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政府が保険を使って失業対策支援??

  • 2017/04/07
  • Dr.ウエノの保険コラム

政府は特定企業に属さずに働くフリーランスを支援するため、失業や出産の際に所得補償を受け取れる団体保険の創設を提言すると報道されました。

損害保険大手と商品を設計し、来年度から民間で発売してもらうとされていますが、保険は「事故性」が求められる商品です。損保の傷害保険の保険金支払いのための三要素として定義されている「急激・偶然・外来」が特徴的だと考えますが、今回の「失業」が事故にあたるのか極めて疑問です。

保険を活用して業界を支援するという事では、自動車保険などは顕著な事例だと思います。こんなにモータリゼーションになった背景には、自動車事故による保険金支払いを耐えつつ自動車業界を支えた保険会社の存在を抜きには考えられません。自動車保険については国が自動車賠償責任法という法律を作り、車検の際に「自賠責保険」加入を強制加入とし、保険会社を窓口に保険料徴収させています。一時は「走る凶器」とも言われ事故も多発していた自動車ですが、技術の進化、インフラの整備等もあり、大幅に事故は減り、今では損保業界の屋台骨を支えるほどに自動車保険は進展しました。
地震保険も国が再保険を担っていますので、今回の保険も入口は保険会社に作らせて国が再保険を受けるつもりなのでしょうか。
そういった意味では、非常に関心を持っています。

因みに、「フリーランス」は、複数の企業と特定業務で契約したり、個人事業主として働いたりする働き手を指します。IT(情報技術)の進化で米国などでは急増しており、日本でもシステム開発やウェブサイトの制作を手掛けるデザイナーや技術者、翻訳家、ライターなどフリーで働く人が増えており、しかも女性の活躍も目立つそうです。
しかし、日本では企業の正社員として働いていない人については、社会保障制度が手薄な面があり、しかも契約が満了を迎えると収入が途絶えるといったリスクも大きいため、政府はフリーで働く人への支援を手厚くする施策の柱の一つとして、この所得補償保険の創設を提言しているのです。
今年発足した業界団体「フリーランス協会」に加入すれば、保険料が最大5割軽減される「団体割引」の仕組みとするよう損保会社に指示するようですね。
なかなか踏み入った指示を出してまで、特定業態を支援するという形態はなかなか稀だと思います。

米国ではフリーランスが労働力人口の35%にあたる5500万人規模に達しており、日本でもクラウドソーシング大手社の推計によると、副業も含めた広義のフリーランス人口は1064万人に膨らんでいるそうです。

「失業をどう事故性に絡ませるのか」、「久しぶりに国による保険開発指導」と非常に面白い話なので今後も注視していきたいと思いますね。


2017年入社式トップのことば

  • 2017/04/07
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

2017年度がスタートし、4月1日に各企業の入社式が実施され、メディアを通じて、入社式でのトップのことばが報道されていました。

幾つかをピックアップしてみましょう。
・ニトリホールディングス似鳥昭雄会長
「成功はすぐ忘れて現状を否定せよ」
・JR東日本 冨田哲郎社長
      「思考停止に陥れば成長は止まる」
・ローソン 玉塚元一社長
      「高齢化や過疎化進むとコンビニは必要不可欠」
・イオン 岡田元也社長
      「顧客の変化に遅れることなくスピード感を」
・スズキ 鈴木修会長
      「海外売り上げ60%。国際感覚を」
・JTB  髙橋広行社長
      「グローバルステージでも一切の負い目なく戦え」
・西武ホールディングス 後藤高志社長
      「働き方改革を進めイノベーションを」
・すかいらーく 谷真社長
      「よい仕事は充実した家庭と生活あってこそ」
・ANAホールディングス 片野坂真哉社長
      「みなさんはロボットより手ごわい。個性があるから」
・みずほフィナンシャルグループ 佐藤康博社長
      「テクノロジーの進化が金融の姿を変える」

先の見通せない時代故に、現状に留まらず「常に変化、進化を求める」発言や、近年目立っているブラック企業脱出を目指した「働き方改革」の話が多かったようですね。

金融についてみると、みずほフィナンシャルグループ・トップが「フィンテック」を話題にし「50年に一度の大きな変革の時代」を如何にイノベーションするかを話されていました。
フィンテックはご存知のように「ファイナンス」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語で「ICTを駆使した革新的あるいは破壊的な金融商品・サービスの潮流」などの意味で使用されています。何か遠い話と思っていましたが、最近はフィンテック関係企業様との接点も増え、ベンチャー企業と保険会社のコラボも何か出来ないかと色々と模索しています。

