最近、保険会社の代理店会や代協支部で講演会をさせていただく機会を得ました。
Dr.ウエノを講師でお招きいただきました代協支部の皆様、保険会社の皆様、深謝申し上げます。
こうした場で、色々な保険代理店の方々と接することが出来ると大変楽しく思います。
今回も講演の後、多くの保険代理店の皆様と名刺交換をさせていただき、その後、メールで意見交換、情報交換をさせていただいています。
色々とお話ししていると、そこに問題解決の糸口が沢山出て来ました。
因みに、全国の保険代理店の皆さん。
皆さんが信頼に足る保険会社社員が今、いらっしゃいますか?
Dr.ウエノが以前勤務していた保険会社には、「20年に一度優秀な社員が来るので、この時に大きく飛躍する」という保険会社伝説がありました。
「優秀な社員」というのは、恐らく「腹を割って話し相手になる社員」という意味だと考えています。
「こいつなら」という社員が現れると代理店もプライベートも含めて色々な話をして何度も何度も話をすることで、取り組むべき方策が生まれ、信じた社員と一緒に取組むことで成果も生まれるという流れが伝説となったのだと思います。
保険会社勤務時代にDr.ウエノは少なくとも保険代理店さんと腹を割って話すことが出来る社員であったと自負しています。従って、講演が終わった少しの時間でも代理店さんと話していると色々と本音が出て来て、その解決策も意外と簡単に導き出すことが出来ます。
「すべては現場にある!」
改めて、こう感じました。
以前、某保険会社から社員向け研修の依頼を受けたことがあります。
テーマは「保険会社の営業社員が大手保険代理店社長と話が出来るようにするためには、如何にしたら良いか?」というものでした。このテーマは保険会社からの熱い依頼で引き受けさせていただきました。保険代理店経営者の方は多忙ですから、何の情報も意見も持たない保険会社社員と会ってられないですよね。でも、「こいつは」と思う社員には、何かある度に逆に意見を求めたいと思われますよね。「こいつは」と思われるためには何が必要かを社員に理解させる研修は好評でしたが、出来るかと言われると正直無理かなという気もあります。
「代理店主の心、保険会社社員知らず」を解消する研修、保険会社の皆様、導入されませんか?
代理店主に寄り添えなくて顧客に寄り添うことなど到底無理かと思いますよ。
少なくとも「保険代理店の店主、経営者は何を考えているか」くらいは理解されても良いかと思いますが、如何?
続きを読む
最近、生保会社の海外戦略がメディアで目に付くようになりました。
お気づきでしょうか。
例えば、タイ。
東南アジアの新興国で最も保険浸透度が高いタイは損保も含む保険料収入で、2015年に国内総生産(GDP)比5.5%と1990年の1.6%から飛躍的に伸びています。
タイでは、何と日本生命が24%出資するバンコクライフで「生保レディー」制度を導入しています。営業職を40人雇用し、日本と同じように各担当者が特定企業を毎日訪問するほか、セミナーを開催したり、パンフレット配布したりいます。
営業拠点では毎朝朝礼が行われ、個人の営業成績を示すグラフなどが掲示されなど「日本流」を武器に新たな顧客を掘り起こそうとしています。
興味深いですよね。
しかも、このバンコクライフは、カンボジアでも営業を展開し始めました。
そして、中国。
ここでも日本生命が富裕層を主な対象とした医療保険を売り出しました。
加入者ががんになった場合、追加費用なしで、「日本で治療を受けられる保障」がついているのが特徴。中国ではがん患者の増加に伴い、日本での治療を希望する人が増えているといるとのことで、外国人に高度医療を提供する医療ツーリズムの需要掘り起こしにもつながるとみられています。
日本生命が3割出資する中国政府系金融との合弁生保「長生人寿」が販売窓口となり、加入者ががんになった場合、日本で治療を受けるのに必要な旅費や滞在費、治療費などを原則として保険金でまかなう仕組み。 医療機関仲介などの日本エマージェンシーアシスタンス(EAJ)と提携し、EAJが提携する国内1000の医療機関から、患者の症状や希望に応じた病院を紹介し、医療ビザ取得などの手続きも代行するそうです。長生人寿が治療費を支払うため、医療機関が取りはぐれる心配がないのも利点とされていました。
