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具現化していく温室効果ガス排出量ゼロに向けた取組

  • 2022/01/11
  • Dr.ウエノの保険コラム

東京都は2022年度、都内の新築一戸建て住宅の屋根に、太陽光発電設備の設置を義務付ける条例制定を目指すことが報じられました。国も義務化を検討しましたが、住宅価格上昇を懸念する声が強く見送られました。都は2030年に温室効果ガス排出量を2000年比で半分にし、2050年に実質ゼロにする目標を掲げており、条例化を目指すとしています。

都の検討案の特徴は、設置を義務づける対象を、個々の施主や建て売りの購入者ではなく、供給するメーカーなど事業者にする点にあります。都の担当者は「個人が太陽光発電の設備業者を探すのはハードルが高い。ハウスメーカーなど供給者がセットで扱うことで、施主や購入者の煩わしさはなくなる」としていて、具体的には、大手事業者約50社に太陽光発電設備を設置して新築一戸建て住宅を販売することを義務づけるとしています。ただ、日照条件を考慮して、義務化は販売数の85%程度を想定するとしており、達成できない場合は事業者名を公表するなどのペナルティーを科す方針だそうです。

そうした内容の条例ができれば、まずは年間の都内の一戸建て新築物件約4万3000戸の5割強の2万戸が太陽光発電設備の義務化対象となる見通しで、将来的には中小規模の工務店なども対象に広げることを目指すとしています。
太陽光発電装置は普及に伴い、設置コストも10年前と比べて4分の1ほどにまで下がっていますが、都は補助をつけて推進を図りたいとしています。

目標に向けて取組が具現化されていて素晴らしいことだと考えます。EVカーの普及も今後一挙に進みますので、自宅で作ったクリーンエネルギーを使ってマイカーとしてのEVカーを充電し走行することができればサスティナブルで極めて有効な取組だと考えます。

因みに、一般社団法人保険健全化推進機構結心会のモーター部会でも太陽光発電装置の設置を進めています。大型整備工場の屋根に設置することで、自家発電自家消費に取り組むだけでなく、万が一の災害時には充電場所として地域住民に提供し、携帯電話の充電等々に活用してもらおうと企画しています。地域を支えるハブとして整備工場のインフラを見える化させ認識していただくためにも太陽光発電装置設置は効果的だと考えています。
更にEVカー購入者に「緊急時にはEVカーを開放いただき地域住民に充電してもらう」了承を取って「充電可能マップ」を作っているところもあります。

都の新築一戸建てに毎年2万の太陽光発電装置が設置されれば、こうしたマップも拡大でき、隣同士で支え合う社会の実現につながると考えています。こうした中に新しい保険ニーズも生じてくると思います。こうした取り組みを結心会ローカルSDGsサポーター俱楽部でも取り上げていきたいと考えています。

常に時代の最先端を走ることで見えてくる景色があります。常にポジティブに前に進むことを年頭において、改めて意識しておきましょうね。

保険会社に対する金融庁の監督指針が一部変更になりました

  • 2022/01/04
  • Dr.ウエノの保険コラム

金融庁は生命保険の販売時に年金や健康保険といった公的保険制度について顧客に適切に情報提供するよう生保会社に求めるため、2021年12月28日に「生保の営業手法に関する監督指針を改正」しました。具体的には金融庁のホームページにアクセスして12月28日にアップされた「保険会社向けの総合的な監督指針等の一部改正について」をチェックして下さい。役所の御用納めの日にアップされ、当日から一部改正された監督指針は適用スタートとなりました。

本改正は、生保各社へのモニタリングも強化し、問題があれば是正を求める。顧客の不安心理をあおって加入させる「過剰契約」を防ぐ狙いだとされていますが、「本来は国が説明すべきだ」との声も根強く波紋を呼んでいるとも報じられていました。

今回の改正で金融庁は保険会社向けの監督指針に新たに「公的年金の受け取り試算額などの公的保険制度についての情報提供を適切に行う」といった規定を盛り込みました。顧客が自身の将来のリスクや民間保険の必要性を適切に理解した上で加入の要否を判断できるようにするためで、これまで指針に公的保障の説明を求める規定はありませんでした。

さらに指針は、民間保険を「公的保険を補完する」と位置づけました。保険の募集人自身が公的保障の仕組みを十分に理解しておくことが必要だとし、保険会社に「適切な理解を確保するための十分な教育」も求めました。ここがポイントですので、良く理解して保険代理店は直ちに対処する必要があります。

