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損害保険は種目ごとの損害率で種目ごとの引受け等が変わる

  • 2020/06/15
  • Dr.ウエノの保険コラム
相変わらず損害保険の相見積もり依頼がたくさん来ますが、「この商品だとこの保険会社が保険料に競争力があるとか、対応が良い」とかといった見識が、長い経験値であるので対応できています。これってなかなか真似しようにも出来ないので、基本負けることはありません。

損害保険は種目ごとに何で保険料が組み立てられているかが違いますので、根っこを知っていれば、「そもそも、そのリスクがあるのかないのか」、「そのリスクを排除するためにこうした対策を講じてもらえるのか」、「万が一の際にすべてを保険金で賄う必要があるのか」等々を考えていけば、容易に保険料を下げることができるのです。

「複数の建物を所有しているが、一度に燃えることはないので、まとめて火災保険を加入できないのか」という問い合わせも多いですが、「今さらこんな照会か」というのが正直な感想です。都内に10物件のビルを所有していて、それぞれに20億円の火災保険を加入するとなると、10物件で200億円の保険金額になります。当然、保険料は相当な金額になりますが、「一度に燃えないのだから10物件まとめて20億円で良いのではないか」との照会がある訳ですが、こんなことは大昔からマルチロケーション方式の火災保険で対応できます。ただ、引受てくれる保険会社が限定されると思いますので、それを探して紹介してあげれば事は終わりと簡単です。先般のブログで地震拡担の件を書きましたが、日本の保険会社が逆立ちしても出ない地震拡担特約保険料を社内引受申請後1週間で算出できる某外資系損保会社を紹介してあげ、案の定、大手日本社の半分以下の保険料となりました。

種目ごとに保険会社で強いところ、弱いところがありますので、その組み合わせを自在にできれば相見積もりに負けることはありません。だからと言って、特定の保険種目を特定の保険会社に振り続けて、万が一事故でも発生すれば、当該保険会社の種目ごとの収益を悪化させることになります。そうすると、今まで通っていた保険会社の当該商品の引き受け自体がシャットアウトされることにもなりかねませんので、ここらあたりも保険会社との駆け引きになります。

先般も保証保険の照会があり、保険会社を紹介してあげました。保証保険は「ボンド」と言われる商品で、名の通り、接着剤のようにつなぐ保険種目になります。一番有名なのは「取引信用保証保険」でしょうか。これは「売掛金」に対する保険になります。某会社が取引している500社のうち下位100社は取引実績も浅く万が一倒産でもされたら売掛金が回収できないとして売掛金を保証する保険に加入するといった感じの商品になります。某石油会社が某航空会社に燃料を供給しているが倒産したら売掛金が回収できなくなるので某航空会社1社を対象に取引信用保証保険に加入していたという話は有名ですよね。ちなみに取引信用保証保険は便利な保険で、売上トップの会社限定とか、上位50社とか、中堅100社とか、下位100社とかのように自由にチョイスすることができます。しかも、保険引受けにあたり保険会社が企業の信用調査を無料でしてくれますので一石二鳥です。

で、新規で保証保険の照会を保険会社に繋いであげたら、今は「新型コロナで売掛金の保証保険で保険金支払いになるケースが増えていて、新規保険料を出せるかどうか自信がない」という回答がありました。

損保って、こんなところが面白いと思いませんか。