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コロナ保険で保険の社会的使命を再認識

  • 2022/02/07
  • Dr.ウエノの保険コラム
新型コロナウイルスの感染第6波の到来で、コロナ保険への加入が急増していることが報じられました。

「フリーランスのお守り」。第6波が本格化した1月以降、SNSではこのコロナ保険に入ったことを報告する投稿が増えたそうです。
この保険は、損保ジャパン社がスマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」のアプリ内で2021年12月に始めたものですがSNSの投稿で拡散しているそうです。3カ月分の保険料は500円からと割安で、医師に陽性と診断されれば5万円の保険金を受け取れるという商品になり、加入は2ヶ月で20万件を超えたそうです。
しかし、オミクロン株感染拡大は全国規模でこれほど広がるとは想定していなかったと思いますので、如何に保険は世のため人のためにあるとは言え、保険金支払いが増えると経営としては厳しいところはありますよね。しかも、損保ジャパン社は保険料1%分をユーザー還元までしています。ところが、ペイペイで販売する自転車保険や賠償責任保険も伸びているそうで、他の商品との「クロスセル」(損保業界の方はこのワードがお好きですよね)でコストを管理する手法を取っているそうです。コロナ保険をフックに保険に関心を持ってもらい他の保険商品にも加入してもらえることができれば、何と言ってもペイペイの利用者数は4500万人ですので、広告宣伝費と考えれば安いことかもしれませんね。

スタートアップ企業のジャストインケース社が販売するコロナ保険もクロスセルを想定しているそうです。通常の保険は、感染したかもしれないと感じてから保険に入ることがないように加入から10日~2週間は補償を提供しませんが、同社の保険はこの免責期間を設けていません。畑加寿也社長は「リスクは承知だが、すぐ補償が始まる方がわかりやすい。併売できると考えれば顧客獲得コストの点でおかしくない」とコメントされているそうです。

コロナ保険は、過去には感染拡大の局面で売り止めを経験した例もあります。第一生命グループが立ち上げた第一スマート少額短期保険は、感染状況に応じて価格を変動させていましたが、2021年9月に想定以上に感染が広がり販売を一時停止し保険料を大幅にアップさせて再開しました。
また、営業職員を通して募集する大樹生命保険は今月から販売を停止することが報じられました。この商品は、感染症を対象にした医療保険「おまもリーフ」で、毎月の保険料は男性が370円、女性は340円で、新型コロナに感染して入院すると一時金として一律10万円を支給するというものでした。

コロナ保険は保険会社が社会に貢献する役割を再認識するきっかけになったことは確かです。各社が社会課題の解決につなげる機会と捉えて多様な商品を提供すれば、消費者の保険への関心は確実に高まると考えます。もともとの保険の概念である「相互扶助」を理解するにはコロナ保険は身近な材料かもしれませんね。

保険会社の存在価値は如何に社会の不安をカバーできるかにあります。この大義をコロナ保険を軸に示して欲しいものです。