少子高齢化が進み、公的年金の受給開始年齢が引き上げられるのに伴い、定年退職後の生活資金に不安を感じる人は多く、このため生保業界は貯蓄性の保険や医療保険といった民間保険の販売を充実させています。
こうした背景を使って契約しやすい特定の相手から多数の契約を獲得する生保営業が問題視されていて、つい最近も大樹生命保険の元営業社員が一家族に対し19年間で累計46件の契約を結んだケースが発覚しました。また、かんぽ生命保険で明るみになった不正販売でも高齢者が狙われました。
そこで、金融庁は特に「あおり営業」に疑念の目を向け、「将来は年金がどうなるかわからない」と不安をあおる一方、がんになった場合に負担を軽減できる公的な高額療養費制度があることを説明しなかったり、限られた情報しか提供しなかったりといった営業手法を問題視し今回の改正に至ったとされています。

今後は、保険会社や募集人は公的保障の仕組みを正確に理解した上で、顧客のライフプラン、公的年金の受け取り試算額、必要となる保険の中身を丁寧に説明することが求められます。

金融庁は実態把握に向けたモニタリングも強化し、説明が不十分な場合は是正を促す方針だとされています。
保険代理店も直ちに募集人の教育、代理店募集マニュアルの改正等に着手する必要があります。
生保協会による代理店業務品質項目の統一と併せて、1~3月までに取り組みましょう。

共働き子育てしやすい街ランキング2021

  • 2021/12/27
  • Dr.ウエノの保険コラム

「共働き子育てしやすい街ランキング2021」が報じられていました。この調査は日経DUAL(現・日経xwoman DUAL)と日本経済新聞社が、2015年から毎年実施しているもので、今回で7回目となるものだそうです。

リモートワークの普及などに伴い、住む街を改めて選び直す動きが進みつつある社会を鑑み、今年は調査項目とランキング基準を一部変更して、認可保育所や学童保育といった「子育て関連施設(インフラ)の充実度」「補助(お金・サービス)」に加えて、「保育の質を高めるソフト面の取り組み」をこれまで以上に重視、また「認可保育所に入りたい人が入れているか」「病児・病後児保育施設の充実度」「学童保育が充実しているか」「移住する子育て世帯への支援策があるか」「親のメンタルケアなど子育てをサポートするサービス」などの観点から計43の評価項目を作成して採点し、合計得点(100点満点)で総合ランキングを作成し集計したものだそうで、大変興味深いので紹介したいと思います。

「共働き子育てしやすい街ランキング2021」上位20自治体(同順位の掲載は五十音順)は次の通りです。
1位 松戸市
2位 宇都宮市
3位 浦安市と富山市
5位 厚木市、北九州市、福生市
8位 青梅市、大分市、堺市
11位 東京都荒川区と板橋区
13位 大和市
14位 豊橋市
15位 豊田市と流山市
17位 静岡市、東京都豊島区、奈良市、新潟市という結果です。

総合編1位になったのは、2020年に引き続き千葉県松戸市で、首都圏の自治体としては保育所の定員に既に余裕がありながら、24年度にかけては全年齢クラスの利用枠数を20年度の1.5倍以上に拡充する計画されていて、病児・病後児保育施設の定員も充実し、体調の悪い子をタクシーで送迎するサービスも実施しているそうです。ハード面、ソフト面のいずれにおいても保育環境に優れ、それをさらに改善していく方針が取られていることが評価されているそうです。
2位の栃木県宇都宮市は、余裕のある認可保育所定員や、95%に達する保育所の園庭保有率に加えて、保育の質を担保するためのガイドラインやマネジメント研修などにも取り組んでいて、高校生までの医療費を独自に無償化しているほか、ファミリーサポートセンターや病児保育の利用料についても助成し、第3子以降は保育料や一時預かり保育料など幅広いサービス利用料を独自に無償化しているそうです。

松戸市はこうした取り組みがあって人口流入が続いています。
「〇〇の街」として注目されることで、こうした現象が起こります。
企業でも「パーパス」の大切さが説かれていますが、自治体も街の方向軸を定め取り組むことで大きな流れを創ることができるのです。

保険代理店もパーパスの大切さを理解してせめてFD宣言の公表くらいはしておきましょうね。

成人年齢18歳に来年4月から引き下げに

  • 2021/12/20
  • Dr.ウエノの保険コラム

成人の年齢が20歳から18歳となる改正民法の施行を2022年4月に控え、金融機関が対応を急いでいると報じられました。改正民法は18年6月に成立したもので、成人を20歳からと定めた1876年以来、約140年ぶりの改正となります。

これまで証券会社では、20歳未満だと親権者を指定しなければ証券口座をつくれませんでしたが、野村証券は2022年4月以降に18歳でも口座を開設し、投資信託などを買えるようになり、SMBC日興証券も同様の準備を進めているそうです。

