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自動車メーカー相次ぎAIを活用して交通事故の減少を加速化

  • 2021/12/06
  • Dr.ウエノの保険コラム

交通事故の減少につなげようと、自動車メーカーの間では、カメラやAI=人工知能を使い、車の周りの状況だけでなく、運転中のドライバーの状態も分析し、危険が迫ったときに注意を促すという技術の開発が進んでいることが報じられました。

このうち、ホンダが開発しているのは、AIが、車の周りの状況に加えて、ドライバーの目の動きも同時に分析する仕組みで、ドライバーがサイドミラーやバックミラーをあまり見ていない状況で車やバイクが接近してきた場合には、スピーカーで警告音を鳴らすそうです。さらに、車の近くにいる歩行者の動きを専用のディスプレーに連動する形で光で表示し、ドライバーがその方向を見ていなければシートベルトを強く締めて注意を促すそうです。
ホンダは、AIがドライバーの運転をサポートする技術は世界でもあまり例がないとしていて、2020年代後半の実用化を目指していると報じられました。

また、マツダも、車に取り付けたカメラでドライバーの目の動きや姿勢を検知し、居眠りをしていたり体が大きく傾いたりした場合は自動で停止するシステムを開発したことが報じられました。来年からこのシステムを搭載した車を販売することにしていて、マツダではこうした新しい技術によって交通事故が減少することを期待しているとコメントしていました。

技術の進化は凄いですね。今ですらセンサーで注意喚起してくれたりしてぶつからない車が増え、実際に事故も減少していますが、マツダのシステムなどは来年から販売ということで、自動運転レベル5以前の段階で、自動車事故に関する考え方が大きく変わる感じがしています。

自動車保険もいよいよテレマティクス保険の時代ですね。テレマティクスとは「テレコミュニケーション(通信)」と「インフォマティクス(情報科学)」を組み合わせた造語で、自動車などの移動体に通信システムを組み合わせてリアルタイムに情報サービスを提供することです。これを活用した保険がテレマティクス保険で、具体的には自動車に設置した端末で計測した走行距離や運転速度・ブレーキのかけ方などの運転情報を保険会社が取得し、その情報から運転者の事故リスクを分析して保険料を算定するような保険のことをいいます。

テレマティクス保険は走行距離連動型(PAYD:Pay As You Drive)と運転行動連動型(PHYD:Pay How You Drive)に分けられます。
走行距離連動型では、端末で走行距離を測定し、走行距離が短ければ保険料を下げ、走行距離が長ければ保険料を上げます。ダイレクト型自動車保険を中心に走行距離区分別の保険料が取り入れられていますが、テレマティクス保険では端末の計測に基づくので、より正確な保険料を算定できます。
運転行動連動型では、端末で運転速度や急ブレーキ・急アクセル、ハンドリングなどの運転特性を測定し、安全な運転をしていると判定されれば保険料が下がり、逆に、危険な運転をしていると判定されれば保険料が上がる(あるいは割引がされない)というタイプのものです。安全運転をすると保険料が安くなるので安全運転への意識が高まり、交通事故の減少効果があると言われていますね。

運転行動連動型のテレマティクス保険では、安全運転をすれば保険料が安くなります。特に、10代や20代の運転者への恩恵が大きくなると言われています。テレマティクスではない従来の自動車保険でも等級制度などにより安全運転を続ければ保険料が安くなりますが、若者の場合等級がまだ低いことが多く、また、個人でどれだけ気を付けていても全体の事故率が高いため、保険料が高くなってしまいがちです。テレマティクス保険では個人の運転特性によって割引を受けられるので、安全運転に気をつければ従来の自動車保険よりも保険料を安くできる可能性があります。

同じく運転行動連動型のテレマティクス保険では、安全運転をすれば保険料が安くなるので、安全運転への意識が向上します。それによって社会全体の交通事故率の低下や事故による渋滞の減少という効果が見込まれます。また、全体の事故率が下がれば保険会社による保険金の支払額も下がるので全体の保険料が安くなる効果も期待できます。

クルマも事故防止に進化し、テレマティクス保険は運転者の運転履歴等を踏まえて保険料を算出していく、且つこれで自動運転レベル5が一般化すれば、本当に交通事故のない社会が現実化できるともしれませんね。

