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アバターに傷害保険を加入できる日が近づいている?

  • 2022/08/02
  • Dr.ウエノの保険コラム
ジェーシービー(JCB)は10月から法人向けのクレジットカードにサイバー保険を無償で付帯させることが報じられました。

主にサイバー攻撃対策が進んでいない中小企業やスタートアップ向けを想定し、すでに発行済みの法人カードには自動で機能を付けるそうです。法人カードを導入する企業には、日頃のサイバー攻撃対策やウイルス感染の初期対応について、サイバーセキュリティーの専門家が無料で助言し、専門事業者も紹介するとしています。

クレジットカードには海外旅行傷害保険が付帯されていることは良く知られていますが、「法人カードにサイバー保険付帯」はなかなか斬新ですね。保険料はJCB負担で東京海上社が引き受けるそうです。

政府は企業にサイバーセキュリティー対策強化を注意喚起していますが、日本損害保険協会によると、中小企業のサイバー保険の加入率は2021年で1割未満と対策が進んでいない実態があります。さすがに法人カードはどこの中小企業でも使っていますから、ここにサイバー保険が付帯されると面白いですね。サイバーセキュリティー対策についての無料相談が活用されることでサイバー対策強化につながると思います。カードのランクによって補修額は変わるそうですが、今「旬」なサイバー保険の新しい活用方法かと思います。

また、三井住友海上社が非代替性トークン(NFT)のアート作品向けの専用保険を開発したことも報じられていました。第1弾としてNFTの流通市場を手がけるHARTi(ハーティ、東京・千代田)に提供を始めたそうです。

不正アクセスによる作品の盗難に際し、出品者に保険金を払うという商品で、同様の保険が普及すれば、NFTアートの市場拡大にも弾みがつく可能性があると報じていました。NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を使うことで、デジタルデータを偽造不可能な鑑定書・所有証明書付きにしたデジタル資産を指しますが、補償額は出品価格を参考に作品ごとに決め、数万円程度を軸に最大50万円まで設定できるそうです。保険料はハーティが負担します。

損害保険は「モノ保険」で、「モノ」があれば保険を付けることができます。最近ではドローン保険や空飛ぶクルマの保険とか月探査機の保険等が話題ではありますが、「モノ」の解釈がデジタル出現で大きく変わろうとしています。
「モノ」の考え方が変われば、損害保険の領域はどこまでも広がっていけると思います。
自動運転の進化で損害保険会社の主力商品である自動車保険は6割がなくなると言われていて、損害保険業界の未来は読めないという声が多いですが、デジタル世界に現れる色々な「モノ」を保険対象にできれば無限に広がるのではないかと思います。

そのうち、アバターに傷害保険を付けたりする時代が来るのでしょうね。