自動車保険も18歳から親の同意を得なくても加入できるようになり、東京海上社は社内や代理店に対し、来年4月からの変更に注意を促す通達を出したそうです。

銀行では、カードローンによる借り入れを18~19歳も20歳以上と同じように認める方針の銀行がある一方、生活基盤の弱さから20歳未満を貸し付けの対象としないようにする動きを強めているところもあるそうです。大手行は対応を検討していますが、足元で慎重な判断に傾いているようだと報じられていました。

信用情報が乏しいという理由でノンバンクも20歳未満の審査に難色を示しているそうで、日本貸金業協会が加盟社に行った調査では、18~19歳を貸付先にすると答えた企業(105社)のうち、限度額を20歳以上より低くすると答えたのは37%で、変わらないと回答した企業は44%だったそうです。

未成年者なら親の同意を得ることなく結んだ契約は原則取り消せる民法の規定を適用できますが、成人の年齢が18歳以上になるとこうした権利も行使できなくなります。このため金融サービスの契約やお金の知識を深める教育の重要性は一段と高まることになります。学習指導要領の改訂により、2022年春から高校の家庭科では資産形成をはじめとした金融教育がスタートしますよね。この教育に全国各地の保険代理店が関われないかと動きましたが、ハードルが高く達成できませんでした。

保険ショップや乗合保険代理店が増え、保険内容等々もネットで調べられるようになって保険に関するリテラシーは確実にアップしました。保険代理店の多くはFPの資格を持ち「お金回り全般」の相談も日頃実際に受けています。従って、全国各地の保険代理店が高校とは別に18歳未満を対象とした金融セミナーを今後頻繁に開催すべきかと考えています。学校で教える金融知識は単なる座学に過ぎず全く効果はないと考えます。もっとリアルで実践的な経験をさせないと身につかないと考えます。その意味では、TORANOTECが運営している「トラノコ」などは良い材料かと考えます。通常毎月300円かかるアプリですが、高校生は無料で使うことができます。しかも、5円からできる資産運用ですので、お小遣いの一部を活用すれば十分です。自分のお金がどう運用されるかを自分自身で日々観ているだけで金融リテラシーを学ぶことができます。この「トラノコ」の推奨を結心会では取り組んでいます。関心のある保険代理店さんは結心会まで一報下さい。保険だけでなくフィナンシャル全般に取り組まないと保険代理店の未来はないと思いますよ。

保険代理店も是非パーパスを発表していきましょう

  • 2021/12/13
  • Dr.ウエノの保険コラム

金融機関に「パーパス経営」が広がっていると報じられました。
ESG(環境・社会・企業統治)の強化、顧客ニーズや従業員の多様化など社会が急速に変化するなか、ぶれずに貫く「自社の存在意義」を見つめ直すためですが、いくつかチェックしてみましょう。

■MS&ADインシュアランスグループHDは2022年1月にパーパスを公表する方針を固め「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます」とホームページに掲げる予定だそうです。

■日本生命社は21年度からの中期経営計画で「最も信頼される生命保険会社を目指してお客様・社会からの期待に応え続ける」をパーパスとして社内で掲げたそうです。

■三井住友トラストHDのパーパスは「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」。脱炭素化や少子高齢化で、従来の銀行セクターとは異なる信託銀行グループとしての社会的要請が高まっていることを背景に、創業当時の原点に立ち返ることを前面に押し出したそうです。

■東京海上HDは「お客様や地域社会の"いざ"を支え、お守りする」というのが創業以来の合言葉をパーパスとして前面に出すそうです。4万人以上の従業員のうち、海外の従業員が4割を占める同社は、多様な人材を結びつける「横串」としてパーパスが機能すると考えているそうです。

一方、存在意義を見つめる中で、従来の金融の枠にとらわれずに事業を再構築する企業も現れています。
■SOMPOHDは「安心・安全・健康のテーマパークにより、あらゆる人々が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」として、主要事業である保険の色を薄めたパーパスを掲げているそうです。データ事業や介護でも積極的なM&A(合併・買収)を繰り返して多角化を進める裏付けとなっていますね。

■住友生命保険のパーパスも「社会公共の福祉に貢献する」としています。

産業革命からスタートした「土の時代」は終わり、今は全く新しい「風の時代」に突入しました。この2年間で世界のモノを見る観点が大きく変貌しました。
「企業の存在意義は何か」が問われる時代です。保険会社だけでなく保険代理店にもパーパスは求められます。もう一度、原点に戻って「なぜ保険代理店を始めたのか」に立ち戻り、「今、その想いが実現できているか」を問い直し、できていなければ何をどうしなければいけないかを突き詰めてパーパスを作ってみましょう。地域に根差す保険代理店こそがしっかりパーパスを創り、CXを構築していきましょう。