三井住友海上社は11月に国内で初めて「仮想通貨を巡るトラブルに対応する保険」を売り出しました。
仮想通貨がサイバー攻撃などで盗まれたり、消失した際の被害を補償するという保険になります。仮想通貨の利用者はビットフライヤーのような専門の取引所に口座を設け手数料を支払って仮想通貨を売買していますが、当該保険は取引所自身の被害だけでなく、口座に預けてあった利用者の仮想通貨も補償の対象となるそうです。補償額は1000万~10億円で、保険料は取引所の手数料収入の額に応じ数十万~数百万円になるそうです。サイバー攻撃のような不正アクセスだけでなく、取引所の従業員のミスや不正なども補償範囲に含まれ、更に被害者への通知や海外からの賠償請求にも対応するというものとのことです。
ビットコインと言えば、経営者による横領で2014年に経営破綻した取引所マウントゴックスの事件以降、国内では仮想通貨へのマイナスイメージが残っていますので、保険でカバーすることで不信感が払拭出来れば良いと考えます。
5月に成立した改正資金決済法では仮想通貨をプリペイドカードなどと同じ「支払い手段」と定義づけました。要するに国が仮想通貨を推進しているのです。大手銀行でも三菱UFJフィナンシャル・グループが「MUFGコイン」の開発を発表するなど、仮想通貨を巡る取り組みは広がっています。調査会社シード・プランニングが8月にまとめた試算によると、2017年のビットコインの取引高は、2016年の4倍になると推定しており、国の施策を後押しする意味でも価値のある保険だと考えます。
そして、当該社は昨日の報道で、来年1月から投資信託などの「金融商品の説明が不十分として訴えられた際の賠償費用を補償する保険」を販売すると発表しました。
なかなか攻めますねー。三井住友海上社!
顧客本位の業務運営を意味する「フィデューシャリー・デューティー」が注目されるなかで、金融商品の販売ノウハウが少ない地方銀行や信用金庫などの中小金融機関を念頭に置いての販売とのことで、例えば為替変動リスクがある商品について十分説明せずに契約し、顧客から損害賠償請求を受けた場合などを想定しての保険となっています。更に、サイバー攻撃による顧客情報の流出や顧客への融資停止などで損害賠償が発生した場合の賠償費用や事故対応で生じた広告宣伝費用なども対象にするということで、多くの金融機関は挙って加入するのではないでしょうか。保険料は年200万~300万円で、保険金額は損害賠償金が最大10億円、弁護士に支払う着手金などの費用保険金が同5億円だそうです。
「旬」な保険は良いですね。
しかも「社会性の高い」二つの保険は、非常に面白いと思います。旬な保険商品を提案するだけで楽しくなりますよね。
三井住友海上社は結心会の会員でもありますが、保険会社の姿勢として高く評価できると思いますね。
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損害保険各社は、衝突などを防ぐ「自動ブレーキ」を搭載した車を対象に平成30年から自動車保険の保険料を9%程度、割り引く方針を固めたと報道されました。
自動ブレーキは、前方の車や歩行者に衝突する危険をレーダーなどで検知して自動でブレーキがかかる機能で、自動車メーカー各社が積極的に車に搭載したことから急速に普及が進んでいます。テレビのCMでも良く見かけますよね。
報道によると、損害保険各社が加盟する損害保険料率算出機構が自動ブレーキを搭載した車の事故の頻度が、搭載していない車よりも少ないことを理由に、各社が保険料を決める基準となる「参考純率」を9%引き下げることを決め、これを受けて損害保険各社は、再来年、平成30年から自動ブレーキを搭載した車を対象に、自動車保険の保険料を9%程度、割り引く方針が決定したそうです。
自動車保険は、高齢ドライバーによる事故の増加や、自動車に使われる電子部品の修理代の上昇などを理由に、ここ数年、保険料が値上がりする傾向にありましたが、自動ブレーキのような安全技術の普及により事故が減少し、保険料の一層の値下がりにつながるのか注目されます。
損害保険は「モノ」が対象なので、このように「モノ」が進化すると保険も進化します。
耐火性能の高い建物の火災保険は割引になったり、オール電化で直火を使わなくなると割引になったり、耐震性の高い建物は当然割引になったり、機械警備があると消防車よりも警備会社の方が先に駆けつけてボヤ程度に押さえられることで割引になったりと、時代の進化と共に保険も進化して来ました。
自動車保険でも、エアバックがついていると大きなケガに繋がらないとして割引がありますが、今回の「自動ブレーキ」があれば大きな事故につながらないと実証も出来ましたので割引スタートしても当然というところでしょうか。
最近は高齢者の事故が多くなっていますので、自動車メーカーには一日も早く「自動運転」を実現して貰いたいものです。自動運転だと運転手に過失はなく、車自体の不備ということで自動車保険ではなく、製造物責任保険だという議論も既にありますが、その時が来れば、保険もまた進化すると思います。
生命保険も実年齢でなく健康年齢で保険に入れるようになる時代ももう直ぐです。
時代と共に、「モノ」の進化と共に、保険も進化します。
進化しすぎると保険そのものの必要性も無くなるともいわれていますが、それまでの保険の進化を楽しんで見守ってみては如何でしょうか。
時代を超えたエッジの効いた保険の登場も見てみたいものですね。
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