第一生命保険は2021年度の営業職員の採用計画を、前年度から2000人少ない5000人程度にする方針を固めたことが報じられました。
新型コロナウイルス禍で対面営業や人材育成が難しくなる中、採用数を減らして教育などに注力し、短期間の大量離職を防ぐとしています。営業職員は契約実績に応じて給与が変動するため、契約が取れないなどの理由で、2年で半分が離職するとされています。このため生保各社は一定数の離職を前提に採用計画を立ててきました。
因みに、2019年度末の営業職員の在籍数・採用数は次の通りです。
日本生命 在籍者数 55,132人 採用者数 10,956人 退職者数 9,692人
第一生命 同 44,401人 同 6,773人 同 6,637人
明治安田生命 同 33,000人 同 5,860人 同 5,304人
住友生命 同 32,206人 同 5,439人 同 5,214人
朝日生命 同 12,485人 同 3,860人 同 3,042人
富国生命 同 10,323人 同 3,848人 同 3,343人
ジブラルタ生命同 同 8,075人 同 874人 同 1,683人
太陽生命 同 8,071人 同 2,029人 同 2,398人
大樹生命 同 7,538人 同 1,562人 同 1,267人
ソニー生命 同 5,792人 同 378人 同 420人
アクサ生命 同 5,489人 同 1,383人 同 1,428人
プルデンシャル生命 同 5,172人 同 686人 同 538人
メットライフ生命 同 4,226人 同 503人 同 481人
大同生命 同 3,746人 同 1,071人 同 1,111人
マニュライフ生命 同 1,973人 同 618人 同 752人
第一生命は約4万5000人の営業職員を抱え、これまで年7000人程度の営業職員を採用してきましたが、採用の頻度を毎月から四半期に1度に見直すほか、現場に採用数の数値目標を課す手法を改めて採用数を減らすそうです。
採用時点で人材を厳選し、顧客を自ら開拓できる職員の育成を目指すとともに、営業職員とは別に、大卒採用で企業向け営業の担当者の採用数も2割程度減らす考えを示しました。
第一生命は20年10月、80代の元営業職員による約19億円の金銭詐取事件が発覚。12月には、再発防止策として営業職員の採用の厳格化や教育制度の見直しに言及しており、新しい採用計画はこの再発防止策の一環でもあるとしています。
生保各社は新型コロナ禍で、これまで強みとしてきた対面営業が難しくなり、営業の生産性が低下しています。
明治安田生命保険は22年度から営業職員の給与を固定給に切り替える制度改革を予定しているなど、営業職員の採用や給与の見直しは業界全体の懸案になっていると報じていました。
コロナ禍で「人に会いたいけど会えない」という事態が続いており、そのまま続くと想定されます。「人と人」で伸びてきた生保業界も大きく変わる節目を迎えていますね。