そのためにも今後、自動車保険はテレマティクス保険でしょうね。

ゴミから航空燃料を作る ゴミが資源であることを認識しよう

  • 2021/11/29
  • Dr.ウエノの保険コラム

世界の温室効果ガス排出量の2%を占めるとされる航空業界ですが、今のジェット燃料を植物などから作られる代替燃料「SAF」に置き換えることで排出量を抑えようとしていることが報じられていました。

そして、この新たな燃料の需要の増加に応えるため、アメリカでは「ゴミ」から代替燃料をつくる動きが出てきていると報じていました。
アメリカ西部のネバダ州に建設された代替燃料の工場では二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない航空燃料の大量生産が近く始まるそうですが、その最大の特徴は「ゴミを原料に燃料をつくる」ことだそうです。工場に運び込まれるのは近隣の家庭ゴミ。金属などを取り除き、紙くずや布、木材などを細かく切って圧縮し1400度の高熱で気化処理をしてガスに変えるそうですが、このガス化の際にCO2を分離することで、CO2の排出量が少ない燃料になるということです。ここから更に硫黄などの有害な物質を取り除き、ようやく液体の代替燃料になるそうです。運営するエネルギー会社では、年間1100万ガロン(約4100万リットル)の代替燃料の生産を計画し、今後さらに大きな工場の建設も計画しているとしてます。

こうした代替燃料には航空業界から高い期待が寄せられています。理由は「CO2の排出量を今のジェット燃料に比べ約80%削減できる」とされているからです。大手のユナイテッド航空では2020年に購入した代替燃料は燃料全体の1%未満でしたが、30年までにこれを10%に引き上げることを目指しているとしています。ゴミからつくる代替燃料を手がける会社に出資し、購入量を増やしていく方針だそうです。

一方で、代替燃料は価格が数倍割高という課題もあります。このため、この航空会社は顧客企業に出張や貨物の輸送に代替燃料の航空便を利用してもらい、航空会社は追加料金を受け取り、一方、航空会社は温室効果ガスの排出量が減った分を排出量の削減枠として提供する仕組みを考えているそうです。

ゴミは資源として再利用されていますが、益々「ゴミ」の認識が必要ですよね。結心会ではローカルSDGsサポーター俱楽部を立ち上げ、第一回の勉強会を12月16日に実施いたします。
この「ゴミ」について先駆者的展開をしているのが徳島県上勝町になります。上勝町ゼロ・ウエイスト取組を実体験するツアーを来年1月26日~27日に開催します。上勝町のホテルに泊まり実際に45分類してのゴミ分類を体験し、セミナーにも参加できるという企画です。交通費・宿泊費は個々負担で、アテンド代として1名81,000円(消費税別)かかりますが、貴重な体験ですので、是非トライしてみて下さい。夜空を眺めながら熱い意見交換をしたいと考えています。大勢の皆様の参加をお待ちしています。

企業経営で「パーパス」という言葉が注目されています

  • 2021/11/24
  • Dr.ウエノの保険コラム

企業経営で「パーパス」という言葉が注目され、関連のビジネス書が続々と出版されています。パーパスは「会社の存在意義」と訳され、社会にどんな価値を提供したいのかを、お客様や投資家、従業員などに分かりやすい言葉で表した会社の“志”のようなものです。なぜ今パーパスが注目されているのでしょうか?こんなニュースが報じられていましたのでご紹介します。

大手食品会社の味の素は2020年、新たにパーパスを策定しました。それまでの会社のビジョンは「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニーへ」。世界の食品企業のトップ10入りを目指すというものでした。しかし、その言葉は従業員や経営陣に十分に浸透していなかったそうで、40人ほど役員が集まる合宿があって『今のビジョンを言ってみてくれ』と言ったら、みんな覚えていなかったそうです。そこで経営陣を集め、「会社の存在意義は何か」を話し合い、売り上げや事業規模の拡大だけでなく、食品会社が社会に果たすべき役割を改めて問い直したそうです。

味の素が2年かけて練り上げたパーパスは「食と健康の課題解決企業を目指して」。
それまでの「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニーへ」とは大きく変化しました。
食習慣の改善や健康寿命を延ばすことが会社の役割だと示し従業員などと共有したそうです。グローバル企業でこのぐらいの規模になりたいという目標のビジョンから、『2030年にはこういう課題を解決していたいね』という考え方に変わり、故に従業員もスッと腹落ちしたそうです。会社では従業員にパーパスの説明会を開いたり、貢献度が高かった人を表彰したりして、浸透を図っているそうで、表彰された従業員はパーパスについて「全員が同じ目標や事業化に向けて一丸となってやっていく。モチベーションがより高まった」と話していました。

