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国が義務化することで、そこに個人情報が集まる

  • 2022/07/04
  • Dr.ウエノの保険コラム
「全ての国民に歯科健診を義務付ける制度導入」の検討が本格化というニュースが報じられました。丈夫な歯を維持して心身機能の低下や病気の誘発を防ぎ、医療費の抑制につなげるという発想になります。

この、いわゆる「国民皆歯科健診」は、政府が5月末に公表した経済財政運営の指針「骨太方針」の原案に盛り込まれました。「第4章 中長期の経済財政運営」の項目「持続可能な社会保障制度の構築」の中で、全身と口腔の健康に関する科学的根拠の集積、オーラルフレイル対策などとともに推進事項に掲げられたものです。Dr.ウエノも、心臓バイパス手術やがん手術等を受けていますが、口腔ケアは医者から指示されていて、今でも定期的に歯科医院に通っていますので、理解できるところです。手術して集中治療室に入って最初にすることって実は歯を磨くことなんですよ。それだけ重要なことなのです。

政府に歯科医療、口腔健康管理の充実化を提言してきた日本歯科医師会は「国民の健康寿命の延伸を図り、働き手や支え手を増やせる」と高く評価し、ここ数年、重視されているオーラルフレイル(オーラルは「口」、フレイルは「衰弱」「虚弱」を意味し、食べこぼす、かめない食べ物が増える、うまく飲み込めない、むせやすい、口が渇くなど機能が低下した状態を指します)について、コロナ禍のマスク着用習慣化で顔の筋肉を動かさない状況が続き、口の衰弱が悪化していると指摘する中での国民皆歯科検診を評価しているそうです。

国民皆歯科健診になれば、言葉の通り、「すべての国民が歯科医院に行く」ことになります。これって凄い話ですよね。現在、歯科技工士の会社が保険代理店を開業してお客様の歯科医院を攻めていますが、将来的にはこれらの歯科医院に通われている患者さんにまでフィナンシャル全般の相談に乗れる体制を構築しようと考えていました。これが全国民に拡大される訳ですから、歯科医院を今押さえることで全国民のデータを入手することができることになる訳です。

国の義務化はこうした個人情報の集約を生みます。
国の義務化では他に「車検」があります。現在、車の保有台数は8185万台(2020年)で、これを全国の認証工場約9.2万店、指定工場約3万店で車検を受けています。ということは、約12万の整備工場さんを押さえることで8185万台分の車の保有者のデータを取ることができるのです。自動運転化やEV化で車検そのもののがなくなるかもしれませんが、今、こうして保有する個人情報を生命保険提案でより精度を上げることで、この情報で仕事ができると考え、結心会「モーター部会」を作って、マーケットの押さえを仕掛けています。
やはり、国の制度は強いですよね。そして、そこにデータが集約されるのです。
この理屈わかりますか。

国の義務化の対象となるところを押さえれば全国民の個人情報を取得することが可能になる訳です。故に、そこを押さえる! こうした戦術をしっかり持って、方向軸を決めていかないと勝てませんよ。