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保険代理店業はサービス業

  • 2020/06/29
  • Dr.ウエノの保険コラム

日刊工業新聞に「コロナ禍の保険対応」といった記事が掲載されていたので、転載します。

【Q】損保会社が企業向けに提供している新型コロナウイルス関連の保険商品を教えてください。
【A】主に従業員の労働災害を補償する保険、休業による損害を補償する商品を取り扱っています。ただ、保険始期日や業種、特約を付帯しているかなどの条件次第で変わるため、確認が必要です。

【Q】保険金支払いの対象となるケースを教えてください。
【A】休業による損害を補償する保険を例に説明します。従業員が新型コロナに罹患(りかん)した場合、保健所などの指示に従い、事業所や施設を消毒する必要があります。これに伴う休業や費用負担による損失が対象に含まれます。

【Q】その場合、受け取れる保険金はどの程度ですか。
【A】大手損保の場合、大きく2種類に分かれます。一つは一時金として20万円が支払われる種類。これは消毒費用などの平均値を基に算出しています。もう一つは事前の契約で定めた上限において実損額を支払う種類です。ケース・バイ・ケースですが、保険金請求書を提出して不備などがなければ、1週間程度で保険金を受け取ることも可能です。

【Q】緊急事態宣言が発令される前に事故が起きました。時期によって対象から漏れることはありますか。
【A】大手損保は新型コロナを補償対象とするための商品改定を実施しました。これに伴い、新型コロナが「指定感染症」に指定された2月1日に遡及(そきゅう)して支払うことができます。追加の保険料負担も不要です。

【Q】緊急事態宣言の発令に伴う休業要請に応じて営業を自粛しました。その間は補償対象になりますか。
【A】行政などの休業要請に自主的に応じた場合、支払い要件に合致しないため、補償対象外となります。イベントの中止によって生じた損害を補償する保険に興行中止保険がありますが、「感染症」を理由とする場合は免責事項に該当するため補償されません。

【Q】新型コロナをはじめとする感染症リスクに備えるべき商品はありますか。
【A】感染症リスクは民間の損保会社にとっても危険度やリスク量の算定が難しく、原則補償対象外の商品が多いです。今回、商品改定された保険に加入するのが一種のリスクヘッジになり得るかもしれません。

コロナ禍の中、こうした保険情報はお客様に喜ばれられます。コロナ禍での保険対応が如何にできるか等はお客様の関心が高いところですので、常に情報発信していくように心がけて下さい。

「保険代理店業はサービス業」です。
この根っこを理解してお客様のために常に何ができるか、お客様が何を欲しられているか、何を喜んでいただけるかというお客様目線で考えれば、このようなことは自然に思い浮かびます。

まずは取り組んでみて、お客様の反応を確かめてみましょう。

保険ショップはファイナンシャルショップにいよいよ業態変化を

  • 2020/06/29
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

オンライン保険相談が活況を呈しています。
なぜ、オンラインで保険相談する方がこんなにもいらっしゃるのか?
それは、保険ショップの功績だと考えています。

保険ショップが世に出て17年近く(一般社団法人保険健全化推進機構結心会が出来て丸12年、その前にアドバンスクリエイト社に4年いたので、その合計に1年加算して計算してありますが、実体験に基づく正しい数値だと思います)にもなります。
改めて振り返るとびっくりするくらい長い年月になりますね。

この間、多くの方々が保険ショップを利用されました。名を告げることなく「保険について聞きたいことがあるから」と来店されたお客様にも丁寧に質問に答えさせていただいて来ました。その長年の蓄積が、確実に「保険のリテラシー」を上げてきたと考えています。保険のリテラシーが身についたお客様だからこそ、自主的に保険について学習もされた上で、わからないことをオンライン保険相談で聞いてみたいという行動につながっていると考えています。

では、保険ショップが進むべき次のステップは何か?
それは、保険ショップの「ファイナンシャルショップへの業態変化」だと考えています。
その背景は、「金融サービス仲介業」なる新業態が来年スタートすることです。銀行、証券、保険が一体で出来る新業態が参入する前に、「保険ショップで金融全般リテラシー向上ができる体制」を構築すべきだと考えています。

既に、住宅ローンの借り換えや証券仲介業を兼業されている保険代理店は多いですが、もっと手前で結構ですので、専門業者と提携して保険ショップで金融全般について何でも相談できるように打ち出すことが必要と考えています。

金融全般がワンショップで相談できればお客様の利便性は確実に高まります。
「お客様のために何ができるか」、「お客様に喜んでいただくためには何ができるか」を常に考え続けてきたために現在の立ち位置を獲得した保険ショップの次の「お客様のためにできる何かは金融全般の相談窓口になること」だと考えています。