関東を中心にホームセンターを展開するカインズは2年前「くらしに、ららら」というパーパスを掲げました。鼻歌を口ずさむような楽しい暮らしをお客様に提供することを会社の存在意義としたのです。    

パーパスを策定したことでやるべきことが明確になり、従業員から「洗濯物が楽に外せるハンガー」のような新しい商品の提案や、事業の提案が集まりやすくなったといいます。
従業員の発案で、店の地元の農家が育てた野菜をPRするイベントも始めましたが、これは店を地域の交流の場にすることで楽しい暮らしを提供していこうというねらいだそうです。
われわれは何者なんだ、どんな価値を社会に提供していくんだと、この先10年20年、我々が追究していくべき事業こそが価値だと思っている」と経営陣がお話になっていました。

会社の志を端的に表すパーパスが、気候変動やコロナ禍によって大きく変化する社会に対応していくためにも必要だと言われています。「利益主義みたいなものが資本主義の原点だったものが、地球の破綻や社会の破綻を生んでいることにみんなが気づき始めて、今までの右肩上がりの成長という時代から、もう一度目的を探し直す時代に変わっている」のだと思います。

他にも、ソニーグループは「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」、ファーストリテイリングは「服の領域で社会を支えるインフラになる」、ライオンは「よの良い習慣づくりで人々の毎日に貢献する」、LIXIは「世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいの実現」という企業パーパスを掲げています。

社会の変化に直面して、会社を変えなければならないという動きや、従業員が働き方を模索する動きが起きています。そういう時だからこそ「何を目指すか」を見定めるため、軸となるパーパスを再確認する必要が生じているのだと考えます。

保険代理店の皆様も是非パーパスを皆で考えて掲げてみましょう!

エイジテック

  • 2021/11/15
  • Dr.ウエノの保険コラム

エイジテックというワードをご存知でしょうか。
「高齢者×テクノロジー」のことで、高齢者の生活や健康をサポートするテクノロジーや、高齢化社会・高齢社会・超高齢社会における課題を解決するテクノロジーを指します。

背景にあるのは、高齢化社会がいよいよ限界を迎えているという事実です。具体的にいうと2点あって、高齢者が増えることによる医療コストの増加、そして少子化高齢化に伴う介護保険のひっ迫や介護士などのサポート人材不足があげられます。日本では特に1949年辺りに生まれた「団塊の世代」と呼ばれる方々が一気に亡くなるのが2040年といわれていて、ピークに向けさまざまな問題が噴出するといわれています。そういった議論がなされる中で、介護や医療における課題をテクノロジーでいかに解決するかという「エイジテック」の領域が注目されるようになりました。

エイジテック産業は世界で数百兆円規模のマーケットといわれていて、Forbesの記事内にある試算によれば、グローバルでのエイジテックの市場規模は毎年21%増のペースで拡大を続け、2025年までに2.7兆米ドルにまで膨れ上がるとのことです。日本円に換算すればグローバルで約300兆円近い市場規模になるということになります。日本の市場規模で正確なものは出ていませんが、みずほ銀行産業調査部によると、高齢者向け市場の市場規模は2025年までに101.3兆円にまでなり、国内需要を牽引する市場になるとしています。スタートアップ企業や、エイジテック企業を対象にしたベンチャーキャピタルが続々と参入している状況です

「エイジテック」と一口にいっても多種多様です。シニア自身が使うプロダクトやサービスでいうと、スマートフォンやタブレットも入ってきますし、見守り系のコミュニケーションロボット、健康管理アプリ、人気が高いのはApple Watchなど健康管理系のウェラブル端末もあります。このご時世なので、血中酸素濃度が測れるから欲しいという方は多いですね。また、体に不調がある方をアシストする「スーツ型介護ロボット」もエイジテックに含まれるとされています。また、シニアになって必要となる手続きをデジタルに置き換えたサービスも注目されています。家族信託に関するお金の管理などのやりとりを、本来であれば税理士さんにお願いすると高い必要がかかるところを、デジタル化して安くしましょうというサービスも提供されています。さらにGBER(ジーバー)というアプリは、元気高齢者の地域活動をサポートするウェブプラットフォームで、仕事、ボランティア、趣味や生涯学習などのあらゆる地域活動とそれに参加したいおじいちゃんおばあちゃんとの社会参加を促進するために研究開発されたものです。
考えられるものは沢山あると思います。保険を通じてシニアに寄り添う保険代理店にもできることがあると思います。当然、エイジテックの中で新しい保険も必要になってくると思います。

