アンチ・エスタブリッシュメントというワードをお聞きになったことがありますか。
昨年のアメリカ大統領選で、トランプ陣営が良く使っていたワードで知られるようになりましたね。エスタブリッシュメントは、社会的に確立した体制や制度、またその階層や組織のことを言います。これに対して、アンチ・エスタブリッシュメントはこれらに反抗することを言います。
トランプ陣営は自身の陣営をアンチ・エスタブリッシュメントとし、クリントン陣営をエスタブリッシュメントと称して、既存体制からの脱却を訴え、当選しました。トランプ氏は大統領就任当日にTPPからの脱却を表明しており、世界は反グローバル化、保護主義化に進もうとしています。保護主義になれば自国の雇用が増え、給与が上がり、経済は復活すると考えますので、悪いことではないと思います。この「アンチ・エスタブリッシュメント」は、保険業界にも忍び寄っていると思われませんか。旧態の保険代理店制度や保険業界で当たり前で通っていた色々な制度や体制等が否定され、全く新しい制度や体制に変化する潮目に2017年がなるような肌感覚があります。昨年20年ぶりに改正された保険業法の運営も2年目に入ります。
昨年11月に全国各地の保険代理店100店以上に金融庁、財務局からモニタリングがありましたが、今年もモニタリングは継続されると考えます。実際、昨年11月にモニタリングを受けた某代理店には今年3月に改めて来ますと言い残して帰られたという情報もありますので、間違いなく実施されると思います。
この代理店は損保代理店で、モニタリングの際に「高齢者対策」について詰問されました。高齢者対策として代理店は、例えば ①必ず高齢者の子どもを同席させて保険の説明等を行う、②一回でなく複数回面談することで理解を深める等といった体制を構築する必要がありますが、どういった方法を取っているかを質問しています。
これだけで終わらず、当該代理店の店主、募集人自体が高齢者であることに触れ、そもそも高齢者が高齢者に保険の説明が出来るのかと質問しました。これって、当該代理店の体制自体を変えるよう警告を発したことになりますよね。この警告に対処するためには早々に若い募集人を採用し、契約更改等は若手に移譲していく必要が求められると思います。ここまで代理店運営に入って来られこと自体が、アンチ・エスタブリッシュメントだと考えます。
2017年は保険業界もアンチ・エスタブリッシュメント旋風が吹き荒れる可能性が高いと考えます。
この風を「北風」とするか「南風」あるいは「追い風」にするかは、保険代理店の行動によって大きく異なります。
風が止むのを待っていると変化についていけなくなると考えます。
「南風」、「追い風」にするためには何をどう取り組めば良いかを新年早々から真剣に考えて行かないとダメですよ。
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生命保険の保険料ってどうやって決まるかご存知ですか。
生命保険は「大数の法則」に則って統計を活用したリスク度に応じて商品設計されています。保険料を決める重要な要素は次の三つ。
① 生存率・死亡率の指標となる「生命保険標準生命表」(公益社団法人日本アクチュアリー協会)
② 運用利回り(=予定利率)の参考となる標準利率(金融庁)
③ 人件費や物件費といった事業利率(各保険会社)保険料は純率と言われる①②に加え、付加保険料となる③により構成されます。③は各保険会社によって異なる故に、保険会社によって保険料に差が生じる訳です。
③は各保険会社の問題ですが、①と②は業界全体に作用することなので、改定のたびに大きな影響が出来ます。最近では、次のような出来事がありました。
◆2007年
「生保標準生命表」が改定。死亡率が引き下げられ、大々的に保険料が変更。
◆2013年
金融庁より「標準利率」が引き下げ。主に貯蓄機能のある生命保険商品が値上げ。
◆2015年
新たな方法による「標準利率」が適用。一部の一時払保険の保険料が値上げ。こうした動きがあるたびに消費者の方は敏感で「駆け込みで保険契約」される方が多発し社会現象を巻き起こしています。2013年4月に低金利に応じて全面的に保険料が改定されたのが、ついこの間のような気がしますが、2017年から2020年にかけて再び2段階の保険料改定がなされます。まずは標準利率が2017年4月から現在の1.00%から0.25%へ下がります。
従って、2017年4月以降に契約する新規加入者から新保険料が順次スタートする予定ですが、当然、商品の特性に応じて価格への影響度は異なります。まず、低金利の影響から2017年に予定利率を下げる見通しで、それによって長期の運用収入を見込む貯蓄型の生命保険について「保険料の値上げ」が予想されます。
既に保険会社によってはマイナス金利下、貯蓄系保険の売り止めもしていますので、また3月までは「駆け込み契約」が発生するのではと予想しています。更に2018年4月には、長寿化を反映して、標準生命表が改正され、死亡率が大きく引き下げられる見込みです。
となれば、「死亡保障の生命保険は値下げ」傾向に、高齢化によるリスク増により「医療保険は値上げ」傾向が予測されています。
◆まとめ
2017年4月からの「標準利率」低下によって、保険会社は資産運用について収入が減る前提で商品設計することになるので、契約者が払う保険料は値上げ傾向が強く出ます。特にそれが顕著に出るのは、資産運用による貯蓄機能がある商品(終身保険、個人年金保険など)だと考えます。また、「標準利率」の改定頻度も既に年4回に増えていますので、運用環境の変化に応じた改定が今後もなされることが予想されます。
更に、2018年~2020年4月までに予定されている「標準生命表」の改定は、長寿化に伴い死亡率の低下が反映されると予測されますので、掛け捨ての死亡保障商品(定期保険や収入保障保険など)は、保険料が下がると考えます。
一方、長寿化による医療や介護リスクから、医療保険や介護保険などは値上げが予想されています。こうした数年の動きを念頭に置いて、今年一年の事業計画を立てましょう!!
