なかなか集客にはつながりません。

従って、商業施設の保険ショップ運営を軌道に乗せるには、「共同運営」しか方法はないと思います。平和堂の選択は今後、全国の商業施設と地元代理店との提携に繋がると面白いと思います。

日本経済新聞には京都市の保険代理店としか掲載されていませんが、共同運営するのは「ホロスプランニング」社になります。ソニー生命の子会社化した保険代理店で、元々は訪問販売系代理店になります。

商業施設の保険ショップ「共同運営」で保険代理店との提携が必要ですが、ここが一番ハードル高いと思います。企業としての「格」の差です。20名前後の中小零細保険代理店と大型商業施設を有する企業との提携は、なかなか難しいと思います。「単純に店舗を出店する」だと簡単ですが、それでも帝国データバンクでそれなりの評価がないと出店できません。商業施設サイドの「与信」が通らないのです。これが「共同運営」になると提携先企業として相応しいかをチェックされますので、簡単ではないと思います。

その点、ソニー生命の資本が入っていれば企業サイドとしては安心感があり、それで今回の業務提携に至ったものと推測します。

昔、大阪のアドバンスクリエイト社が「保険市場」という保険ショップを全国の商業施設に出店し「一人勝ち」状況にありましたが、それは当該社が「上場」していたから出来たことです。上場出来ていなかった「ほけんの窓口」でも出店は困難でした。

そのためにも、保険代理店は「業態化」を進める必要がありますね。

保険代理店の資本体系についても考えてみる機会かと思います。


アンチ・エスタブリッシュメント

  • 2017/01/13
  • Dr.ウエノの保険コラム

アンチ・エスタブリッシュメントというワードをお聞きになったことがありますか。

昨年のアメリカ大統領選で、トランプ陣営が良く使っていたワードで知られるようになりましたね。エスタブリッシュメントは、社会的に確立した体制や制度、またその階層や組織のことを言います。これに対して、アンチ・エスタブリッシュメントはこれらに反抗することを言います。

トランプ陣営は自身の陣営をアンチ・エスタブリッシュメントとし、クリントン陣営をエスタブリッシュメントと称して、既存体制からの脱却を訴え、当選しました。トランプ氏は大統領就任当日にTPPからの脱却を表明しており、世界は反グローバル化、保護主義化に進もうとしています。保護主義になれば自国の雇用が増え、給与が上がり、経済は復活すると考えますので、悪いことではないと思います。この「アンチ・エスタブリッシュメント」は、保険業界にも忍び寄っていると思われませんか。旧態の保険代理店制度や保険業界で当たり前で通っていた色々な制度や体制等が否定され、全く新しい制度や体制に変化する潮目に2017年がなるような肌感覚があります。昨年20年ぶりに改正された保険業法の運営も2年目に入ります。

昨年11月に全国各地の保険代理店100店以上に金融庁、財務局からモニタリングがありましたが、今年もモニタリングは継続されると考えます。実際、昨年11月にモニタリングを受けた某代理店には今年3月に改めて来ますと言い残して帰られたという情報もありますので、間違いなく実施されると思います。

この代理店は損保代理店で、モニタリングの際に「高齢者対策」について詰問されました。高齢者対策として代理店は、例えば ①必ず高齢者の子どもを同席させて保険の説明等を行う、②一回でなく複数回面談することで理解を深める等といった体制を構築する必要がありますが、どういった方法を取っているかを質問しています。

これだけで終わらず、当該代理店の店主、募集人自体が高齢者であることに触れ、そもそも高齢者が高齢者に保険の説明が出来るのかと質問しました。これって、当該代理店の体制自体を変えるよう警告を発したことになりますよね。この警告に対処するためには早々に若い募集人を採用し、契約更改等は若手に移譲していく必要が求められると思います。ここまで代理店運営に入って来られこと自体が、アンチ・エスタブリッシュメントだと考えます。

2017年は保険業界もアンチ・エスタブリッシュメント旋風が吹き荒れる可能性が高いと考えます。

この風を「北風」とするか「南風」あるいは「追い風」にするかは、保険代理店の行動によって大きく異なります。

風が止むのを待っていると変化についていけなくなると考えます。

「南風」、「追い風」にするためには何をどう取り組めば良いかを新年早々から真剣に考えて行かないとダメですよ。


保険ショップの定番イベント「バレンタイン・イベント」

  • 2017/01/13
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

保険ショップで一番の強みは何でしょうか。

それは「既存契約者」と「契約には至らなかった来店者の個人情報」を持っていることだと思います。5年以上、保険ショップを運営していますと、新規来店顧客より、むしろ既存契約者からのアドオン契約依頼や紹介契約で意外と店舗の新規契約の60%程度は賄えているという実態があると思います。

訪販ではなかなか出来ない盲点ですよね。

やはり固定した場所に年中開店している保険ショップの利便性の勝利だと思います。

では、こうした強みを活用するためにはどうすれば良いかわかりますか。

答えは簡単!