そのための一助にと考え作ったのが「結心会Financial」というサイトです。まだまだ不完全ですが、皆様と一緒に育てていきたいと考えています。金融全般のリテラシー向上に向け、最初の半歩を踏み出したい方は是非「ユーザー登録」して下さい。保険代理店の方は社長だけが登録するのではなく、保険募集人にも指示していただき登録してもらって下さい。
まずは、ユーザー登録1000名を目指しています。宜しくお願い申し上げます。

テレワーク保険

  • 2020/06/22
  • Dr.ウエノの保険コラム

損保ジャパンが企業のテレワーク導入で想定されるリスクを補償する特約を7月に販売することが報じられました。
 
情報漏えいやハラスメントによる会社の損害賠償責任などを包括的に補償するもので、コロナ禍でオフィス以外の多様な働き方が推進される中、主に事務系業種に需要があるとみられています。そこで、事業活動を取り巻く幅広いリスクを補償する中小企業向け主力商品に特約「テレワーク・マスター」を加えることで、システム障害による休業損失も補償します。外部からのサイバー攻撃以外にも、バージョンアップなどに失敗して営業不能になった場合も対象になり、保険料は売上高1億円の小売業の場合、ワイドプランで約30万円を想定しているとのことです。
 
日本損害保険協会の調査によると、中小企業の約2割がサイバー攻撃の被害経験があり、1000万円超の金銭的被害も発生しています。
損保業界では、「テレワーク総合補償プラン」を5月に三井住友海上社とあいおいニッセイ同和損保社が、6月に東京海上社が販売を始めており、メガ損保全社が揃った形になります。

折角の機会ですので、具体的にどんな保険かを見ていきましょう。
まずは、改めて「テレワークに潜む脅威とは何か」を考えてみましょう。
一つは「労務リスク」です。テレワークは管理者による労働時間の管理が難しく、長時間労働になりやすいという側面があります。普段と異なる環境で業務をすることによりストレスが増大し、精神疾患の増加にも関連するといわれています。また、WEB会議システムの活用により、1対1でのミーティングなど管理者や他の従業員から見えないやり取りが増加し、プライバシー侵害や「リモートハラスメント」が起こる可能性があるとされています。
ハラスメントや不当解雇等の不当行為に起因して事業者が従業員等から訴えられたときに弁護士等への相談費用や損害賠償金を補償する雇用慣行賠償責任補償特約もあります。

二つ目は「サイバーリスク」です。テレワークへの移行が急速に進む中、セキュリティ対策の不備を狙ったサイバー攻撃による情報漏洩リスクが高まっており、パソコンのマルウェア感染、ネットワーク・通信の盗聴などによる情報漏洩が想定されます。情報漏洩リスクはサイバー空間だけの出来事でなく、会社パソコンを持ち出した際の盗難・紛失、会社と家以外の環境で仕事をした際の盗み見による情報漏洩が想定されます。

三つ目は「財物損害リスク」です。テレワークへの移行により、業務用パソコンやタブレット等を従業員の自宅等に持ち出した際に、従業員が自宅で誤って破損することや従業員の自宅が空き巣に入られて業務用パソコンやタブレット等を盗難されることも想定されます。

こうしたテレワークに潜む脅威に備えるための保険は不可欠ですよね。
旬な時に旬な保険を案内することは保険代理店としての使命です。
きちんと提案することでリスクマネージメントとしての保険代理店の存在感を示していきましょう。

関東財務局から昨秋から今年にかけてヒヤリングした公評が発表されました

  • 2020/06/22
  • ネクタイ派手夫の保険流通革命メルマガ

関東財務局が昨秋から今年にかけて61の代理店にヒヤリングしましたが、この公評が漸く発表されました。

題して『保険代理店との対話を通じて「見て、聞いて、感じた」こと』。
テーマからして今までとは違う内容だとわかりますね。

その想像通りの内容でしたので、いくつかご紹介します。
今回のヒヤリングについては「保険代理店との新たな対話の在り方を考える」としてこんなコメントが掲載されていました。
「関東財務局においては、これまで、保険業法等に基づき保険代理店を監督・検査する立場にありながら、保険募集の現場に出向き、直接、保険募集人(保険代理店)と対話する機会は、法令等に基づく立入検査を除いてなかった。このような、お互いの顔が見えない関係、お互いの声が聞こえない距離では、十分な意思疎通や認識の一致が図れないのではないかと考えたことから、今回、保険代理店との間において、新たな対話の機会を創り、保険代理店における保険募集の実態や体制整備の状況等に関する対話を通じて、相互理解を深めることとした。」

ヒヤリングに入る姿勢からして今回は違っていて、代理店と対話する姿勢が良く出ていて良いですね。

今回のヒヤリングのポイントも紹介されていました。
体制整備義務の履行状況
保険代理店における教育・管理・指導の状況について
体制整備義務の実効性
保険代理店における点検・監査の実施状況及びその実効性を検証
・保険代理店から見た、保険会社による保険代理店監査の実態等
・無登録募集や無届募集発生防止に向けた保険募集人管理の状況
顧客本位の業務運営
保険代理店における「顧客本位の業務運営」の取組状況について
・令和元年台風15・19号に伴う被害を踏まえた顧客対応など

