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業務運営上の諸課題等についての確認事項について

  • 2017/02/17
  • Dr.ウエノの保険コラム

1月19日に生命保険協会から全生損保会社向けに「業務運営上の諸課題等についての確認事項について」という書面が配信されました。

金融庁の回答で気を付けないといけない所を抜粋して紹介しましょう。

〇通信事業(例えば、携帯電話会社など)を営む兼業代理店が、通信事業の顧客に対して、保険契約への加入が条件であることの訴求と併せて、通信事業に関する契約に基づく顧客の支払債務(例えば携帯電話の利用料金など)を減免する行為は禁止該当に該当すると考えられる。
  ➡最近は本業を別に持つ異業種・異業態企業の保険代理店事業参入が相次いでいます
が、他業を兼業する保険募集人が他業の顧客に対して各種のサービスや物品等の提
供を行う場合において、それらサービス等の費用を保険会社や保険募集人が実質的
に負担していたりすることは保険業法300条違反としています。

〇「特別な利益の提供」の判断基準として「当該サービス等の経済的価値及び内容が、社会
相当性を超える」としているが、「社会相当性」の判断にあたっては、当該サービス等の「経済的価値及び内容」の二面から判断されるものであると考えられる。
また、その程度は、一般的な個人の価値観や保険料の水準等によっても異なるものであることから、具体的且つ定量的な基準等を画一的に設けることは困難であり、個別事例に基づき総合的に判断することとなる。

〇現金や、電子マネーに交換(チャージ)できるものは一般的に換金性が高いと認められるほか、「資金決済に関する法律」に定義する「前払式支払手段」に該当するものについても、物品やサービス等に用いる手段であり、実質的に現金と同等の機能を有するものであること等から、実質的な保険料の割引・割戻しに該当する。
また、これに該当しない場合であっても、使途の範囲と社会相当性の双方の程度も踏まえて判断する。

〇資金決済法に規定される前払式支払手段に該当せず、現金・電子マネーへの交換が不可能な場合にあっても、使途の範囲と社会相当性の双方の程度を踏まえて判断する。
なお、幅広い商品の購入・交換ができるポイントサービス・金券類等は「使途の範囲」が広いと認められることから「特別利益」に該当するものと考えられる。例えば、大型ショッピングモール内で利用可能なポイント、大型の量販店や通販サイト内で利用可能なポイント、幅広い商品と交換できるカタログギフト等である。

〇近年、インターネット上などにおいて、保険契約に関するアンケートを募り、それに応じた顧客(契約見込客)に対して現金や商品券などを提供し、当該顧客の情報を保険会社や保険募集人に紹介し、当該保険会社や保険募集人から、報酬(手数料等)を得るといった行為(業)を行っている者が存在する。
これらは、直ちに保険業法300条に規定する保険募集に関する「特別利益の提供」に該当する行為ではないものの、例えば、送客を受けた保険代理店等が当該顧客に対して保険募集を行うことで、その行為と保険募集に一体・連続性が生じることとなれば、当該保険募集を行った保険会社や保険募集人等は、当該顧客を紹介した者を通じて「特別利益の提供」を行ったこととなり得ることに留意する必要がある。
  ➡ 所謂「リーズ」についてですが、上記解釈をクリアすることは正直なかなか難しい
と考えます。

〇現行の取扱いの見直しが必要なものについては、直ちに対応すべきと考える。
  ➡ わかってますか?
    「全く猶予はない」ということです。
    何とかなると思っていたら、保険代理店は廃業しかありません。

なかなか保険代理店経営は困難になりますね。
しかし、真摯に取り組む以外に手はありませんよ!

生命保険業界で議論されていたこと

  • 2017/02/10
  • Dr.ウエノの保険コラム

昨年末から今年にかけて、生命保険業界では、こんな議論がされていました。

◇現金・電子マネーへの交換が可能な他のポイント等サービスに交換することで、間接的に交換機能を有しているものは「特別利益の提供」に該当するのではという議論。

これは生命保険協会が自粛するとした図書券、ビール券等といった換金性のあるものを今後自粛すると発表したことに併せ、換金性のある各種ポイントについてはどう対処するのかという議論の中で生じているものです。

◇クレジットカード会社等の第三者が費用を負担しているサービスで「保険料の収納」によりポイントを付与されるものは、「特別利益の提供」には該当しないとの議論。

◇保険契約者間の「公平性」を保つ必要があるものの、実際の保険募集時においては、必ずしも全員に平等ということにはならないものと考えられますが、過度なサービス提供等によっては「著しく公平性を阻害するもの」で、「あってはならない」という議論。

◇募集関連行為従事者が見込み客等に現金や商品券等を提供する場合は、保険会社や保険募集人等は、募集関連行為従事者を通じて「特別利益の提供」を行ったこととなるとの議論。

◇保険会社が業務委託費、広告費、協賛金等の目的で、役務の対価あるいは販売促進策としての実態がない金銭等を供与する行為、保険会社がフランチャイジーから対価が支払われている業務に重ねて金銭を支払う行為、ある募集人が実質的に保険募集業務や代理店業務等を何ら行っていないにも関わらず、他の募集人と成績、手数料を折半する行為は、「法人等に対する対価性のない金銭の支払いその他の便宜供与」、「過度の便宜供与」の禁止等の監督指針を踏まえると不適切と考えるといった議論。

◇保険会社から提供される金銭の水準、インセンティブ等を理由に商品を推奨するといった事が無いよう留意する必要があるという議論。

当然、代理店が保険会社から提供される金銭の水準等を主たる理由に商品を推奨しているにも関わらず、「当該代理店における販売量の多さ」を推奨理由と装い、説明する行為は不適切とする議論。

