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保険会社に対する金融庁の監督指針が一部変更になりました

  • 2022/01/04
  • Dr.ウエノの保険コラム
金融庁は生命保険の販売時に年金や健康保険といった公的保険制度について顧客に適切に情報提供するよう生保会社に求めるため、2021年12月28日に「生保の営業手法に関する監督指針を改正」しました。具体的には金融庁のホームページにアクセスして12月28日にアップされた「保険会社向けの総合的な監督指針等の一部改正について」をチェックして下さい。役所の御用納めの日にアップされ、当日から一部改正された監督指針は適用スタートとなりました。

本改正は、生保各社へのモニタリングも強化し、問題があれば是正を求める。顧客の不安心理をあおって加入させる「過剰契約」を防ぐ狙いだとされていますが、「本来は国が説明すべきだ」との声も根強く波紋を呼んでいるとも報じられていました。

今回の改正で金融庁は保険会社向けの監督指針に新たに「公的年金の受け取り試算額などの公的保険制度についての情報提供を適切に行う」といった規定を盛り込みました。顧客が自身の将来のリスクや民間保険の必要性を適切に理解した上で加入の要否を判断できるようにするためで、これまで指針に公的保障の説明を求める規定はありませんでした。

さらに指針は、民間保険を「公的保険を補完する」と位置づけました。保険の募集人自身が公的保障の仕組みを十分に理解しておくことが必要だとし、保険会社に「適切な理解を確保するための十分な教育」も求めました。ここがポイントですので、良く理解して保険代理店は直ちに対処する必要があります。

少子高齢化が進み、公的年金の受給開始年齢が引き上げられるのに伴い、定年退職後の生活資金に不安を感じる人は多く、このため生保業界は貯蓄性の保険や医療保険といった民間保険の販売を充実させています。
こうした背景を使って契約しやすい特定の相手から多数の契約を獲得する生保営業が問題視されていて、つい最近も大樹生命保険の元営業社員が一家族に対し19年間で累計46件の契約を結んだケースが発覚しました。また、かんぽ生命保険で明るみになった不正販売でも高齢者が狙われました。
そこで、金融庁は特に「あおり営業」に疑念の目を向け、「将来は年金がどうなるかわからない」と不安をあおる一方、がんになった場合に負担を軽減できる公的な高額療養費制度があることを説明しなかったり、限られた情報しか提供しなかったりといった営業手法を問題視し今回の改正に至ったとされています。

今後は、保険会社や募集人は公的保障の仕組みを正確に理解した上で、顧客のライフプラン、公的年金の受け取り試算額、必要となる保険の中身を丁寧に説明することが求められます。

金融庁は実態把握に向けたモニタリングも強化し、説明が不十分な場合は是正を促す方針だとされています。
保険代理店も直ちに募集人の教育、代理店募集マニュアルの改正等に着手する必要があります。
生保協会による代理店業務品質項目の統一と併せて、1~3月までに取り組みましょう。