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共同募集についての議論が始まりました。
損害保険では代理店分担という制度が古くからありますが、共同募集という概念とは大きく異なります。意外と理解されていないので、一度、整理してみたいと思います。損害保険で使っている「代理店分担」。
これは一つの契約を複数の保険代理店でシェアすることを言います。
古くから使われていて、二つの代理店でも三つの代理店でも分担することが可能な制度です。そもそも損害保険には保険会社が複数でシンジケートを作って一つの契約をシェアするという共同保険という概念もあります。古くは住宅金融公庫なる機関が住宅ローンの貸し出しを活発に行っていた時代には、保険会社複数社で火災保険契約をシェアしていました。こうした歴史から代理店分担が普通に存在しています。
広島のA代理店の顧客が東京で新しい事業展開するにあたって損害保険が必要となり、A代理店は管理が出来ないとして知り合いの東京のB代理店に契約の依頼をし、通行税としてA代理店は顧客紹介という名目で例えば30%を代理店分担で貰うという形式は当たり前にあります。一方、生命保険の共同募集とは本当に一緒に保険募集をするということが前提とされています。二人の募集人が一緒にお客様の所に行って契約をし、50%ずつの折半にする形が基本形となります。この共同募集の概念に損保系生保社が参入したことで、共同募集の概念が少し変化し、生保の共同募集にも30%対70%といったシェア分担が発生しました。
流石に損保のように三つの代理店でシェアは出来ませんが、かなり損保的な考え方がこの8年位で導入されて来ました。
そういった流れに確認を下す意味もあって、今回の共同募集の概念についての議論が始まったのだと思います。共同募集については損保系生保社でも、きちんとしたルールが出来ています。
例えば、「マーケットホルダー」と「代理店」との共同募集については、「マーケットホルダー」の役割分担は『ホームページなどで集客した見込客に対して「名乗り」、「個人情報」と「大まかな意向」をヒヤリングし、代理店と連携する。「大まかな意向」とは電話や書面のやり取りの中で収集した見込客の要望や情報などを指す。』とされ、「代理店」の役割分担は『マーケットホルダーから得た情報を元にプランを作成の上、アポイントに従い訪問し、「名乗り」「募集」を行う。』とされています。他のケースにおいても具体的な役割分担が決められていて、これに沿って取り組めば問題ないと考えます。
本来、共同募集については保険会社が容認して初めて成り立つ訳ですので、代理店が勝手にシェア割合を決めること自体おかしいと思います。今後は元々ルール化されている訳ですので、正しい運営をしていくことで、クリアできる問題だと思います。
共同募集についても2017年は整理していかないといけませんよ。
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2017年1月1日に改正確定拠出年金法が施行されます。法律が改正されるとマーケットは大きく動きますよね。来年の最大のチャンスは、この確定拠出年金だと考えていますので、軽く説明したいと思います。
確定拠出年金(DC)は公的年金に上乗せされる年金制度の一つです。
国民年金基金や昔ながらの確定給付付企業年金に加え、新たな上乗せ年金の選択肢として2001年に登場しました。毎月、一定の掛け金を支払い(拠出し)ながら金融商品で運用し、貯まった資金を60歳以降に一括で、または年金で受け取るという制度です。
国民年金自体が本当に受け取れるのかという背景がある中、国も積極的で、税制面では優遇のある投資支援制度である「NISA」と比べても、さらに優遇が手厚く、有利な資産形成を出来るのが特徴です。
税制メリットは次の三つ。
①『掛け金を払う時』
個人型は「掛け金(拠出額)」全額が所得控除の対象となり、所得税、住民税が拠出額に
応じて減少する。企業型は会社が掛け金を払うが給与とみなされないため非課税。
②『運用している間』
運用中に得た利益は全て非課税。投信の売却益や分配金、預金の利息などがその対象とな
