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リバウンド消費

  • 2021/10/25
  • Dr.ウエノの保険コラム
緊急事態宣言の全面解除で、にわかに「リベンジ消費」に対する期待が高まっています。平たく言えば「今年度前半ずっと我慢した分、緊急事態宣言明けはパーっとやりたい」という消費がこの秋、増えるのではないかという期待です。
テレビでも「リベンジ消費」を取り上げ、高級時計が売れているなどを報じていますが、実態はどうなのでしょうか。

毎年、年末年始はハワイで過ごして、だいたい200万~300万円使ってしまうという富裕層が「この冬を含めてもう2年も我慢しているよ」という話をよく耳にします。
この層の特徴ですが、コロナ禍で経済的なダメージを受けていないという点が重要です。
コロナ以前の日経平均がだいたい2万4000円ぐらい。コロナ後に外国人投資家が日本株を買いあさったこともあって最近の日経平均が2万8000円ぐらい。中国の恒大グループの経営危機や、アメリカのFRBの金利引き上げなどの影響があって先行きの若干の不安はあれど、富裕層は総じてコロナ禍の1年半で資産は増えています。従って既にこの層は動いていて京都や箱根といった観光地で高級ホテルや旅館の10月以降の予約が取りにくくなっているという話がありますし、百貨店で普段それほど回転しない特別な品物が売れていくといったシーンもよく見られているそうです。

保険でも社員旅行で福利厚生費が使えなかったとか経営層の研修旅行、接待等もなくなり交通費や交際費等々を使う機会がなくてお金が余っているので、年末を迎えて損金処理できる保険はないかと問い合わせが急増していると代理店さんから聞いています。コロナ禍で全く想定できない未曾有のことが起こりうるということで損害保険の幅広い提案をすると採用される確率が以前より高くなっているとも聞きますので、サイバー保険や個人情報漏洩保険等はこの機会に必ず提案しておいて下さいね。特約を外して保険料を安くして戦うという消耗戦は今は必要ないと思いますよ。

では、庶民のリベンジ消費も日本経済を引き上げるのかというと、ここは少し事情がことなります。コロナ禍の巣ごもり期間に支出が減ったのは富裕層と同じですが、庶民の場合、残業代がなくなったとか、勤務のシフト時間が減ったといった理由でコロナの期間、収入も減っています。総務省が発表する家計調査で勤労者世帯の2021年4~6月期の実収入が一年前と比べてどうなったかというと、約3万7000円/月の減少です。一方で家計の消費支出は、約1万7000円/月増えています。日用品の相次ぐ値上げもあり、実入りが減ったのに支出は増えているのが庶民の平均像というわけですから、リベンジ消費に使えるような「未利用予算」があるわけではない。ここが大きな違いです。とは言え、動けなかった不満は皆さんお持ちですので、昨年のGo Toトラベルのような一大国内旅行ブームで庶民のリベンジ消費を喚起することは容易にできます。一昔前のクリスマスイブには高級ホテルがカップルで満室といったことも起こるかもしれませんね。

使える金額に差異があるとしても富裕者層も庶民も「財布の紐が緩くなっている」という現実は間違いなくあります。リベンジ消費の少しでも保険で吸収できるような工夫をしていきましょうね。