中国の生保市場は米国、日本、イギリスに次ぐ世界4位の規模。
国内生保では明治安田生命保険や住友生命保険も進出しています。
日本では平均寿命も延びる中、アジアでの保険販売は今後、急伸すると考えます。
日本生命の中国での医療保険販売は「日本で治療が受けられる」というエリアを超えた展開となっています。
先般、バンコクに行った際に高速道路上に「AH1」の表示を発見し、このアジアハイウェイの起点が東京日本橋で、トルコまでつながっていると聞いて、「アジアは一つ」という意識を強く持つことが出来ました。保険を通じてアジアを一つにすることが出来る流れが来ていると思います。
アジアの保険マーケットは大きく変貌する予感がしています。
続きを読む
株主訴訟で、驚愕の判決がありました。
2011年に発覚した「オリンパス」の巨額損失隠し事件で、同社と株主1人が菊川元会長ら旧経営陣や相続人計18人を相手に、それぞれ損失隠しに伴う損害額の全額や一部を同社に賠償するよう求めた訴訟の判決で、東京地裁は菊川元会長ら8人に計約590億円を支払うよう命じました。
大竹昭彦裁判長は「元会長らが任務を怠らなければ(損失隠しに伴う)虚偽の有価証券報告書が出されることはなく、賠償責任を負う」と述べました。
訴えられた18人は、元取締役15人と、死去した元取締役1人の相続遺族3人。
判決は、そのうち損失隠しに関与したとして菊川元会長ら元取締役5人と遺族3人の計8人に対する賠償責任を認めました。
大竹裁判長は、損失隠しに伴い虚偽記載された有価証券報告書に従って違法に配当された金額は、計約587億円に上ると指摘。
損失隠し疑惑を追及した英国人社長(当時)を解任したことで、同社の信用を毀損(きそん)して与えた損害なども認定し、それぞれの損害に関与した旧経営陣らは、損害額を分担して支払うよう命じました。
残る元取締役10人については、損失隠しに関与せず事情も知らなかったとして、「何らかの疑念を抱く状況にはなく、違法行為を調査するなどの義務を怠ったとは言えない」と請求を退けました。
企業不祥事に対する社会の目が厳しくなる中、元役員や会社が「株主」から訴訟を起こされ、高額の賠償を命じられるケースは少なくありません。
株主代表訴訟が相次ぐようになったのは1990年以降。1993年の商法改正で提訴時の手数料が引き下げられ、巨額の賠償請求をしやすくなったことが要因です。
日本国内の最高額は旧大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失を巡る株主代表訴訟で、大阪地裁は約880億円の支払いを命じました。その後もダスキンや蛇の目ミシン工業などで100億円を超える賠償命令が言い渡されています。
これに備える形で「会社役員賠償責任保険」があります。
損害保険会社で取り扱っており、保険料は支払限度額や企業規模、業種で異なります。限度額は高額なもので数十億円、保険料は年間1000万円を超えることもあります。但し、保険金支払いにあたっては、経営陣の犯罪や法令違反を認識していた場合には対象となりません。オリンパスの事件の場合、保険金支払い対象とならないほど悪質でありますし、実際、500億円を超える契約は日本の保険会社では高すぎて契約出来ないと考えます。
大手上場企業の9割は当該保険に加入しているそうですが、企業経営者の方は是非、当該保険加入を検討されては如何でしょうか。お近くの保険代理店、保険ショップにご相談ください。
続きを読む
以前、セゾン投信株式会社のフィデューシャリー宣言をご紹介しましたが、東京海上アセットマネジメント株式会社も、昨年フィデューシャリー・デューティー宣言を発表されています。
参考になりますので、ご紹介します。
1.受託者責任の忠実な履行
当社は、お客様の信頼をあらゆる事業活動の原点に置いています。
お客様から信頼を頂き、お客様にとってなくてはならない会社となる為に、受託資産の運
用、商品の提供や契約の締結等の当社業務全般においてお客様の利益を最優先いたしま
す。
お客様の利益を最優先するため、お客様の立場にたって当社の商品、サービスを評価でき
る販売会社に勧誘・販売を委託しま す。
なお、当社の親会社には委託しておりません。
2.報酬水準に関する取り組み
当社は、お客様から頂く報酬について、当社がお客様に提供するサービスの質と量に応じ
