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AIで保険引き受けの判断をするというニュースが相次いでいますが

  • 2021/08/23
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ
損保ジャパン社は、企業向け保険の契約を結ぶ際の判断を無人化することが報じられました。
イスラエルのスタートアップ企業であるプランク社と提携し、同社の人工知能(AI)を活用、ネット上の膨大な公開情報を収集し、引き受けの可否や保険料の算出に役立てるとしています。最終的に9割を無人化し、最大で年150億円のコスト削減につなげるそうです。
 
日本でもIT(情報技術)を保険の高度化に役立てる「インシュアテック」の導入が本格化してきた感じですね。

中小企業経営者の保険に特化するエヌエヌ生命保険も2022年内に保険に加入させるかどうかの判断の無人対応を実現することが報じられました。
機械学習システムを手がける米データロボット社と提携し、同社の人工知能(AI)を活用するもので、導入から3年をめどに保険契約の3割で無人化し、経費を年間約3000万円抑えるとしています。

こうした保険の引き受けには各社ごとに引き受けマニュアルがあって、それを遵守しながら判断していますので、AIを使って判断することはできると思いますが、こんな流れを見ていると少し心配になります。

アプリも浸透していて、「アプリに指示」されたら薬を飲み、運動をして、健康的な食事をしている人も見かけますが、如何なものかと思っています。利用者がアプリの指示に「従順」に従い、自らのデータも共有すれば保険料も安くなるというものも登場していますが、健康とは人間の幸福や繁栄のためではなく、目標を設定してコスト重視を追求するものになっていて良いのでしょうか。不動産担保を取れないと融資をしない、審査基準をもとに過去に不適な事由があればお金は貸さないといった金融機関なんて不要と言われていますが、データ等ではなく、元来の「人」を判断材料の基盤にしないといけないと思っています。「お客様に寄り添う営業」が求められている中、違和感を感じざるを得ません。

先般、いわき信用組合さんのセミナーを拝聴する機会がありました。「一律ではない課題解決型の提案営業」と題したセミナーで、「すべての人を対象とする金融」に取り組んでいらっしゃって感動しました。何と多重債務者の債務を一本化して引き受ける「おまとめローン」を取り組んでおられました。「貸せない」を前提にしなくて「融資をさせていただく条件で相談にのる」というスタイルで、必ずお客様と「直接会って」発面談で平均2時間~2時間30分、再建のために丁寧にじっくり対話をされているそうで、最初の動機付けをしっかりやることでデフォルト率は1%程度ということでした。シングルマザーへの融資もされていて、「子どものためにとの思いで生きている母親は規律を守れる方である」という判断で融資実行されていて過去返済できなかった人は一人もなく、むしろ繰上償還される方が多いとお聞きして参加者の多くが感動していました。

お客様との対話を如何に職員に浸透させているのかの質問に対しては「一つ一つの案件がOJT」で、とにかくネガティブ情報は確認はしても判断材料とはせず、あくまで直接会って何度も会話をする中で人としての判断をして、すべての方に対し、融資をするために何ができるかを考え、対応しているという話をされました。

やはり「人」がベースだと思います。何でもAIで素早く判断の流れについては如何なものかと思っています。