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通販型自動車保険

  • 2022/08/08
  • Dr.ウエノの保険コラム
国内自動車保険市場で、インターネットなどを利用して契約するダイレクト型(通販型)損害保険会社のシェアが拡大していると報じられていましたが、皆さん、そう思われますか。

積極的な広告展開で認知度が向上、安い保険料と契約の手軽さが受け入れられている一方、事故対応などへの漠然とした不安もあって、対面型の大手損保の牙城を崩すまでには至っていない状況が相変わらず続いていると思います。

SBI損保社は、安い保険料だけでは壁を突破できないと考え、テレビCMとサッカー支援に力を入れ、SBI損保の社名を露出する機会を増やすことで認知度を高め、安心感と信頼感を醸成する戦術に出ているそうです。通販型自動車保険は、補償の選びやすさ、見積もりの取りやすさ、ウェブサイトの見やすさを如何にアピールして新たな顧客を呼び込むかですが、残念ながら、ここ20年くらい同じ壁にぶつかっている感じがしています。

ダイレクト型で自動車保険売り上げ(元受正味保険料)1位のソニー損保社は「ダイレクト型は安いが何となく不安という先入観を払拭することでシェアを拡大できる」と言い切り、24時間365日の事故受け付けはもちろん、専任担当者が最後までサポートすることなどで事故対応満足度の高さを訴え、商品では、走った距離に応じて保険料が変わる合理性を相変わらず売りにしていますが、何となく考え方が間違っていると思います。

同じ戦術を20年近くしていて、現状シェアしかとれないのは、やはり「募集網」にある訳で、車を販売、車検でつながりのある自動車整備工場やカーディーラーという強力な募集網を持つ損保会社に勝てるわけはないですよね。事故をして納車する先で自動車保険に加入しておけば何の手間もいりません。しかも、商品性を高めるといってもニーズの顕在化している自動車保険ですので、差別化しようがないですよね。

しかも、自動車保険は一定率で確実に「事故」があり、保険金支払いが発生するので、劇的に保険料を下げることもできません。精々、損保社が扱い代理店に支払っている手数料部分を安くする程度にすぎませんので、逆に広告宣伝費をかけていますので、損保会社の半額みたいなことも出来ない訳です。

この点、損保社は考えていて、東京海上のイーデザイン損保社など子会社を作って通販型に流れる自動車保険を吸い上げていますので、単に損保社からすると「通販型も募集チャネルの一つ」くらいにしかとらえていないと思います。
しかも、自動運転レベル5登場で自動車保険の6割がなくなると言われている訳ですから、自動車保険から火災保険等に商品シフトしないと通販型保険会社は生き残っていけませんよね。

通販型自動車保険は火災保険、傷害保険、賠償責任保険等々の自動車保険以外でこそ伸びしろがあると思いますが、如何でしょうか。あるいは保険代理店で一物二価で扱わせるかのどちらかでないと、これ以上のシェア拡大はないと思いますね。