◇保険会社が、保険募集人指導事業を行う保険募集人が指導対象保険募集人に行っている教育等と同内容のものを重複して行う必要はないが、各社が重要と考えられる教育等は保険会社が行うことが望ましいとの議論。

こうしたようなことが昨年末から議論され、今年1月19日に生命保険協会から「業務運営上の諸課題等についての確認事項」が全生損保会社に発信され、色々な動きが起こっています。

金融庁は大手保険代理店には「プリンシプルに基づくFD対策」も求めるといった発言をしていると聞きます。

保険会社を通じるのではなく、保険代理店自らでこうした対策勉強会をする必要があると考えますね。


相次ぐ保険ショップの退店

  • 2017/02/03
  • Dr.ウエノの保険コラム

保険ショップの退店が昨年から相次いでいます。

Dr.ウエノが聞いた要因の一番は「人がいなくなった」というものです。確かに保険ショップから募集人の方が多く離脱していますね。

「保険ショップで経験を積んだので独立して自身で保険ショップを開業してみたい」という方もいらっしゃいますが、ほんの僅か。では、要因は何でしょうか。

元々「固定給」でやっている保険ショップなので、「給与面が問題」で辞めるという話は余り聞きません。「固定給」プラス「歩合給」的な給与体系で10年以上やっていて、その点を理解して保険ショップに入社していますので、問題はありません。

では、要因は何か?直接、現在の保険ショップを辞めたいという方の意見を直接聞く機会がありましたので、ご紹介したいと思います。まず、一つは、「経営者が保険ショップ運営についてスタッフ任せにして口は出すが手は出さない」ことへの不満でした。

「以前は毎月の店長会議等にも積極的に参加しプロモーションの仕方やイベントの取組について一緒に議論し実行していたが、最近は店長会議にも出ず、毎月の成果だけをチェックされて口だけは出す」ことへの不満でした。そして、二つ目は「保険ショップスタート時には経営者の理念が感じられたが最近はお金のことばかりで理念のかけらも感じられない」ことへの不満でした。保険ショップ、保険代理店のトップの皆さん、同じことをしていませんか。

社員は、「お客様の笑顔のために日々頑張っています」。こうした強い気持ちが社員のモチベーションを支えています。保険ショップでは朝10時~夜は20時位まで、しかも年中無休の店舗が多く、シフトを使って週休二日を維持しているとは言え、なかなかハードな仕事内容になっています。ハードな仕事で疲れた体と心を支えてくれているのは「お客様からの『ありがとう』です」。

この想いを経営者から感じられなくなると人心は離れて行きます。

お客様のために本当に頑張っている社員にこうした気持ちは強く、こうした強力な社員に辞められては保険ショップは一挙に運営不能となり、代替要員を探すことも出来ず、「閉店」となっている訳です。寂しいですね。

保険代理店経営者の皆様、こうしたことがないよう常に顧客視線で暖かく社員を見守ってあげて下さい。それでも「退店」せざるを得なくなった場合、店舗を閉める場合には「高いコスト」が生じます。「居抜き」で別の屋号で保険ショップをやって貰うところがあれば、思い切って「人ごと」「箱ごと」「契約ごと」売ってみるというという経営判断は如何でしょうか。損保大型代理店のM&Aの話も水面下で多く噂を聞きます。「募集チャネル」の一つとして保険ショップはやってみたいという方も多いので、意外と簡単に後継テナントは探し出せます。最後にこうした経営判断も頭の片隅に置いておいて下さい。


2016年の交通事故者数が4000人を割りました。

  • 2017/01/20
  • Dr.ウエノの保険コラム

2016年の全国の交通事故死者が前年比213人減の3904人となり、1949年以来67年ぶりに4千人を下回ったことが報道されました。

損害保険会社の元社員として率直に凄いことだと感心しております。因みに交通事故死者数の推移をみてみましょう。

・昭和21年  4409人・・・車の数を考えれば、どれだけインフラが整備されていなかったかということでしょうか。

・昭和30年  6379人

・昭和40年 12484人

・昭和45年 16765人・・・ここがピークで、ここから下がります。国にそれだけ危機感を感じて対策を講じたということだと思います。

・昭和50年 10792人・・・昭和51年に1万人を一旦割ります。

・平成 8年  9943人・・・この年、再度1万人を割り、それからは減少の一途を辿ります。

・平成15年  7768人

・平成25年  4388人

この流れで、平成28年は初の4000人割れとなりました。政府は、この流れを更に進めていくために、「2020年までに年間2500人以下を目指す」としており、今後、死者数の半分を占める高齢者への対策や自動運転技術の開発などを推し進めると思います。年間死者数は「交通戦争」と呼ばれた1970年に戦後最悪の16765人を記録。バブル期も多かった死者数が、シートベルトの義務化、車の安全性向上や飲酒運転の厳罰化などで近年はピークの4分の1程に減っていて、間違いなく国を挙げた対策のお陰だと思います。今回の統計で特徴的なことは、全体の死者数の54.8%を65歳以上が占めたことだと思います。1995年は約3割、2005年は約4割だった数値が2010年に50%を超え、高齢者の人口増に伴い高止まりしています。

ということは、国の施策は、ここに集中するでしょうね。


2020年の東京オリンピック開催時を目途に、「自動運転の実用化」に加速がかかることで、「自動走行」の実現も可能になるかも知れません。車がGPSを使って自動走行できるようになれば事故は大幅に減らせるでしょう。

また、高齢者の免許証の更新も厳しさが増し、加害者、被害者ともに高齢者という事態の防止を強化すると思います。これだけ車が増え、人も一極集中する中で、これだけ交通事故死者数が減っていますので、この高齢者対策がしっかり取られれば、目標値の2500名未満は実現できると思います。

「走る凶器」と称されていた車も、時代とともに大きく変貌を遂げたものですね。