関東財務局は、最近、アフターフォローをどうしているかを必ず聞いて来ますね。
ちなみに知り合いの代理店では、店舗を閉めて、現地にボランティアで行っていた代理店もありました。こうした行為こそ、顧客本位の業務運営と言っても良いと思われませんか。

最後に、今回の公評の最大のポイントをご案内します。
それは『法令等に基づく保険募集のルールの本質をしっかりと理解すること』です。
「本質」とは、『顧客のために保険募集を実現するために、改正保険業法に基づくルールを遵守するうえで、常に「お客様のために出来ること、必要なことは何なのか」などという顧客本位の視点を持つことを言う』とまで定義されています。

『ルールの本質をしっかりと理解することが重要で、ルールの本質を、しつかりと理解していれば、時間の経過に伴う状況等の変化にも柔軟かつ的確に対応できるもの。
また、ルールの本質を、しっかりと理解していなければ、それぞれの立場によって異なる解釈や考え方が生じ、それぞれの対応に差異が生じることとなる。
さらに、ルールの本質を、しっかりと理解しているからこそ、それぞれの規模や特性に応じた適切な体制整備が可能となるものと考えられる。』と明記されていました。
ここは覚えておくべきところですね。

このブログを印刷してノートに貼って常に見るようにして下さい。
「お客様のために出来ること、必要なことは何なのか」は結心会で常に取り組んでいることです。

損害保険は種目ごとの損害率で種目ごとの引受け等が変わる

  • 2020/06/15
  • Dr.ウエノの保険コラム

相変わらず損害保険の相見積もり依頼がたくさん来ますが、「この商品だとこの保険会社が保険料に競争力があるとか、対応が良い」とかといった見識が、長い経験値であるので対応できています。これってなかなか真似しようにも出来ないので、基本負けることはありません。

損害保険は種目ごとに何で保険料が組み立てられているかが違いますので、根っこを知っていれば、「そもそも、そのリスクがあるのかないのか」、「そのリスクを排除するためにこうした対策を講じてもらえるのか」、「万が一の際にすべてを保険金で賄う必要があるのか」等々を考えていけば、容易に保険料を下げることができるのです。

「複数の建物を所有しているが、一度に燃えることはないので、まとめて火災保険を加入できないのか」という問い合わせも多いですが、「今さらこんな照会か」というのが正直な感想です。都内に10物件のビルを所有していて、それぞれに20億円の火災保険を加入するとなると、10物件で200億円の保険金額になります。当然、保険料は相当な金額になりますが、「一度に燃えないのだから10物件まとめて20億円で良いのではないか」との照会がある訳ですが、こんなことは大昔からマルチロケーション方式の火災保険で対応できます。ただ、引受てくれる保険会社が限定されると思いますので、それを探して紹介してあげれば事は終わりと簡単です。先般のブログで地震拡担の件を書きましたが、日本の保険会社が逆立ちしても出ない地震拡担特約保険料を社内引受申請後1週間で算出できる某外資系損保会社を紹介してあげ、案の定、大手日本社の半分以下の保険料となりました。

種目ごとに保険会社で強いところ、弱いところがありますので、その組み合わせを自在にできれば相見積もりに負けることはありません。だからと言って、特定の保険種目を特定の保険会社に振り続けて、万が一事故でも発生すれば、当該保険会社の種目ごとの収益を悪化させることになります。そうすると、今まで通っていた保険会社の当該商品の引き受け自体がシャットアウトされることにもなりかねませんので、ここらあたりも保険会社との駆け引きになります。

先般も保証保険の照会があり、保険会社を紹介してあげました。保証保険は「ボンド」と言われる商品で、名の通り、接着剤のようにつなぐ保険種目になります。一番有名なのは「取引信用保証保険」でしょうか。これは「売掛金」に対する保険になります。某会社が取引している500社のうち下位100社は取引実績も浅く万が一倒産でもされたら売掛金が回収できないとして売掛金を保証する保険に加入するといった感じの商品になります。某石油会社が某航空会社に燃料を供給しているが倒産したら売掛金が回収できなくなるので某航空会社1社を対象に取引信用保証保険に加入していたという話は有名ですよね。ちなみに取引信用保証保険は便利な保険で、売上トップの会社限定とか、上位50社とか、中堅100社とか、下位100社とかのように自由にチョイスすることができます。しかも、保険引受けにあたり保険会社が企業の信用調査を無料でしてくれますので一石二鳥です。

で、新規で保証保険の照会を保険会社に繋いであげたら、今は「新型コロナで売掛金の保証保険で保険金支払いになるケースが増えていて、新規保険料を出せるかどうか自信がない」という回答がありました。

損保って、こんなところが面白いと思いませんか。