た水準を設定いたします。
3.商品提供に関する取り組み
当社は、お客様の期待の一歩先を行くサービス(TMAM Quality)を提供すべく、お客様
のニーズは元より、各種運用方法に関する調査、研究を積極的に行い、独自性のある商品
の開発に取り組みます。
4.運用に関する取り組み
当社は、受託資産に関するリスク管理の徹底、自社運用力の更なる強化、運用委託先に対
する適時適切なモニタリング等を通じ、お客様へ提供する商品の品質、サービスの一層
の向上に努めます。
5.お客様のニーズに基づいた経営を担保するための取り組み
当社は、お客様のニーズに基づいた商品の開発、運用を行うため、独立社外取締役を含む
取締役会において内部統制体制を構築します。
注目すべきは、1.の「なお、当社の親会社には委託しておりません。」でしょうか。
つまり、親会社では販売しないことを宣言しています。
東京海上日動は損害保険会社であり、投信販売はしていないとしても、顧客には分かりやすいアピールだと考えます。
資産運用会社は顧客だけを向いて金融商品を開発し、運用すべきであり、販売会社は顧客のニーズに最適な商品だけを選び出して提供すべきです。
これを歪める最たる問題が「系列」ですが、ここをキッパリ立つことを宣言していて興味深いと思います。
こうして幾つかの企業が、フィデューシャリー・デューティー宣言をされていますので、参考にされたら良いと思います。
言うは易し行うは難しですが、「やります!」と宣言し、コミットしないと前には進まないと思いますね。
続きを読む
「生命保険大手が人工知能(AI)やビッグデータを駆使した「フィンテック保険」の開発を進めている」という新聞報道がありました。
記事によると次の通りです。
『第一生命は藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)と共同で、日本IBMのAI型コンピューター「ワトソン」を使った実証実験を始めた。糖尿病患者6万~7万人分の電子カルテのビッグデータを解析し、今夏にも結果をまとめる。
体格や病状、生活習慣などから効果的な治療法や引き起こしやすい合併症を分析する。糖尿病患者向けに、治療プログラムと合わせた保険商品の開発などをめざす。
個人保険の保険料は主に年齢と性別によって分かれている。過去に重い病気にかかったり、健康診断の結果が悪かったりすると、加入できない商品も多い。カルテや健康診断の結果などのビッグデータを、AIできめ細かく分析すれば、病気にかかっていても、症状の段階に応じて保険に加入できる可能性が高まる。
一方、住友生命は2018年夏をメドに提携先の南アフリカの保険会社やソフトバンクと共同で健康状態や運動量に応じて保険料を決める商品を発売する。
今後、スポーツジムやスーパーといった健康に関連する企業とも協力。
腕時計型端末などで運動や食事に関するデータも集めて、健康への取り組み状況を4~5段階に分けて評価。結果に応じ保険料が変動する仕組みを検討する。
たとえばスポーツジムに通ったり、スーパーで野菜を買ったりすればポイントがもらえ、保険料が安くなるといった具合だ。病気の未然防止に役立つ可能性がある。
日本生命も16年10月に買収したオーストラリアのMLCを通じ、健康状態に応じて保険料を決める実証実験を始めた。
腕時計型端末をMLCの社員につけ、健康状態や活動データを取得。平均歩数が一定の数値を上回った場合などに個人保険や死亡保険の保険料を割り引く。約4200人が実験に参加している。日本でも同様の実験をして、商品やサービスに生かすことを検討する。』
日本社が元々ビックデータを保有していることもあり、積極的にフィンテック保険への展開を進めていますね。積極的金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックの中で保険分野は「インシュアテック」「インステック」とも呼ばれています。
生保は保障内容で商品に差を付けにくくなっているため、病気の未然防止を促す保険や、きめ細かい保険料の設定などに開発の軸足を移そうとする流れは益々積極化していくと思いますが、保険代理店としても契約者を代理店の個別会員化しつつ、より細かいデータを集積する動きを考えないといけませんよね。
続きを読む