る。その分、福利効果が期待できる。
③『受け取る時』
貯まった資金を受け取る際、一括で受け取れれば退職所得控除、分割で受け取れば公的年
金等控除の対象となり、所得税などが安くなる。
にもかかわらず、制度が導入されて15年が経過して現在確定拠出年金に加入している企業は全体の0.9%にしか過ぎません。
そこで、2017年から利用者拡大を図るべく、制度を大幅改正することになったものです。
何と言っても、個人型DCに、「国民年金加入の現役世代なら誰でも加入できる」ようになることがポイントです。これまで入れなかった「公務員」や「会社員や公務員の妻」も、それぞれ上限額が公務員で月額1.2万円、妻で月額2.3万円と設定されていますが、加入できるようになります。
金融庁も「貯蓄から投資へ」を後押ししていますので、保険代理店が積極的にDCに取り組むべきだと考えています。
そのため、2017年1月18日開催の結心会定例会では2時間ですが、勉強会を開催します。
制度自体を理解し、如何に企業や個人にアプローチしていくかを参加者全員で共有します。
来年はDCから個人投資教育を保険代理店が出来るような展開にしたいと思います。
カオスの保険業界を救う方法の一つは、DCであることは間違いないと考えますよ!
早く取り組んだものがリードします。結心会と共に取り組んでみませんか。
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来年1月18日~19日の二日間、東京・多摩市の富士火災多摩研修センターに於いて「第33回結心会定例会」を開催します。内容は次の通りです。
■1日目(2017年1月18日~19日)
12 : 50 開会挨拶・・・結心会 会長
メインテーマ『基本型とイレギュラー型のマーケット創出手法を考える』
13:00 『確定拠出年金についてもう一度取り組んでみよう』
・・・一般社団法人 確定拠出年金教育支援協会 代表理事 至田勝紀 氏
★マーケットが枯渇する中、確定拠出年金に再度は取組むことで法人マーケットに参入し、
そこから従業員の「投資教育」、更には「個別相談」と展開し、マーケットを創出しようという試みです。企業でどういった話をするのか、採用後の授業員向け投資教育はどのようなことをやるのか等を具体的に説明していただきます。
15 : 10 休憩&集合写真
15 : 30 『何でも買い取ります!』 ・・・ 株式会社銀座屋 森社長
★ブランド品買い取り業者との提携でママ・マーケットや富裕者層マーケットを創出しようという企画です。また遺品整理も出来るのでシニアマーケットにアプローチする新しい切り口となると考えています。
16 : 10 『健康ステーション構想について』 ・・・ 健康ステーション実行委員会
★「リアルリーズ」を自ら創出するための新しい店舗展開を提案します。
16 : 50 休憩
17 : 10 『がん早期発見をサポートするメディカルクラブを企業に提案しましょう』
・・・プリベントメディカル株式会社 馬渕取締役(医師)≪予定≫
★本システムについての医学的見解等のお話もしていただきます。
18 : 00 終了
■2日目(2017年1月19日)
8 : 00 結心会総会
9 : 00 休憩
9 : 15 ①財務力協会からの提案 ②おもてなし電話について
10 : 00 ③ Wai Wai Gaya Gaya
★先が全く読めなくなった保険業界において、今後どう進んで行くべきかを参加者全員でグループ討論します。新年ですので、参加者の昨年の情勢、今年の展望等を語り合い、多くの代理店の生の声を全員で共有したいと思います。お互いに聞きたいことを聞きたい方に聞いていただければと思います。
12 : 30 終了
如何でしょうか。
参加費10,800円をお支払いいただければどなたでも総会以外は参加できます。
参加希望の方は、「nekutai-hade@mopera.net」まで参加希望される方のお名前、住所、連絡先等をメール下さい。
大勢の方々の参加をお待ちしています!
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