既存契約者や過去半年間に来店されたお客様に「再来店を誘導する何か」を企画すれば良いのです。

既存契約者に「バースデイ・カード」を送る、「年賀状」送る所も多いですが、今や当たり前すぎて顧客に刺さらなくなっています。完全に無駄なコストだと思います。もっと、人が送らない時期に送らないと刺さりようがありません。

そこで、保険ショップ「鉄板イベント」として活用されているのが「バレンタイン企画」です。

やり方は簡単!

まずは既存契約者をデータ化し、1月末「着弾」でバレンタイン企画の葉書を送ります。葉書には、保険代理店で一番売れている保険商品を掲載し、「一年間保険料をお支払いいただいた御礼」を述べ(ここが大切!)、御礼として2月1日から2月28日までに契約をいただいた店舗にご来店いただきましたら漏れなくバレンタイン・チョコをプレゼントしますという内容のイベントです。

保険ショップで一番成果が出るのは毎年2月から3月。新入学で学資保険のニーズが高まり、人が移動するこの時期こそ保険を考える時期になります。この絶好のタイミングでお客様に再来店いただけば、アドオン契約に直結しますよね。

実際、ネクタイ派手夫の過去の経験では、出状したお客様の10%が再来店いただき、うち70%の方が何かしらの保険に加入というデータが鉄板化しています。

1000名に出状すれば結果70名の成約に至る訳ですので、費用対効果は十分ありますよね。

ご来店いただいたお客様には改めて一年間保険料をお支払いいただいた御礼を言って、お客様とのコミュニケーションを深めて行けば、間違いなく成果に繋がります。

葉書を出すことでお客様の住所データのクリーニングにもなります。万が一、宛先不明で返却されてきたら住所変更手続きでお客様と接することも出来ますよね。

今からバレンタイン企画は無理ですので、来年の1月着弾に向け、年間計画をしっかり立てて取り組んでみて下さい。

来店型保険ショップは工夫次第でいくらでも伸ばせるのです!


標準利率と生命表の改定

  • 2017/01/06
  • Dr.ウエノの保険コラム

生命保険の保険料ってどうやって決まるかご存知ですか。

生命保険は「大数の法則」に則って統計を活用したリスク度に応じて商品設計されています。保険料を決める重要な要素は次の三つ。

① 生存率・死亡率の指標となる「生命保険標準生命表」(公益社団法人日本アクチュアリー協会)

② 運用利回り(=予定利率)の参考となる標準利率(金融庁)

③ 人件費や物件費といった事業利率(各保険会社)保険料は純率と言われる①②に加え、付加保険料となる③により構成されます。③は各保険会社によって異なる故に、保険会社によって保険料に差が生じる訳です。

③は各保険会社の問題ですが、①と②は業界全体に作用することなので、改定のたびに大きな影響が出来ます。最近では、次のような出来事がありました。

◆2007年

「生保標準生命表」が改定。死亡率が引き下げられ、大々的に保険料が変更。

◆2013年

金融庁より「標準利率」が引き下げ。主に貯蓄機能のある生命保険商品が値上げ。

◆2015年

新たな方法による「標準利率」が適用。一部の一時払保険の保険料が値上げ。こうした動きがあるたびに消費者の方は敏感で「駆け込みで保険契約」される方が多発し社会現象を巻き起こしています。2013年4月に低金利に応じて全面的に保険料が改定されたのが、ついこの間のような気がしますが、2017年から2020年にかけて再び2段階の保険料改定がなされます。まずは標準利率が2017年4月から現在の1.00%から0.25%へ下がります。

従って、2017年4月以降に契約する新規加入者から新保険料が順次スタートする予定ですが、当然、商品の特性に応じて価格への影響度は異なります。まず、低金利の影響から2017年に予定利率を下げる見通しで、それによって長期の運用収入を見込む貯蓄型の生命保険について「保険料の値上げ」が予想されます。

既に保険会社によってはマイナス金利下、貯蓄系保険の売り止めもしていますので、また3月までは「駆け込み契約」が発生するのではと予想しています。更に2018年4月には、長寿化を反映して、標準生命表が改正され、死亡率が大きく引き下げられる見込みです。

となれば、「死亡保障の生命保険は値下げ」傾向に、高齢化によるリスク増により「医療保険は値上げ」傾向が予測されています。

◆まとめ

2017年4月からの「標準利率」低下によって、保険会社は資産運用について収入が減る前提で商品設計することになるので、契約者が払う保険料は値上げ傾向が強く出ます。特にそれが顕著に出るのは、資産運用による貯蓄機能がある商品(終身保険、個人年金保険など)だと考えます。また、「標準利率」の改定頻度も既に年4回に増えていますので、運用環境の変化に応じた改定が今後もなされることが予想されます。

更に、2018年~2020年4月までに予定されている「標準生命表」の改定は、長寿化に伴い死亡率の低下が反映されると予測されますので、掛け捨ての死亡保障商品(定期保険や収入保障保険など)は、保険料が下がると考えます。

一方、長寿化による医療や介護リスクから、医療保険や介護保険などは値上げが予想されています。こうした数年の動きを念頭に置いて、今年一年の事業計画を立てましょう!!