「エイジテック」というワードを覚えて、常に最新情報取得できるようにアンテナを張っておきましょうね。

一物多価

  • 2021/11/08
  • Dr.ウエノの保険コラム

損害保険は同じ商品で且つほぼ同じ補償内容なのに各保険会社によって保険料が異なることをご存知でしょうか。しかも一物二価くらいならまだしも、一物多価という現実があります。

昨年の週刊東洋経済誌「生命保険の罠」という7月25日号にこんな記事が掲載されていました。(掲載文面通りを転載)
「これまで地方は情報や移動の壁に守られてきた。だが、火災保険に年間1000万円以上払ってきたという地方の酪農家が、オンラインで同一以上の保障を年300万円で得られると説明され、乗り換えたなどという事例も出てきている。」

この背景を紹介すると、この契約は火災保険に地震拡張担保特約が付帯されているものでした。いつもは満期更改の際、多忙な社長さんは内容も余り見ず「じゃあ更改しておいて」で終わったのでしょうが、昨年はコロナ禍で外出もできなかったので、たまたま内容をしっかり見ていたら「何と火災保険に1000万円以上支払っていたことに改めて気づき、コロナ禍で景気がどうなるかわからないので経費削減で保険料が安くならないか」と考えられて、地元の保険会社2社に電話されました。現在加入している保険代理店の他には保険代理店を知らないので保険会社に直接電話されたものです。そうして保険会社から社員が来て、現在加入の保険証券を見せたら2社の社員ともに「うちでは無理です」と言ってその場で帰ったそうです。地方で火災保険1000万円以上の契約はそんなにあるものではありませんし地震拡張担保特約が付帯されているので、保険証券を見た瞬間に無理と判断したようです。保険料の相見積もりは本社に稟議を出しつつ求率して行きますが、過去に経験値がないと残念ながらできないと思います。お客様から直接電話があって保険会社の指示で来るとするとおそらく一番下の社員が来たと推定されますので、そりゃあ無理でしょうね。で、経営をみてもらっている大阪の経営コンサルタントに保険証券がわたり、結果、大阪の保険代理店が相見積もりで300万円の保険料を提示し切り替えられてしまいました。
同じ保険商品でほぼ同じ補償内容で保険料が3分の1以下になった訳で、一物二価にしても乖離し過ぎと思われた方が多いと思います。一体、どんな割引使ったらできるのでしょうかね。

実は先般も火災保険の相見積もりの事例を耳にしました。こんな内容です。火災保険の満期で他社から相見積もり出たのであなたのところでもっと安くできないか確認して欲しいとの知り合いの保険代理店に依頼をにあったものですが、相見積もりの保険料は何と2000万円という大型案件でした。で、依頼を受けた保険代理店は躍起になって他社に相見積もりを依頼したところ、4000万円の保険料提示がありました。なんだよーということでもう1社見積もりを取ったら5500万円の見積もり提示がありました。どうやら普通に求率すると5500万円で、本社と掛け合って頑張って求率してくれて4000万円という結果だったそうです。一体保険料2000万円はどうやって算出したのかわかりませんが到底太刀打ちできませんので、ここで切り替えられたそうです。

コロナ禍で毎年支払わないといけない損害保険料については相見積もりされる可能性が高いと思います。特に地方の契約は10年以上同じ保険料というところが多いと思いますが、こうした案件は絶好の標的だと思います。
前述の週刊東洋経済誌には「こういう伝播は早い。地方の保険代理店の淘汰が一気に進む可能性がある。」とも書かれていました。

昔、某保険代理店が法人保険のサイトを作っていましたが、10年以上前でも毎月500件ほどの問い合わせがありました。当時は大手企業からの照会が中心でしたが、今、こうしたサイトが立ち上がれば地方からの依頼が殺到するのではないかと思います。

一物多価をやめない限り止まらない損保の相見積もり競争。一方でこのレート競争が損保代理店の醍醐味の1つでもありますが。ポイントはこの商品だとこの保険会社が安い保険料を提示できるか知っているか否かだけで相見積もり競争は勝ち続けられると思いますよ。