他業種・他業態の店舗形態は保険ショップ展開に向けて非常に参考になることが多いと思います。最近、気にしている他業種・他業態は「調剤薬局」です。
ドラックストア業界は、医療費抑制のため厚生労働省が2016年4月の診療報酬改定で調剤薬局の抜本的見直しを実施、薬価も引き下げられるなど、多くの調剤薬局、ドラックストアが調剤薬局の利益率低下を免れない状況になって来ました。特に、大病院など特定医療機関に依存する「門前薬局」の調剤基本料を引き下げる対象を大幅に拡大したことで、12016年度上期は大手を含め軒並み二桁の営業減益に見舞われる事態となりました。
これは、厚生労働省が「門前薬局」から「かかりつけ薬局」への移行を促すための改定で、一人の薬剤師が複数の医療機関を受診している患者の服薬状況を一元的・継続的に管理することで、「多剤」「重複投薬」「残薬」を防いで医療費を抑制するのが目的です。それ自体は患者にとっても有益なことですが、調剤薬局のハードルは高く、利益率の低下を押さえられない現状にあります。
因みに、医療費は現在40兆円。生命保険業界の保険料が年間40兆円。しかも、法律の改正で利益率の低下が避けられないという流れは全く保険業界と同じ感覚がしています。
では、こうした中、調剤薬局は如何に「変化」しようとしているのか?関心ありますよね。
例えば、ウェルシアHDは、今年、東京と京都に「B.B.ON」という新型店舗を出店しました。これは都心で働く女性のニーズにワンストップで応える24時間店で、ネイル、エステ、調剤、簡易血液検査、歯のセルフホワイトニングに、オーガニックコスメなど高価格帯の化粧品や健康食品も揃えていて、これまで郊外型生活密着店舗で、主婦層を対象としていた展開から都心のOL主体のマーケット戦略に変化させようとしています。
マツモトキヨシHDが昨年始めた次世代ヘルスケア店「マツキヨラボ」(現在千葉に2店)を、大阪のキリン堂も今年大阪に未来型ドラック「コスメ・デ・ルアップ」を出店しましたが、どちらも「健康と美容」に特化した都市型店になります。
スギHDも「女性のキレイ」に特化した新型店「エスプラス」を既に19店展開しており、ブランドコスメから目力アップ、美白、アンチエイジング、ダイエットなどの美容に関することは何でも相談てきる場所づくりを推進しています。ここでは、血管年齢、骨密度などの各種測定機器を設置したブース、管理衛生士の健康相談ブースを備え、健康食品、介護食などの販売、健康維持・増進の催しや脂肪・糖を意識した食の提案などを行っています。
調剤薬局がベースになると「健康」に関するあらゆる媒体を紹介できますので、進化型も作りやすいですね。
健康の反対にある病気に対する保険も、こうした進化型調剤薬局に乗れたら面白いですね。
一つ一つの業種・業態でなく、複数の業種・業態が一緒になって変化を起こす時代です。
共同に事業展開する「共業」ビジネスをドンドン推進させたいと思います。