2016年度以上に大きな変貌の年となるであろう2017年度。
如何に舵取りをするか、トップの手腕が問われますね。


生命保険協会からのガイドラインから = PART 3 =

  • 2017/03/31
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

今回も生命保険協会から発信されました「募集関連行為に関するガイドライン」の幾つかを抜粋してみましょう。

■募集規制の潜脱等
〇顧客(契約見込客)に対して現金や商品券などを提供し、当該顧客の情報を保険会社や保険募集人に紹介する行為等については、直ちに、保険業法で禁止されている「特別利益の提供」に該当する行為ではないものの、例えば、紹介を受けた保険募集人等が当該顧客に対して保険募集を行うなど、紹介行為と保険募集に一体・連続性が生じることとなれば、保険業法施行規則第234条第1項第1号の規定を踏まえ、当該保険募集を行った保険募集人等は、当該顧客を紹介した者を通じて「特別利益の提供」を行ったこととなり得ることに留意する。
〇例えば、以下のケースについては、募集規制の潜脱につながる行為に該当し得ることに留意する。
・保険業法第300条、保険業法施行規則第234条に関連して、法人である保険募集人が、自らが募集できない分野の保険商品について、外部の保険代理店等に自社の従業員等を紹介し、紹介手数料等の対価を得るようなケース(報酬の名目が異なるケースも含む。)
・保険業法施行規則212条等に関連して、銀行等の保険募集人が外部の保険代理店等に融資先企業の従業員等を紹介し、紹介手数料等の対価を得るようなケース(報酬の名目が異なるケースも含む。)
・募集関連行為従事者が契約見込客の既加入の保険商品について言及する場合には、保険募集人が募集行為を行う際に顧客の正しい商品理解を妨げるおそれがある行為とならないよう留意する。なお、顧客の正しい商品理解を妨げるおそれがある行為等を行っていた場合は、保険業法第300条違反等にもつながる場合があると考えられる。
■個人情報の取扱い
〇個人情報保護法(平成29年5月30日改正法施行)では、自ら個人情報を取り扱う保険募集人は、取扱う個人情報等の数に関わらず個人情報取扱事業者となり、同法の義務が課せられることに留意する。
また、同法により、保険代理店は募集関連行為従事者から個人データを受領する場合、保険代理店は当該募集関連行為従事者に係る情報や当該個人データの取得経緯等について、募集関連行為従事者は保険代理店に係る情報等について、記録、保存等を行う体制を整備する必要がある。
■支払手数料の設定
保険募集人は、募集関連行為従事者に支払う手数料の設定について、慎重に対応する必要がある。
例えば、保険募集人が、高額な紹介料やインセンティブ報酬を支払って募集関連行為従事者から見込客の紹介を受ける場合、一般的にそのような報酬体系は、募集関連行為従事者が本来行うことのできない具体的な保険商品の推奨・説明を行う蓋然性を高めると考えられることに留意する。
〇「インセンティブ報酬」とは、紹介者数や紹介者の保険契約の募集手数料等に応じて増加する報酬をいい、例えば、保険契約1件あたり定額の紹介料を支払うことは、件数に応じて報酬総額も増加することから、インセンティブ報酬に該当し得ることに留意する。

如何でしょうか。
3週にわたって抜粋してみましたが、各代理店におかれましては必ずガイドラインを印刷して日々の業務に活用して行って下さい。
「保険会社毎に言うことが違って困る!」という保険代理店の声を聴いて生命保険協会がガイドラインを作ったものです。今後は、これを「基準ライン」として活用下さい。


