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実効性の伴う顧客本位の業務運営が強く求められています

  • 2021/05/06
  • Dr.ウエノの保険コラム
銀行や証券、保険などの金融機関が『顧客を第一に考えた業務を行っているかどうか』、金融庁が各社の取り組み状況を報告するよう求めています。

金融庁は、国民の安定的な資産形成の実現に向け、2017年3月30日に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表しました。また、金融事業者の顧客本位の業務運営への取組みを見える化し、より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムを実現する観点から、同原則を採択し、取組方針等を公表している金融事業者をリストとしてとりまとめ、金融庁ウェブサイトで公表してきました。いわゆる「FD宣言」ですが、2020年12月末時点で、同原則を採択し取組方針を公表した金融事業者は保険代理店を含め2,098社にのぼっています。
 
そうした中、今年に入り、2021年1月15日には、「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書-顧客本位の業務運営の進展に向けて-」(2020年8月5日公表)を踏まえ、「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下、「本原則」)が改訂されました。

本原則を採択する金融事業者は、「取組方針に原則2~7に示されている内容毎に実施する場合にはその対応方針を、実施しない場合にはその理由や代替策を、分かりやすい表現で盛り込むとともに、これに対応した形で取組状況を明確に示す」ことが求められています。
また、同報告書では、「金融庁」に対しては、「本原則の採択事業者のリストを公表する際には、各金融事業者の取組方針やこれに係る取組状況を項目毎に比較できるようにすることが適当である」とされたほか、「金融事業者による好事例と不芳事例を比較分析し、ホームページなどを積極的に活用して、顧客にとって分かりやすい情報発信を行うことが求められる」とされています。
 
これを踏まえ、金融庁は、以下の方策を取ることが発表されました。(文章転載)
1.金融庁への報告
金融庁は、金融事業者に対し、原則2~7に示されている内容毎に、取組方針等における記載内容との対応関係について、報告を求めます。
2021年6月末までに、本原則を採択し、対応関係を示した取組方針を公表した金融事業者のうち、金融事業者リストへの掲載を希望する事業者は、所定報告様式に必要事項を記載し、2021年6月30日(水)17:00までに、総合政策局リスク分析総括課のメールアドレス
にご提出ください。なお、本報告は、今後も随時、受け付けてまいります。

2.金融庁による金融事業者リストの公表
 金融庁は、金融事業者から提出された報告内容について確認等を行い、原則2~7に示されている内容毎に、対応した形で取組方針等を明確に示している金融事業者を、順次金融事業者リストに掲載していきます。併せて、共通KPIの実績についても報告を求め、金融事業者リストに掲載することとします。

3.「顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」の公表
 金融庁は、今後、金融事業者の取組方針等の記載内容について、好事例の比較分析を行い、顧客にとって分かりやすい情報発信をしてまいります。 

以上の様に発表されました。

リスト化してホームページなどで公表することで顧客本位の業務運営を根づかせるのがねらいです。
金融庁は4年前、銀行や証券、保険などの幅広い金融機関を対象に「顧客本位の業務運営に関する原則」を作り、この中で、金融機関が顧客から手数料を得ることを優先して金融商品を販売しているといった批判が根強いことも踏まえ、顧客の利益の追求や、手数料の明確化、それに、分かりやすい情報提供などを盛り込んでいました。
この原則に沿って業務を行うとしている金融機関は2000社余りに増えていますが、金融庁は、今月、各社の取り組み状況を報告するよう求めました。

実効性を高めて顧客本位の業務運営を根づかせるのがねらいで、金融庁は、社名や報告内容をリスト化したうえで、ホームページなどで公表し、特に評価できる取り組みも併せて示すということです。

生命保険協会で議論されている「代理店業務品質」についても形が整いつつあり、これを実施できれば「ベストプラクティス」が実現できる明確な指標になります。

いよいよ本格的に「顧客本位の業務運営」の実効性が求められています。できない代理店は確実に消滅します。気合入れて取り組んで行きましょう。