P建て保険が最近出て来ましたね。

  • 2017/03/31
  • Dr.ウエノの保険コラム

昔は一般的でしたが、個別保険相談が主流になった中、完全に下火になったP(保険料)建て保険商品が復活しつつありますね。

楽天生命の「スーパー2000」が代表的ですね。
20歳から59歳の健康な方がご加入できる商品ですが、保険料は「男女問わず」一律「一口2000円」です。という訳で「スーパー2000」という商品名になっています。
保障内容は、病気またはケガによる入院を担保したり、がん治療給付金を一年に一回給付したり、病気または不慮の事故による死亡保険金も支払え、更に1年間入院しなかった場合には健康祝い金が支払われるというものです。この健康祝い金は20~39歳の男性で6000円、同女性で5000円となります。
これで、保険料毎月2000円で、最大2口まで加入できると言うもの。
流石にP建て商品は分かりやすいですね。
当然、保障金額は年齢ごとに異なり、疾病入院給付金日額で言えば、20~39歳で6000円であるのに対し、55~59歳は2500円と変化します。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は、何と月々500円の「リンククロス」という商品を投入して来ました。
「臓器移植医療給付金付先進医療保険」が正式名。
先進医療の技術料を通算2000万円までと臓器移植医療給付金1000万円の保障を、年齢や性別にかかわらず月々500円の保険料でカバーできると言う商品です。
特約でなく単品として販売していて、20~69歳まで加入可能、保険期間は1年間で、クレジットカードのみ決済可能という特徴のある保険になっています。
「パッと見」は、面白いですよね。

このようにR建て保険が相次いで販売されています。
お客様とのお話しの中で、意向把握する必要がありますが、必要な保障がP建てて加入できるという商品はお客様にも分かりやすく、勧めやすいと思います。ひまわり生命のリンククロスなどはニッチな隙間にアドオンで勧めるには、ワンコイン500円ですので説明しやすいですよね。

こうしたP建て保険商品は今後益々拡大すると考えています。
パンフレット売りの時代から、個別保険相談を通じてお客様と一緒になって複数の保険会社の商品からお客様にマッチした保険を選択して行くという時代を経て、特約的な保障に絞って保険料建てでの保険を隙間に加えつつ安価な保険料故に「解約リスクの少ない掛捨て保障型保険」を販売する戦略が明確化して来ました。

資産形成系保険については、各社、夏に向けて変額保険が市場に投入される予感がしますが、掛捨て保障型商品は説明のし易い、メディアを通じても拡散し易いP建てが今後間違いなく主流になると考えます。
保険会社は保険代理店にこのP建て保険をOEMで卸して販売拡散させたら余計面白いと思いますね。

保険会社と地方自治体等との提携

  • 2017/03/24
  • Dr.ウエノの保険コラム

最近、保険会社と地方自治体等との提携が新聞に掲載されています。
お気づきでしょうか。

日本生命は「沖縄県」と健康増進やがん対策、高齢者支援などを含む包括的に連携協定を締結したと報道されました。
日本生命は沖縄県内の16営業拠点を活用し、熱中症予防の啓発といった健康増進活動やがん検診の受診を促すための情報発信などで広く協力するという協定です。

「東京都」は民間企業・団体と複数の政策分野にまたがって連携を進める「ワイドコラボ協定」と呼ぶ取り組みを始め、地域の防犯や見守り、働き方改革、文化・スポーツ振興など様々な分野で包括的に協力する形を想定し、官民一体となって地域貢献や住民サービスを充実させる第1弾として第一生命保険と協定を結んだと報道されました。
健康増進や生活と仕事の両立(ライフ・ワーク・バランス)と女性の活躍推進など7項目で協力を進める内容でした。

また、明治安田生命は「北海道」の北洋銀行と地方創生を目的とした連携協定を結んだと報道されました。
産業振興や健康支援、子育て支援など多岐に及ぶ項目で協力するとのこと。産業振興では明治安田生命の異業種交流会を道内企業に案内するそうです。

こうした展開が最近、目立ちますね。

因みに、一般社団法人保険健全化推進機構結心会は「世田谷区の児童虐待ネットワーク構成員」となって2年目を迎えています。
損害保険の更改で、或は生命保険の新規契約取得のため、お客様のご自宅にお邪魔した際に、例えば3歳くらいのお子さんが部屋の片隅に正座して黙って1時間以上座っていたという状況を垣間見た際には、これを異常と感じて結心会に伝えていただければ、結心会から世田谷区に「児童虐待の可能性あり」と報告し、世田谷区が裏付けを取り、万が一、虐待が発見されれば直ちに児童を保護できるという仕組みです。
「地域に支えられている保険代理店が地域社会を守る!」
こんな思いで参画させていただいています。

こうした社会的貢献をすることでお客様の評価は間違いなく上がると考えています。
地域に貢献し、社会を微力ですが支えて行く「作業」を保険代理店や保険会社がすべきだと常々発信していますが、少しずつ進んで行っている感じがしています。

保険会社に任せるのでなく、地元の保険代理店も直接、自治体や銀行等に行って、自治体の施策の一部を一緒に手伝わせて下さいと提案下さい。
どぶ板営業をしてきた保険代理店だからこそ出来得ることだと思いますよ。